昼下がりのバイブ2話 02
あり
魔が差したとしか言いようがないほんの少しの冒険によって、楓の人生は一変してしまった。
楓は平凡な主夫だった。いや、世間一般の同世代の男と比べると、刺激も起伏も少ない渇いた生活を送っていたのは事実だ。
ちょっとした刺激を求めて、通販でバイブを購入した。そのせいで配達員に犯され、凶器のような勃起ペニスを挿入されてしまうなんて予想できるはずがなかった。
確かに初めは無理矢理であり、レイプと呼ぶしかない行為だった。だからといって被害者ぶる気にもなれなかった。一方的な被害者というには、途中からあまりにも感じて悦んでしまったから。
体だけでなく、心まで。配達員に強引に犯されるという状況に、楓は確かに興奮して淫らな声を上げていた。
「あっ……あぁ……ん、だめ、はーっ、はーっ……」
何の変哲もない平日の午後。夫はいつも通り仕事に出ていて静かな家の中、楓は一人淫らな遊戯に耽っていた。
アナルに自分の指を挿入するのは、初めはかなりの抵抗があった。あれほど大きなものを受け入れたことがあっても、いざ挿入しようとすると指一本でもきつい。
それでもローションで濡らして一度無理矢理ねじ込んでしまえば、もう駄目だった。中が激しく感じてすぐに我慢できなくなる。
ぬぽっ……ぬぽ、ぬぶ、ぬぶ、ぬぶっ、ぬぶっ……
「ひぁっ……あああっ、あんっ、うぁ、あっあっ」
狭い中をかき分けて指を抜き差しする。擦れるたびに腰が揺れ、ベッドが軋む。下の階にバレてしまうのではないかと想像してぞくりとする。
「あぁんっ……指マン、きもちぃっ……あうっ、ん、はぁっ、あッあッ……」
この快感を、一度は忘れようとした。留守中に男に入られて犯されてしまったなんて酷い醜聞だ。なかったことにするのが一番だと思っていた。
だけど体は、楓のアナルは、あれ以来何かを求めてじんじんと疼くようになってしまった。我慢すればするほど、疼きは無視できないほど強くなっていった。頭でも犯されたときの快感と、女にされたような感覚を思い出してしまい、ジリジリした欲望は楓を苛んだ。
捨てようと思って、自室の奥の奥に隠していたバイブを取り出して手にとった瞬間、脳が甘く痺れたようになって、体が勝手に動いていた。
「ああんっ……だめ、お尻、変になってる……っバイブ、バイブでいいところゴリゴリしたら、また淫乱になっちゃう、中でイきまくる変態になっちゃう……あっ、あぁっ……」
バイブを見ただけで、パブロフの犬のように中を犯されたときの快感を思い出して涎が出るほど興奮し、どうしようもなくなってしまう。
まだ指2本ほどでいっぱいいっぱいのきつさだったが、楓は病人のように息を乱しながらバイブを握り、収縮するアナルに押し付けた。
「あああぁっ……なか、なかに……バイブ挿入するっ……男なのに、オナニーのための道具ハメて、おま〇こに、なっちゃう、だめ、だめ、ひっ、あッああぁーっ……」
ぬちゅ……ぬぶっ……ずぷっ、ずぷ、ずぷぷぷっ……
上ずった声で淫らな言葉を口に出しながら、楓はバイブを無理矢理アナルに押し込んだ。
きつくて圧迫感が強かったが、それでも興奮と快感を求める本能が勝った。ゴツゴツした形のシリコンが内壁を強く摩擦しながら奥へ挿入されていく。
「あ゛あぁーっ……だめ、はいって、あ゛あぁっ……、こすれてるっ…、なか、バイブでいっぱいになってる、あ゛ッあんっあああぁっ……!」
ずぶっ……ずぬっ、ずぶっずりゅうぅっ……!
太く無機質なものが楓を犯す。快感に全身が震え、到底誰にも見せられないような蕩けた顔になる。
少し前まで自分とは無縁だと思っていた、淫乱な人妻そのものの姿だった。
挿入しただけで快感はかなりのものだったが、バイブには振動と中で先端が暴れまわる恐ろしい機能がある。それを使われたときの衝撃を思い出し、アナルが激しくバイブを締め付けた。
一度スイッチを入れたら、自分で動かさなくても勝手に犯されることになる。止められない。性感を与えるためだけの動きで内壁を擦られまくり、何度もイかされてしまうのだ。
「ふぁっ……スイッチ……入れたら、なかで、震えながらうねうね動いてっ……メスイキ、しちゃうから、だめなのに、あっ、あっ、ん、スイッチ…、あ゛ッ、あああーっ……」
ヴーーーーーーーー……! ぐりっ、ぐりゅっぐりゅっぐりゅぅっ!
「ひあ゛ッおッアッアンッあぁっあひっいっあああっ!」
ヴヴヴヴヴ……ずぶっずぶっぐりゅっぐりゅっぐりゅんっぐりゅんっぐりゅんっ!
楓は欲望に負け、自らスイッチを入れた。バイブが淫らな音を立て、狭いアナルの中を蹂躙するように動き回る。
性感帯が細かい振動で無数に刺激され、亀頭の部分が回転しながら奥まで抉る。
今までどうしてこの快感を知らずにいられたのだろう。信じられないほどの刺激に楓は泣きながら我を忘れて喘ぐ。
「あひっ、しゅごいっ、なかっ、バイブに犯されてるっ……! 変態オナニーでっごりごりされて、あぁっんっあ゛ッ、いいっきもちいっ、ああぁっ、だめっ、あっ、あーっ……」
ヴーーーーーーー!
ごりゅっごりゅっごりゅっごりゅっ!
バイブを奥まで押し込む。それだけで性欲のためだけにある存在はあらゆる手段で内壁を擦り、感じさせ、理性をドロドロに溶かしていく。
「ああぁんっ、いっちゃう、なかでっ、メスイキしちゃうっ……! ち〇ぽ、触ってないのにっ…、お尻で、……おま〇こだけで、バイブにイかされちゃうっ…! ひああっイぐっいきますっ、変態人妻オナニーでメスイキッ……あ゛ッあ゛ひっうああんッ」
自らを貶めるような淫語を叫べば叫ぶほど興奮が高まる。楓は途方もない絶頂に向けてバイブのパワーを最大にした。
ヴーーーーーーーーー! ぐりゅんっぐりゅんっぐりゅんっ……!
ああ、イく、と思ったその瞬間。
ありえないことに、突然寝室のドアが開いた。
夫の顔が目に飛び込んできて、雷が直撃したような衝撃と抗いようのない快感に同時に襲われた。
「〜〜!? なんでっ、あ゛あ゛あっ、だめっ、メスイキッ、見ないで、見られちゃうっ、我慢できなっ……あ゛ッあひっあんっあんっああああ〜〜っ……!」
夫の驚愕した表情を見ても、もう体は限界にきていた。楓は夫から目を離すこともできないまま、中を穿つバイブによって強制的に絶頂に導かれ、全身を痙攣させながら激しくメスイキした。
「あ゛ああぁーっ……あひっ、あ゛っいっあ゛ッんっだめっ、あああっ」
ヴヴヴヴヴ……
びくっびくっと腰が大きく跳ねてベッドが軋む。
夫に見られたという衝撃は快感を邪魔することはなかった。むしろ異様な興奮が全身を熱くさせ、絶頂がずっと終わらない。
「あーっ……あ゛ーっ……なんで、何でっ……ひあっ、見ないで、見たら、だめです、あ゛ひっ、い゛ッ、ああぁ……」
「仕事が早く終わったから帰ってきただけのことだ。お前こそ……何をしてる」
いつも仕事や付き合いで忙しそうにしているのに、こんな日に限って。
夫は喘ぎ続ける楓に詰問してくる。見なかったふりをするという選択肢は彼の中にはないようだった。
昼間から淫らな遊戯にふける妻に対して、怒っているのか呆れているのか。その声からは感情はうかがい知れなかった。
「ああぁんっ……ごめんなさい、バイブで、バイブでオナニーしてましたぁっ……奥まで突っ込んで、ズボズボして、バイブでメスイキしちゃいましたっ…」
「いつもこんなことをしていたのか」
「……っいつもじゃない、どうしても、お、おま〇こ、疼いて…っ我慢できなくて……あっあ゛あっ……あーっ……」
バイブは未だに振動し続けている。楓は熱に浮かされたまま、夫に本音で答えた。理性があるときならば全く違う対応になっていただろう。どうしていいか分からず絶望にくれるだけだったかもしれない。今はアナルの快感に脳まで支配されて饒舌になっていた。
夫の視線が突き刺さる。
「……君は、こういうことが嫌いなんじゃなかったのか」
夫が呟くように言った。彼にとっても、この痴態はさぞ意外だったらしい。
実際のところ、夫と全く経験がないわけではない。結婚しているのだから当然なのだが。ただし回数はとても少なく、新婚にしては色っぽさとは無縁の夫夫だった。
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