スーツの下 02


あり


光は下半身の熱をごまかすように脚をすり合わせた。皆川はそれを見逃さなかった。

「もしかして、想像して興奮した? いつもと全然違う顔してる」
「興奮なんてしてない……っ。頼むから、他の人には黙っててくれ」
「本当に興奮してないなら、下も見せて」
「なっ……」

下なんて、ブラより見せられない。
小さくて、ペニスを収めることなんて一切考えられていない女性向けのパンツを無理やり穿いているのだ。非常にみっともなく恥ずかしいことになっている。
まして今は、羞恥と奇妙な興奮で熱が溜まりつつあるのだ。絶対に勃起なんてしてはいけないと思っても、制御できない。
そんな姿を、よりにもよって皆川に見られるなんて……。

「皆に知られたくないんだろう。俺にだけ見せて」
「ぁっ……」

囁かれて体の奥がきゅんと疼いた。
そうだ、会社の皆に知られるわけにはいかない。だから皆川に見せるしかないのかもしれない。仕方ないんだ――。

「はぁっ……ぅ……」

光はベルトを外そうとした。手が震えて中々上手く外れない。
すると皆川が焦れたように手を重ねてきて、あっという間にベルトとスラックスのボタンを外した。

「っ……み、見るなっ…」

スラックスが膝の下まで落ち、下半身があらわになってしまった。
レースの薄い下着は窮屈そうに伸びて、ペニスの色を透けさせている。改めて自分で見ても酷い。

「……下も女物を穿いてたんだな」

俯いていても視線をありありと感じて、羞恥に顔が熱くなる。
皆川に全部見られている。同僚で、ライバルだと思っていた皆川にこんな恥ずかしいところを。
背筋がぞくりとした。

「――吉岡、やっぱり興奮してるのか。勃ってきたんじゃないか」
「そ、そんなわけない」
「下着が濡れてる」
「……っ」

言われて体が疼く。もうごまかせない。光のペニスは硬くなって、先端から汁が滲んで下着を汚していた。

「ほら、シミが広がった……。ピンク色の先端が貼りついて透けてる」
「はぁっ……言うな、ぁっ…」

反応してはいけないと思っても、見られれば見られるほどペニスが熱くなる。息が上がる。

「男に見られてレースの下着をこんなに濡らして、女みたいだな」
「っもういいだろ……っ、あッあんっ」

ぬちゅ……こす、こす、ぐちゅっ

皆川が下着の上から下半身に触れてきた。
不意打ちに痺れるような快感を覚え腰がびくつき、高い声が出てしまった。

「ひあっ…あッあッ…やめっ…あぁっ」
「敏感だな。こんな格好して、本当はずっと男に触ってほしかったんじゃないか」
「ちがっ……あッひッあぁんっ」

ぬちゅ、ぬちゅ、くちゅくちゅ、ぐちゅっぐちゅっ

薄い布でペニスを扱かれて、汁がどんどん出てきて卑猥な水音を立てる。

ぬちゅっ……くちゅ、くちゅ、ぬちゅっぬちゅっ……

「あっあぁんっ…あッはぁっ……はぁっあんっ」

薄い下着の上から、硬くなった先端を指で擦られる。女がこうやって攻められているのはAVで見たことがあるが、男の自分がこんなことをされて、それがこんなに気持ちいいなんて。
体が異常に敏感になっている。いつもは冷めた雰囲気をしている皆川が今は別の人間に見えて、何故か胸がざわつく。

「ああぁっ…も、だめ、あっ、あッ」
「すごいな……漏らしたみたいに濡らして、下着がはりついてる」
「言うなっ……あッあッあんっ…」

嫌なのに、屈辱なのに、息苦しいような快感でどんどん体が熱くなる。いやらしいことを言う皆川の声もどこか熱を帯びて聞こえた。

「こっちも見せて」
「ブラの下」
「〜〜っやっ、そこはっ…はぁっあぁっ……」

言われた瞬間、ブラのパッドの下にある乳首が切なく疼いた。そこを見られるのはいけない。そう思ったのに、皆川は容赦なくブラをずらし。

「や、やめっ…っ……」

隠されていた乳首があらわになってしまった。
守るものがなくなってブラの隙間から顔を出した乳首は少し勃起して色が濃くなっていて、やけにいやらしいものに見えた。
そんなふうに感じるなんておかしいのに、今は昂ぶりを抑えることができない。しかしそれは皆川も同じようで、嘲笑うことなくギラギラした目で乳首を見られて余計落ち着かなくなる。

「はぁっ、はぁっ……っあぁあんっ」

皆川の指が乳首を摘んだ。そのままくにくにと転がされ、強烈な快感が乳首から下半身に突き抜ける。

「あぁんっ、あっあッあんっ…やっ、そこっあぁっ」
「乳首も敏感なんだな。腰がびくついてる」
「ひああっ…あぁっ、んっあッあんッあんッ」

くに、くに、くり、くり、くりっ、くにくにくにっ

感じたことのない、切ないような蕩けるような気持ちよさだった。指が乳首を押しつぶすたびにペニスから汁が漏れて下着を更にびしょびしょに濡らしていく。

「あッひあっあっんっはぁっあひっ…あッあッ…」

くりっくりっくりっ、くにくに、ぐりぐりぐりぐり

気持ちいい気持ちいい。自分の体はどうかしてしまったのだろうか。

「こんなに敏感ならブラを着けて守ってたのも分かるな。これじゃ服に擦れただけで感じてたんじゃないか」
「そんなことない…っ、アッあッあぁあーっ…」

摘みながら左右にぐりぐり捻られ、イきそうなくらいの快感を与えられる。
今まで乳首でこんなに感じたことなんて断じてない。皆川の言うように服に擦れたって、意識したこともなかったのに。

「あぁっ……俺、乳首で感じたことなんてないっ…あぁあッ、ひっあんっ!」

こすっこすっ、くりくりっ、ぐりぐりぐりぐりぐりぐりっ

そう言いながらも乳首を執拗に転がされるとびくびくと感じて高い声が出てしまう。これでは説得力皆無だった。

「本当に? じゃあどうしてこんなに感じてるんだ?」
「ひあッ…あッあッあッあぅっ」

くりっくりっくりっくりっくりっ

そんなこと自分でも分からない。でもこんな変態的な格好を皆川に見られて、ビショビショになったペニスをいじられて、乳首を触られて――羞恥といやらしさに勝手に体が熱くなって、異様に感じてしまってる。

「ブラとショーツ着けて、男に触られてるからこんなに感じてるのか。――やっぱり変態だな」
「あぁあっ…あッ…ぅあっ、アッあんっ…」

否定することができなかった。乳首はどんどん敏感になり、強く揉まれてもじれったいほど緩く擦られても、何をされても強烈に感じる。

「女みたいにされたいんだ……?」
「ちがっ…あぁっ…、あっ、はぁっはぁっ…」

皆川は少し掠れた声でささやきながら、下着ごしに尻を撫でてきた。ゾクゾクして脚に力が入らなくなる。
女になりたい訳じゃない。最初はただのストレス発散のつもりだった。
女に――男を受け入れる側にするみたいに尻をねっとり揉まれ、屈辱とおかしな感覚が入り混じって、頭がごちゃごちゃになる。体のほうは昂ぶる一方で、何かを期待するみたいに震えていた。
はあはあと荒い息を吐く光をじっと見ながら、皆川が言った。

「期待してる? 俺が女にしてやるよ」
「〜〜っ、ひああぁっ」

ふざけるな、と言おうとして、言葉にならなかった。
尻を緩く撫でていた皆川がショーツをずらしてアナルに触れ、指を押し込んできたのだ。

ぐにぐに……ずぶ、ずぶうっ……

「あぁああーっ…やめっ、あっ、あぁんっ」

体内に侵入される異物感と、それを遥かに凌駕するような強烈な感覚がアナルの中から全身に広がった。

「狭いな……でも奥まで入った」
「らめぇっ……あっひっあああッ」

ずぶっ……、ぬぶ、ぬぶ、ぐりぐりっ

皆川がゆっくり指を動かす。動きづらそうなくらい強い締め付けで、節くれだった部分が中をごりごり擦っていく。
そうされると、感じたことのない種類の快感に襲われる。怖い。でも気持ちよくてたまらない。

「あぁあんっ…ひっあッあうっ…あッあんっあんっ」
「すごい感じようだな……指ハメられて嬉しい?」
「ちがっ…アッあひっあっそこっ…ああ〜っ…」

ずぶっずぶっ、ぬぶっぬぶっ、ぐちゅっぐちゅっぐちゅっ

抜き差しがどんどん容赦なく、激しいものになっていく。性感帯に直接快感を与えられ、何も考えられなくなる。
皆川の吐息が首筋にかかり、その意外な熱さに身を震わせていると、唇が降りてきて乳首を舐められた。

「あぁあんっ! ひあっらめっ、あッあんっあんっあぁんっ」
「んっ……」

れろ……れろ、れろ、ちゅく、ちゅく、くりっくりっくりっ
ずぶっ、ずぶ、ぬぶっぬぶっ、ずぶっずぶっずぶっずぶっ

急に乳首をねっとり刺激され、アナルをぎゅううっと締め付ける。そこを激しく突かれて絶頂のような激しい快感を覚えた。
気持ちよすぎる。乳首を舐められ、舌で弾かれ、アナルの中の粘膜をぐりぐり押しつぶされる。あられもない声が止まらない。

「あぁんっ、あッあッあんあんあんあんあんっ! ああぁ〜っ…」

ぎゅっと閉じていた目を開けた。女物の可愛い下着をずらされ、乳首を舐められながら指マンされる自分の姿に、ものすごい倒錯感を覚える。
胸はブラの形に合わない平らで、ショーツに収まりきらないペニスが勃起してショーツを濡らし、柔らかい女のものとは違う筋肉のついた脚の間に男の侵入を許してアナルを攻められ――。

ぞくぞくぞくっ……

「ああぁあっ……」

なんて滑稽な姿だろう。屈辱と異様な興奮で、漏らしたみたいにペニスから透明な汁が出る。

「ん……乳首吸いながら指マンすると奥がぎゅうぎゅう締まる。気持ちいい?」
「あぁんっ……あッひあぁっあぁんっ」

ちゅく、ちゅく、くりくりくりくり
ずぶっ…ずぶっ…、ぐり、ぐり、ぐりっぐりっ

気持ちいい気持ちいい気持ちいい。頭では認めたくないのに体はもう否定のしようがないくらい快感しか感じていない。

「どうなんだ? いいならいいって言えよ。そうしたらもっと気持ちよくなれる」
「あぁあんっ……そんなっ、あっあぁっ、ひあぁっ」

鋭い皆川の目と目が合ってぞくりとする。
認めたくない。ずっとライバルで、気に入らないけど優秀な社員としてこれからも切磋琢磨していくのだと思っていた皆川に、こんな恥ずかしすぎる姿を暴かれて。
女物の下着を着けて、女にするみたいに攻められて、どうしようもなく感じているなんて。
――でも。

「気持ちいいんだろ、女の下着着けて女みたいに俺に犯されるのが」
「〜〜っ、きもちいいっ…あぁっ、いいっアッアッあぁあんっ」

ずぶっ……ずぶっ、ぐりゅっぐりゅっぐりゅぅっ

ついに認めてしまった。

「どうされるのがいい?」
「あぁあっ…乳首いじられながら、指でっ奥ぐりぐりされるのっ…いいっ、アッああぁーっ…」
「これがいいんだ。女物のブラとショーツずらされて、男にこうやって攻められるのが好きなんだな」
「あぁんっ…すきっ…、変態な格好して、女みたいにされて、嫌なのに感じちゃうっ…あッあんっあんっあぁんっ」

一度認めてそれを口に出すと、何かから開放されたみたいにより感じて快感が膨れ上がる。
羞恥も屈辱もなくなったわけじゃない。だけど気持ちよすぎてどうでもいいという気分になってしまう。
めちゃくちゃにされたい。自分にそんな願望があるなんて考えたこともなかった。

「ああぁっいいっ…アッそこらめぇっ…あっあんっあぁあッ」
「変態。……っ」

れろ、れろ、ちゅくっちゅくっ、くりくりくりくりくりくりっ
ずぶっずぶっずぶっずぶっ、ぬぢゅっぬぢゅっ、ぐりぐりぐりぐりぐりぐりっ

皆川は乳首を舐め、甘噛みしながら激しく指を抜き差しする。

「あッあッあッあッあぁんッ」

舌が乳首全体をねっとり舐めて刺激する。指が抉るように中を擦って快感を与えてくる。
どうして皆川はこんなことをするんだろう。気に食わない光のことを貶めるなら、密かに女性下着を身に着けているという事実だけで十分なのに。
ふと疑問が頭に過るがそれ以上考える余裕はなかった。 前立腺を押しつぶされ、強い絶頂感に放置されていたペニスがはちきれそうになる。

「あぁあんっ…いくっいっちゃうっ…アッあッああぁーっ…」

ずぶっずぶっ……ずぶぅっ

イく、という寸前で、指が音を立てて引き抜かれた。

「あああぁっ」

半分イってるみたいな状態で、でも射精はできないままで、喪失感と快感の余韻で体がびくびく震える。アナルが狂おしいほど突かれることを求めて収縮を繰り返していた。

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