白い秘密2 02
あり
「何言って……」
「だって、ぶっつけ本番で診察受けて、医者の前で喘ぎまくることになるなんて嫌でしょ?」
それは確かに、拓海がなかなか診察に踏み切れなかった理由の一つではある。
だからといって、この状況は明らかにおかしい。
「その点俺はお前の身体の隅々まで、もう知ってるから。全部ね……」
「……っ」
女なら卒倒してしまいそうな甘い声で囁かれ、だけど拓海は言外に脅されたような気になって、動くことができなかった。
そう、高梨には全てを知られてしまった。それを他の誰か、たった一人にでも知られてしまったら、自分は生きていけないとさえ思う。
「――さて、今日はどうしたの?」
「ぁ……」
この男の望む茶番に、付き合うしかないのか。
酷く屈辱で、なのに身体は何かを期待しているかのように甘く疼いた。
「黙ってたら分からないよ」
子供にするように優しく髪を撫でられる。変態と罵ってやりたいと頭では思うのに、口をついて出たのは全く違う言葉だった。
「む、胸が……」
「胸?」
「ちくび、が、おかしくて」
「じゃあ、診せてくれる?」
拓海は羞恥に目を伏せながら、シャツのボタンをひとつひとつ外していった。そうしていてもじっと見つめてくる視線を痛いほどに感じて、指先が汗ばむ。
「下に着ているのを、上に捲り上げて」
「……っ」
震える手でタンクトップを掴むと、躊躇しながらもゆっくりと乳首の上まで引き上げた。
「……君は、いつも乳首にこういうのを貼ってるの?」
「だ、だって……」
「どうしてつけてるのかな」
「……っ」
『お医者さんごっこ』なんて悪ふざけで済ますには、あまりに卑猥すぎる空気に、全身が燃えそうなほど熱くなる。
冗談だ、といつものようにへらりと笑ってくれればいいのに、高梨は容赦なく拓海を追い詰めてきた。
「答えて」
「……こすれる、から」
「擦れるとどうして困るの」
口調は優しげながら、熱の篭った視線は拓海の体に絡み付いて逃げるのを許さない。
「っ、ちくびが、じんじんして、へんになっちゃうから……っ」
「――そう。じゃあ、自分でテープ剥がして、見せて?」
「……っ」
屈辱的な要求に、拓海はきっと高梨を睨みつける。
こんなことならいっそ、勝手に触られた方がましだ。そう思う気持ちと、それとは裏腹のおかしな昂奮ととで、手が小刻みに震えた。
「ん、……」
刺激しないようゆっくりと、テープを剥がしていく。痛いほどの視線を感じて、顔を上げることもできずに指先を見る。
あらわになった乳首は、卑猥に勃起し張りつめていて、空気が触れただけでびりびりと痺れる感覚が走った。
見られている。こんな女のような、いやらしい乳首を。そう思うと余計に乳首が疼いて、その疼きは全身に広がって下半身まで甘く脈打ってしまう。
「……すごいね」
「っ!? ひゃっ、ぁんっ」
突然、高梨が乳首を撫でてきた。ほんの少し掠った程度だったのに、驚くほどの感覚が体を駆け抜け、ひっくり返った声が出てしまった。
「ん、痛かった? これは……?」
「あっひぁっ、らめっ…アッやぁっあぁンッ」
くりくりっ、ぐにゅ、ぐりっぐりっ
高梨は勃起した乳首の側面を親指と人差し指で摘み、指を擦り合わせるようにして弄ってきた。
一気に強い快感が絶え間なく体を苛み、腰がびくびくと揺れる。
「すごいな…これ、そんなに気持ちいい?」
「あんっヤッひぁあっ…あっはぁっ、ん、アッあっ…もっやぁっ、みるく、でちゃうから…っ」
母乳が出る前の強烈な快感に怖くなって訴えた刹那、弄られていた方と逆の乳首に、熱く濡れたものが絡みついた。
「ひゃっあぁんっ! あひっアッあんっあぁッ」
高梨がそこに顔を埋め、舐め始めたのだ。
舌でれろれろと転がされ、軽く吸われる。絶頂のような激しい官能に、全身がびくびくと跳ねた。
「あっあンッ、んっやっ、やらっあんっ…医者は、こんなこと、んっ、しない……っ」
快感に全てを支配されそうになるのをなんとか抑え、高梨を引き剥がそうとするが、より強い力で体を押さえつけられた。
「医者は舐めたりしない……? こんなエロい乳首晒すつもりで、本気で言ってるの?」
「っ…ひっあぁんッ! やっあぁッ」
高梨はどこか咎めるように言うと、歯を立てて恥ずかしい音が出るほど激しく吸ってきた。ぴゅっぴゅっと、少量のミルクが漏れ出す感覚に全身が甘く痺れる。
「こんなの見せたら、医者だろうが誰だろうがいやらしく弄ってくるよ。お前のエロい声を聞いたら驚くだろうな。そのうち感じてる姿に我慢ができなくなって、舐めてしゃぶって……ミルクが出るなんて知られたら、我を忘れて吸われまくるだろうね」
「ヤッ…あっあんッあぁんっ…」
両方を指押しつぶすように弄りながら、高梨は卑猥に責めたてる。
「エロいミルクをたくさん味わったら、ギンギンになったチ○ポを乳首に擦り付けて、アンアン言うお前の顔を見ながら精液をぶっかけて――。そこまできたらもう、我慢できるわけがない。散々感じたせいでシミのできた下着をずり下げて、そのまま濡れたお尻にチ○ポをねじ込んで、ミルクを撒き散らす乳首を味わいながら犯しまくるだろうな」
「あぁああんっ…やらぁっ、アッぁんっ、あんっ」
言い返したいのに、口をついて出るのはあまりに卑猥な喘ぎ声だけだ。異様な昂奮が拓海の全身を支配していた。
「ひっあっあんッ、いくっ…はぁっ、いっちゃうっ…、みるく、ん、でちゃう…ぁんっあんッ」
「はっ、やらしい……いいよ、倉科のミルク、全部飲んでやるから……」
言うと高梨は、乳輪ごと強く乳首を吸った。指で弄っている方も、搾乳するようにぎゅっぎゅっといやらしく摘んでくる。
抗いようのない圧倒的な官能に頭が真っ白になる。
「ああぁっらめぇっ、ぁんっ、出るっ、でちゃうっ、やっアッあひッ、あっぁんッあんっあああんっ!」
「――っ、ん、……」
全身が激しく痙攣し、どぴゅっどぴゅっと乳首からミルクが出て――それを嚥下する音が聞こえてきた。下半身もびくびくと震えながら下着をしとどに濡らしていく。
高梨は片方からしばらくミルクを吸うと、もう片方から出たミルクを舐めとり、
まだじわじわ漏らしている乳首を執拗に吸った。イったことで余計敏感になっている体には拷問のような快感で、拓海は荒い息を吐きながら身悶える。
「あん…、はぁっ、ぁ、も、やぁ…」
乳首を吸われるたび体が跳ねて、声を抑えることもできない。
高梨が、不意に視線をこちらに向けてきた。獰猛な目がこちらを射抜いたとき、拓海の体はずくんと疼いた。
「はぁっ……なんで、なんで、こんなこと……」
快感の余韻と羞恥とで涙が出てしまいそうだった。拓海はそれを誤魔化すように高梨を睨む。
「何でか、本当に分からない?」
腹立たしいほど力のある切れ長の瞳に見つめられ、問い返された。
「分かるはずないだろ…。嫌がらせにしたって、こんなの……俺の体のことを言うけど、お前だって十分変態だろ……っ」
「――変態、ね」
「っぁっん…!」
いきなり乳首をぎゅっと強く摘まれ、体に電流が走る。
「確かに今の俺は変態かもね。でもそれは、倉科のせいだよ…?」
「あんっ、やっ、ぁあっ」
高梨の手がベルトにかかる。その間も片手で乳首を左右に捻られているものだから、ろくな抵抗もできない。濡れた下半身が外気に晒され、不快な感覚に見舞われる。
「すげえぐちょぐちょ……。乳首弄られただけでこんなになっちゃったの、医者に見せられる……?」
「やっぁんっ…やめっ、んんっ…」
ボクサーパンツには卑猥な染みが広がり、ペニスの形がくっきり浮かび上がってしまっていた。
上半身はシャツをはだけさせ赤く立ち上がった乳首を晒し、下半身は女のように濡らして昂奮している――どうしようもなくいやらしい姿に痛いほど高梨の視線を感じて、体がぞくぞくと震えた。
「やらしい……見られて感じてるんだ」
「ちがっ…あぁんッ!」
くちゅっ、ぬちゅうっ
耳元で囁かれながら先端の割れ目を撫でられ、電流が走ったような刺激に腰がひくつく。
「やっあっアンッやめっ…ひぁっんんっ…!」
濡れたペニスを扱きながら、高梨は身をかがめて乳首を吸ってきた。そうされるともう、あまりの快感に抵抗なんてとてもできなくなる。
ちゅぶっ、れろっれろっ、ちゅ、ちゅうっ……ぬちゅっぬちゅっぬちゅっ
高梨の手は散々ペニスを弄ったあとゆっくりと下へ降り、自分でもろくに触れたことのないような場所へ近づいていった。
そこはもうずっと濡れそぼってひくついていて、触れられた瞬間指に吸い付いた。
「あっひぁんっ…そこは、や…ぁっあっ…」
「すげえひくひくしてる……指いれていい……?」
「やだっ…ぁあっ、はぁっ、やっ……」
口では何とか拒絶の言葉を出しても、体はどうしようもなく昂ぶって、やり場のない悦楽に呼吸が苦しくなる。ついこの間、ずっぽりと指をハメられ、自分ではまったく知らなかった性感帯を散々突かれてかき回された記憶が、嫌でも蘇ってくるのだ。
そんな様は高梨を煽ることにしかならず、長い指はじれったいほどゆっくりと、狭いなかへ入り込んできた。
「あぁん…! やっ、あっアッ、んんっ、やだぁっ…」
「はぁ……指一本だけなのに、狭すぎ…」
微かに上ずった声で呟くと、高梨は挿入したまま指で腹側の一点をぐりぐりと擦ってきた。そこは前回、ペニスで突かれまくって信じられないほどの快感に襲われた場所で、指で少し弄られただけで腰が激しく跳ねてしまった。
「やああぁっ、そこっあっあんっあんッ…やめっ、やっあっあっひあぁッ」
「ん、ここがいいんだよね…すごく締め付けてくる」
「やっちくびやらぁっ…あっあんっあんあんっ!」
じゅぶ、じゅぶ、ぐり、ぐりっ、ごり、ごりぃっ
ちゅ、れろれろ、ちゅぶ、れろ、ちゅうううっ
高梨はやめるどころか、指を増やしてピストンしながら、屈んで乳首を激しく舐めてきた。
「あっあんッ…あーっ…やっ、でちゃうっ…ひっあぁっいっちゃう、もっやぁああんっ!」
身も世もなくそう叫んだ刹那、指が引き抜かれたかと思うと、余韻に浸る間もなく熱く凶悪なものが穴に押しつけられた。
びきびきに勃起したそれは先走りで濡れていて、なんともいやらしい感覚が触れたところから全身に広がる。
「はぁ、はぁっ…やだっ、それ、なんで…や、ぁん……」
前にその凶器でどれだけ感じさせられ、はしたない姿を見せたか、拓海の体は忘れたくても忘れられないでいる。激しくせめぎ合う恐怖と期待で目を潤ませ息を乱すその表情は壮絶にいやらしかったが、それを自覚する余裕など拓海にあるはずもない。
「っ……ねえ倉科、俺がなんでこんなことするのか、本当に分からない……?」
「知るかっ……はぁっ、も、や……」
唐突にそんなことを聞かれても、分かるはずがなかった。
もうやめてほしい。もう早く挿れてほしい。――自分がどちらを求めているのかすら、拓海には最早分からなくなっているくらいだったのだから。
「馬鹿だなお前。――もっと悩んでよ。俺と同じくらい……」
「っ、ふざけ、俺はっ……」
この身体のことで死ぬほど悩んだ自分に対して何という暴言を――と怒ってやろうとして、しかし言葉は続かなかった。
高梨の、射殺されてしまいそうなほど熱い目に、不覚にも見入ってしまったのだ。
だがそれも、一瞬のことだった。
「……っやっ、あっひっあぁあああんっ!」
「っ、はぁっ……」
ずぶ、ぬ、ずぶっ、ずぶッ……
高梨は腰を突き進め、怒張が狭い肉をこじ開けて中に挿入された。息の詰まるような圧迫感と、性感帯を強制的に押しつぶされている怖いほどの悦楽に、頭の中が真っ白になる。
「あっ…あひっん、ん、んぅっ……」
奥までずっぽりとハメ込むと、高梨は荒々しく拓海の唇を塞いできた。舌を吸われて絡められ、その痺れるような気持ちよさに拓海は半ば無意識に腰を揺らしてしまう。
すると高梨は昂奮したように息を荒げ、いきなり腰を引き、強く打ち付けてきた。
「んんーっ! んっ、ひっあっあひっあんっあんっ、いくっいっちゃうっヤッあんっあぁっ!」
びっちり内部を埋め尽くすもので前立腺を強かに叩かれ、もともと絶頂を引き伸ばされていた拓海の身体は一気に上り詰める。
高梨はピストンを止めることはなく、ミルクが噴出すのを待っていたかのように乳首に吸い付いた。
羞恥心など、感じる暇もなかった。
ズッズッずぶっずぶっ、ぬぶっ、ごりっ、ぐりっぐりっパンパンパンッ!
「あーっいくっあっあんッミルクでちゃうっ…! あひっんっやッあんっあんッああぁーっ!」
パンッパンッぐりっぐりっゴリゴリッ!ドピュッドピュッピュッドプゥッ!!
「ひああぁっもっやあぁっあっひぅっあんっあんッやぁんッ」
ペニスと乳首から、勢いよく白濁が飛び散る。高梨は舌を絡めて乳首を吸いながら、絶頂に蠢く中を貪欲に犯し続ける。
イッている最中に性感帯を滅茶苦茶に刺激されるのは気の狂うほどの快感で、拓海は恐怖すら感じて止めようとするが、高梨がそれに従うはずもなかった。
「はぁっ、は……ホント、やらしすぎ……心配になるよ……」
「あぁんっんっ、やっ…あんっあんッあんッ」
ミルクを味わい、腰をまわしながら、高梨が掠れた声で囁く。乳首を舌で押しつぶし、転がされ、舐めながら吸われると、射精したときのように鋭い快感が全身を駆け抜ける。そのたびにアナルが激しく収縮して
、ハメ込まれた長大な肉棒のかたちをありありと感じてしまう。
それは否応なしに、高梨にも信じられないような快感と昂奮を与えていた。
「っごめん、一回イっていい?」
「んっいって…あっあぁんっおれもっまたいっちゃ、いっちゃうっ……」
拓海としては早く達して、この拷問のような快感から解放されたいという想いだった。だがその甘い声ととろけきった表情は、高梨を余計に煽ったのだった。
「はっ、倉科……出すよ、お前のなかでっ……」
「ひっあぁっなかはっ、あっあんあんッあひっあっあぁあんっ!」
ぬぶっぬぶっ、ずぶっずぶっごりっごりっパンッパンッパンッパンッ!
両手で乳首を弄られながら激しく何度も腰を打ち付けられ、拓海は高梨の腕に縋りついて泣き叫ぶように喘いだ。
「あっ、く、いくっ…!」
「あひっあんっあんあんあぁんッんっあぁーっ!」
パンパンパンパンッズブッヌブッごりっごりっ…ドピュッ、ドプッ、ドピュッ!
「あーっ…あっあァッ…んっやぁッあぁんっ……」
「ん……」
散々前立腺を突かれた末、怒張がドクドクと脈打ち、熱いものが勢いよく中に叩きつけられた。拓海も再び達してしまい、ミルクを舌で絡めとられる。
「あん…も、やぁ…っふ、ぁんっ」
軽く歯を立てながら吸われたりすると、未だ抜かれていないものをぎゅっと締め付けてしまって、拓海はもう泣きたい気分になる。
――-気分、だけで済めばまだよかった。散々乳首を舐め、吸われ、噛まれ、そのたびに感じまくっていると、いつの間にか中のペニスは完全に硬さを取り戻していたのだ。
「倉科、かわい……」
「やっ、あっ、あぁんッ……」
勃起で中を抉られると、意思とは無関係に甘い声が漏れ、高梨に唇を塞がれる。
そのまま、欲望をぶつけるような激しいピストンが始まった。
(あれ、何でこんなことに、なったんだっけ……)
快感で支配された頭でふと考えてみても、答えはでない。
拓海の悩みが解消される日は、果たして来るのだろうか。
end
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