墜ちる騎士3話 03
あり
初めてのときはあれでも手加減されていたのだと気づかざるを得ないほど、今日の性行為はリヒトの快感を引きずり出すために一切の容赦がない。
抗議したくてもメスイキが止まらなければそれどころではない。むしろ口がきけたら自らを揺るがす淫らな言葉が出てしまいそうで、リヒトは快感に震えながら戦慄する。
ずぶっ…どちゅっどちゅっ、ぐりっぐりっぐりっぐりっぐりっ…
「あ゛っひっおっおぉっ」
「全部俺に委ねてしまえばいい……俺のメスになると言うんだ」
「やああっ…あ゛っひっん゛っおおっあ゛っまたっい゛っ…いぐっ…んっやああああぁっ」
ぬ゛ぶっぬ゛ぶっ、ぐりゅっぐりゅっぐりゅっぐりゅっ…!
くりくりくりくりっ、こすっこすっこすっこすっ
びくびくびくっ……ぎゅううっ、ぎゅうううっ……
少しも責めを緩めることなく、腹側の性感帯と乳首への小刻みな刺激が続く。
何度メスイキしているのか分からない。アレクシスは完全に今日リヒトをメス堕ちさせる気なのだと、硬く滾った亀頭から、荒々しい息遣いから嫌というほど伝わってくる。
(だめ、だめだ……っそこばかり、すごく気持ちよくなっちゃうところばかり、亀頭でぐりぐりするのらめぇっ…。またメスイキしちゃうっ…これ以上したら、何も考えられなくなる、おま〇この中を犯されることしか考えられなくなって……騎士じゃいられなくなる……っこの男のメスにされてしまう……!)
「あ゛あああっ…おぉっ、あへっ…もっ、そこっやめっ…あ゛っあ〜〜っ…」
「どうして駄目だと? これほどよがっているというのに」
「ああああっ…あひっ、メスイキッ…止まらないっ…変になるっ、乳首と……っ中のっ女になっちゃうとこっ…一緒にしないれぇっ…あんっあんっあああっ…」
「確かにもうずっとメスイキしていますね……俺のものになる気になりましたか? もう俺の男根なしでは生きていけないでしょうっ」
「やっ…いやだっ…おれ、俺はっ…あ゛っひっらめっらめえっあ゛っアアアアアッ」
ずぶっぐちゅっぐちゅっぐちゅっ…ぐりゅっぐりゅっぐりゅっぐりゅんっ
こすっこりっこりっこりっこりっ…ぐりぐりぐりっ
この期に及んで、性感帯を擦る動きと乳首への責めが激しさを増す。リヒトはよだれを垂らしながら呻き、喘いだ。
絶頂を何とか耐えようとしても、少しばかり先延ばしするこにしかできない。我慢した分快感は大きく膨れ上がり、羞恥と背徳感までついてくる悪循環だった。
「これほどよがっているのにまだ嫌……ですか。ではここばかり突くのはやめて差し上げましょうか」
「ん゛あああっ…ひっ、あっ、お願いっ…んおぉっ」
「分かりました。では――」
「ひっ……〜〜〜っあ゛あああああッ」
ずっぶ…………ぬ゛ぶっ……ずぶぶぶぶっ……
宣言どおり、一度抜かれた男根は今度はあの場所を突いてくることはなかった。そのかわりに、今まで届かなかった奥の奥まで、男根がねじ込まれた。
散々メスイキしたせいで柔らかく蕩けた中は、男根を受け入れてしまった。本来入れてはいけない場所にまで。
「ん゛っおおおっ…はひっ…い゛っ、〜〜〜っ」
「はぁっ……分かりますか。俺の男根が、奥に当たっている……結腸と言うんですよ」
「あ゛ああっ…らめっ、ん゛っ、ひっ……あっあんっああああぁんっ」
「男でも……ここを突かれ続けたら妊娠するかもしれませんね。メスとなるあなたなら尚更だ」
ずぶっ……ガンッガンッガンッガンッどちゅっどちゅっどちゅっどちゅっ
くにくにこすこすっ…くりくりくりくりくりっ
乳首責めは続けたまま、アレクシスは今度は男根を大胆に引き抜き、勢いをつけて奥までねじ込む動きを繰り返す。
「結腸」――またも知らない単語だ。わかるのは、そこを男根で突かれてはいけなかったということだけ。
男の穴には女の子宮のようなものはない。はずなのに、確かに奥のその場所に、硬い亀頭が強く当たっているのが感じられる。
先程までの絶頂よりももっと深く、禁断の快感が否応なしに引きずり出される。
「ああああっ…やめっ、おぉっそこっ、奥っだめっあっああんっだめっ当たってぅっ…硬いので突かないでぇっ…あひっい゛っんあああっ」
「気持ちいのでしょう。奥まで犯されて。ほら、結腸に当たるとぎゅうぎゅう絡みついてきてっ、イっているんじゃないですか、これ。メスアクメキメているのでしょう、俺の男根で一番奥にキスされてっ」
「ん゛ぉおっらめっイっ…らめぇえっ、きすっ、しないれぇっ…あ゛っひっん゛っあああぁっ」
ズンッズンッズンッズンッズンッ、パンパンパンパンパンパンっ!
くりくりくりくりくりっ…こすっこすっこすっこすっ
騎士としての挟持、義務感、敵国の将兵への憎しみ――全てを塗りつぶしてしまうほどの快感だった。屈辱より蕩けるような快感と、メスにされる倒錯感が勝っていることに気づいて、どうにか正気を保とうとしても、結腸を潰すように突かれるとその一度だけで脳が快感だけで許容量を超えてしまうのだ。
「うあああっ…らめぇっ、またっメスアクメっ…おぉっんっひっあッおおっ」
「俺のものになると言って……そうしたらあなたを生かして、ずっと気持ちよくしてあげます」
「はああっんっ、やっ…あっあ゛〜〜っ…」
アレクシスのものになって、ずっとこの快感を享受する。あまりにも魅惑的な誘いに頭の中まで淫らな色に染まる。
パンパンと肌がぶつかる音が響く。アレクシスの男根も高ぶりきっているのが伝わってくる。
気持ちよすぎる。リヒトはつい、弱音を吐いてしまった。
「あああっ…らめぇっ…怖いっ、メスになるのっ…やぁっあ゛っあ゛っ」
「俺のものになれば、何も怖いことなどなくなる」
「やあぁっ…メスっになったらぁっ…お前のことしか考えられなくなっちゃうっ、そんなのっ…おっんっほおぉっ」
「くっ……」
ズンッズンッズンッズンッズンッ、ぱんっぱんっぱんっぱんっ!
中で男根が膨れ上がったかと思うと、叩きつけるように激しくピストンされる。一突きで頭をおかしくさせる結腸を、逞しい男根で何度も犯される。
アレクシスが険しい顔でリヒトを睨みつけながら、熱い息を吐いた。
――中に出される。予感を抱いた途端、躰が甘く痺れた。
「あ゛ひっ、やっあ゛っあ゛っおおおぉっ」
「はぁっ、いくっ、中に出しますよっ……!」
パンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンパンッ!
どびゅっ……ビュッ、ビュルッ、ビューーーーーッ……
「んひぃ、っあ〜〜〜っ……」
「はぁっ……はぁっ……」
激しく蹂躙するような抜き差しの末、奥に熱い液体が注がれる。子種が、結腸に叩きつけられている。
リヒトは快感に喘ぎ痙攣しながら、自らの意志では少しも動けないほど呆然としていた。――また中に出されてしまった。男の子種を、奥の奥に塗り込まれている……。
ともあれ完全に墜ちる前に、アレクシスは絶頂に達して行為は終わったのだ。
と思いきや、間髪入れずに抜き差しが再開され、リヒトの口から一際高く淫らな声が上がった。
「ああぁんっ…やっ、あっあんっあんあんあんあんっ」
「はぁっ……これで終わりだと思いましたか……? だとしたらあなたはやはり男を知らなすぎる」
「ひっおぉっんっあっあ゛っ」
ずぶっずぶっずぶっずぶっ……ごりゅっごりゅっごりゅっごりゅっ……
少し腰を回しながら奥まで突かれると、最初に散々擦られた性感帯から、一番奥の結腸まで全てを太い男根が擦り上げていく。
快感が全てを凌駕する。そもそも一回目でほとんど限界のところまできていたのだ。乳首を指で弄られながら、一度出した精液を中に染み渡らせるようにまた犯されたりしたら……。
「あ゛あああっ…おぉっ、んっひっらめぇっ…これ以上っあ゛っおくっ精液がっ…もっと奥にはいっちゃうっ…ひっあ゛っあああああっ」
「一度目は締め付けに堪えきれず搾り取られてしまいましたが、今度はそうはいきません。時間をかけてじっくり突いて差し上げる」
「やああっ…あ゛っひっんっおおっぉっそんなのっ…あっあ゛っあ〜〜〜っ……」
リヒトは部下の顔や、信奉する第二王子の顔を思い浮かべようとした。だがどうしてもぼやけてしまう。目の前の男の、精悍に整った顔が快感に歪んだ表情は、嫌というほど目に焼き付いて離れないというのに。
抜き差しは最初から激しく、結腸まで押しつぶし、エラの張ったカリが腹側の性感帯を擦り上げていく。そうしながら器用に乳首を指先でくりくりと弾き、時には摘んでこね回す。
快感のためだけの行為がリヒトをどんどんメスにしようとしていた。アレクシスの言葉に嘘はなく、短時間でも許容しきれない快感を長く与えられ続ける。
「あ゛あああ〜っ……ん゛っひっ、いっ、あっあんっふああっ…らめぇえっ…おま〇こっ、おま〇こもうっしないれぇっ…結腸っおかしくなるっ、んっ、しょこっ…あっあああっ」
「気持ちいい……? 白銀の騎士ともあろう人が、俺の男根で何度もメスアクメをキメて……」
「やああっ…めしゅアクメっ…ひっあ゛っあっおま〇こっ…おま〇こへんっ…ンッ硬いっ…硬いのっ…中が、こすれてぅっ…ゴリゴリされてっ…んっああああぁんっ」
いつしかリヒトは、無意識に淫らな言葉を垂れ流していた。アレクシスはギラギラと興奮した目でリヒトを追い詰め、決定的な言葉を言わせようとする。
それでもリヒトは、「アレクシスのメスになる」と言うのでだけは寸でのところで耐えていた。それを言ってはいけないという理性だけは一番深いところに残っていた。その時までは――。
乳首を擦り、腰を穿ちながら、アレクシスはとびきり甘い声で囁いた。
「――あなたが俺のものになれば、部下は助かる。ギルバート将軍はあなたの淫らな姿を見せしめにするかもしれませんが……」
「あ゛っ……んああぁっ……」
大股を開き、男根を受け入れて何度もアクメする姿を皆に見られる――。屈辱と、ゾクゾクとした甘い痺れが背筋に走った。憤るべきところで顔が淫らに蕩ける。
すると代わりにアレクシスが憤り、責めるように突きを強くする。
「ん゛っおおおっ」
「っ、ぎゅうぎゅうと絡みついて……淫らな姿を大勢に見せつけるのを想像して興奮したんですか? 俺だけのペニスでは飽き足らず、皆に見られて男根を勃起させ、扱かせなければ満足できないとでも言うつもりですか」
「ひぁっあ゛っそんなっ…おぉんっ、あっあっあ゛っ」
「そうはさせない……。あなたは俺だけのメスだ。……愛していますよ」
「〜〜〜っ……あああっ…」
ずぶっずぶっずぶっずぶっ、ぱんっぱんっぱんっぱんっ!
びくっびくびくびくびくっ……ぎゅうううっ……
思いがけない甘い言葉に、リヒトは驚愕しながら激しく感じて、また軽く絶頂し、硬い男根を食いちぎらんばかりに締め付ける。
その反応にアレクシスも男根を高ぶらせ、眉間に皺を寄せながら追い打ちをかけてくる。
「ずっと俺だけのものだ……俺の花嫁にして差し上げます。花嫁になって、ずっとこうして蕩けたおま〇こで俺を受け入れて、毎日メスイキし続けるんですよ」
「あ゛〜〜〜っ…ひっ、ぁあああっ…」
――ありえない。懐柔させるために、砂を吐くような白々しい嘘を吐いているだけだ。
正気のリヒトであればそう切り捨てていただろう。あるいはアレクシスの演技がもっと下手であったら。だが淫らに腫れ上がった乳首と中の粘膜を擦られ、何度もメスイキしながら、興奮した顔で自分を犯すアレクシスに真剣な目で甘い言葉を囁かれ――。
(愛……なんてっ、そんなこと、子作りするための淫らな行為をしながら言われたら……、奥に、結腸に、興奮した男根で、キス……っしながら言われたら……っ)
厳格に育てられたリヒトは、愛の言葉で誘惑されたことなどなかった。興味や憧れがまったくなかったと言ったら嘘になる。まさかこんな状況で言われるとは思ってもみなかった。
とうとうリヒトの中の大事なものが、完全に崩壊してしまった。
「んっおおおっ…めすっ…メスになっちゃうっ、おま〇こっ奥まで、結腸まで犯されて、アレクシスのっメスにされちゃううっ…ん゛っひいっ」
「はぁっ……俺のものに、なると言うんですね、」
「ん゛んっなるっ…メスになる……っ、アレクシスのっメスにしてっ、ずっといやらしい穴にっおっきいのハメてぇっ……あ゛っああああああっ」
どちゅっどちゅっどちゅっどちゅっ…ズバンッズバンッズバンッ!
(あああぁっ……言ってしまった、もう取り返しつかないっ……メスになるの止まらない、中がっ……アレクシスの勃起に媚びちゃうっ……欲情した男根でメスの悦びを覚え込まされて、永遠に忘れられなくなる……っ)
アレクシスは強くリヒトを抱きしめ、締め付ける中を無理矢理に奥まで突きまくる。
結腸のくねった部分に、硬い亀頭がぴったりとハマり、擦り上げ、すぐに引き抜かれて内壁全体を擦り、また結腸の奥まで突かれる。
男でも妊娠させられると信じて疑わなくなるような、壮絶な抜き差しだ。
「あ゛ひっん゛っおぉぉっ、いいっイッ…あ゛っいいっ、奥っ、アレクシスのっ逞しいのがあたってぅっ、ゴリゴリらめえぇっ、あっんっはああぁんっ」
「俺のものになるなら、国のことも、部下のことも、第二王子のことも忘れられますか……?」
「うあああっ……ん゛っひっそれはっ……ああああっ」
「即答できないんですかっ……俺の花嫁のくせに、気が多くて困る。淫乱な奥さんだ。俺のものだと、まだ自覚がたりないようですねっ」
「ああああっ…ごめんなさっ…ん゛っぉおっあっひっイッアクメッ…めしゅアクメしてぅうっ…あ゛ああああっ…」
ぐちゅっぐちゅっぐちゅっ、ずぬ゛っずぬ゛、ごりゅっごりゅっごりゅっごりゅっごりゅっ!
こすっこすっぐにぐにっ、くりくりくりくりっ……
咎めるように乳首を引っ張り、こねながら腰をごりごりと回され、リヒトは深いメスの絶頂の中に放り込まれ、戻ってこられなくなる。
忠誠を誓った国のことを完全に忘れるなんて無理だ。でも、アレクシスに犯される快感が、抗いようもなくリヒトをメスにしてしまったのは、揺るがぬ事実だった。
「……他の何も見えなくなるように、また奥に種付けして孕ませてあげます……っ」
「ひあああんっ、妊娠やらぁっ…あ゛っらめぇっ、子種注がれながらっメスアクメしたらっ…孕んじゃうからっらめぇっあ゛っひっん゛ぁああっ」
「なんていやらしい……。そうですね、メスアクメさせながら種付けしたら、あなたほどのメスならいずれ孕むでしょう。この淫らで男を誘う乳首からも、ミルクが出るようになるかもしれませんから、今のうちにたくさん可愛がらなくてはね。ほら、孕め、孕めっ」
「ひっイっあ゛ッん゛ッおおおおぉっ」
ぬぶっぐちゅっぐちゅっ、ばちゅっばちゅっズバンッズバンッズバンッ!
こすこすこすっぐりっぐりっぐりっぐりっぐりっ……
孕ませる勢いの叩きつける抜き差しに、本当に着床させられる恐怖と恍惚感に支配される。乳首もずっと弄られ続け敏感さが限界を超え、そこだけで達して液体が……ミルクが出てきてしまう錯覚すら覚える。もう、心身ともにメスになったとしか言いようがない淫らな惨状だった。
「あ゛ああっ……ひっあ゛っんっおおぉっ」
「はぁっ……出すよ、中にっ……淫らなおま〇こに、俺の子種を全部注いで、俺の味をしっかり覚えてもらいます」
「あ゛っひっいっんんっあひっあへっおぉんっ」
「いいですよね……? 花嫁になるんですから、旦那様の子種がほしいとねだって。でなければ中に出してあげませんよ」
ズンッズンッズンッズンッズンッ、ごりゅっごりゅっごりゅっごりゅっ!
どちゅっどちゅっぬぶっぬぶっぬぶっぬぶっパンパンパンパンッ
「あ゛っんっふ…ひああっ…メスっ……なるっ、なかっ、中にだしてぇっ、孕んでもいいからっ……あ゛っしゅごいっ、当たってぅ、激しいのっ、ん゛あああっ」
「ん……?」
「〜〜〜っ……子種っくださいっ…あ゛っんおっ…旦那様のっ子種、男根から中にびゅーってしてぇっ……! もうハメられないと生きていけなくなっちゃったからっ、アレクシスの子種注いでっ、お嫁さんにしてっ…あ゛っひっんあああっ」
「ああ……ッ、くっ、イくっ、イくっ………ああっ」
ずぬ゛っずぬ゛、バチュッバチュッバチュッバチュッ、パンパンパンパンパンパンッ!
ドビュッドビュッ、ビュルッ…ビュルルルルッ……
「あ゛〜〜〜っ……ん゛ひっ、出てっ…あ゛っ、あ゛っ……」
「んっ……はーっ……はーっ……孕め……っ」
「おぉっ……すごいっ…いっぱい……溢れちゃうっ……んあああぁ……」
結腸を何度も突かれ、これまでになく男根が中で巨大化しながら脈打ち、最奥に熱い液体が叩きつけられた。アレクシスは荒い息を吐きながら、ダメ押しするように射精中の男根を結腸に押し付け、塗りたくってくる。
リヒトは終わりの見えないメスイキをしながら、自分をアレクシスのメスにする液体に恍惚と震えていた。
◇◇
アレクシスはついにリヒトを手に入れた。
高ぶった感情を制御しきれず、女にも言ったことがないような、反吐が出るほど甘い言葉をリヒトにぶつけてしまった。リヒトを墜とすための言葉だと言い訳しながら、ついにリヒトがアレクシスの花嫁になるとメスイキして泣きながら口に出したとき、甘い恍惚感がアレクシスを貫いたのだった。
性行為中の戯れで済ませる気は微塵もない。男根がなければ駄目な躰になってしまったのだ、いずれにせよ誰かのものにならなくてはリヒトが生きる術はない。そうしたのはアレクシスだし、無論誰かにその座を譲る気は毛頭ない。たとえギルバートであっても。
結局、部下という足かせがなければ完全に墜とすことは困難だったのだけが不満だ。
部下の存在によってリヒトを操れるなら最大限利用すればいいだけのことなのに。気に入らないのは完全にアレクシス個人の感情でしかない。
大体、あの部下共もリヒトにただの上司に向けるものではない目を向けていたことを、気づいているのだろうか。――いや、リヒトは考えもしないに違いない。
崇拝の中に混じった思慕、劣情。女の代替であるのかも怪しい。
リヒトの淫らな姿を今度は隠さず見せつけてやれば、扱いやすくなるだろうが……想像して苛ついた。できれば二度と近づけたくない。
今後も敵国の将である彼を囲い込んでおくためには様々な手を打たねばならないだろう。全く苦には思わない。
あれは一生、アレクシスのものだ。
end
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