一度だけ 02


あり


「――はぁっ、ありがとう、結構楽しかったよ。じゃ、俺はこれで」

作り笑いを浮かべ、守はその場を立ち去るため机に手をついた。
正直勃起してしまっていて苦しかったが、さっさと出て行かなければ惨めな想いをするだけな気がしたから。
このあと一人トイレで抜かなければならないという現実も、十分惨めなものではあったが。
自虐的なことを考えつつ立ち上がろうとした瞬間、ペニスを大きな衝撃が襲った。

「ひい゛い゛っ!? いあああっ、ヤッ、いっ、いだいぃッ!」
「どこへ行こうってんだ、アア!? チ○ポしゃぶってビンビンにおっ勃てやがって、ド変態が!」
「ヤアアッ、いぃっ、あひぃっあああっ!」

あまりの刺激の強さに身体が崩れ、身も世もなく鳴き叫ぶ。
水無瀬が、足でペニスを踏みつけてきたのだ。
もっとも思い切り踏まれたのは一瞬のことで、次には嬲るように足の裏で擦ってくる。

何故こんなことをされるのか、と回らない頭で必死に考えて、きっと自分だけが軽蔑すべきゲイのフェラなどでイかされた事実が気に入らないのだろう、と思い至る。
守にもそれ以上の屈辱を味あわせたい、そんなところなのだろう。
胸がずきりと痛んだが、ものは考えようだ。
そっちがその気なら、それを最大限に楽しんでやればいい。

「うああッ…くっ、んっ、はぁっ
「――んだよ、足で踏まれるのが好きなのか、マゾ野郎」

水無瀬は怒りのためなのか、荒い息を吐きながら責め立ててくる。
実際自分はマゾなのかもしれないと守は思った。
屈辱的な行為のはずなのに、身体が疼いて、気持ちよくてたまらないのだ。

「あっアァッ、好きっん、みなせのあしっ、きもち、いいっあぁんっ

守は足に勃起を擦り付けるように、淫らに腰を揺らした。
惨めで変態的な自分の行動にも感じて、甘い声がひっきりなしに漏れる。

「っ、ちっ」

舌打ちと共に刺激が止んだかと思うと、水無瀬が乱暴に守のスラックスを引きずり下ろした。

「っんだよこの濡れ方……ホントにカマだなてめえ、ま●こついてんじゃねえのか?」

ぐっしょりと濡れた下着を見てそう嘲りながら、パンツをもずり下げられてしまう。
勃ちあがって涙を流すペニスも、色の薄いアナルも、全てが夕陽の下に晒された。

「や、あはああぁ……

じっとりとした視線を感じ、身体がビクビクと痙攣して止まらない。
アナルも何かを求めるように収縮して、そんなさままで見られているという事実に一層高まる。
涙目で水無瀬を窺うと、そのペニスは再び勃起していた。
ゲイを散々馬鹿にしていたくせに、という気持ちと、それよりも強い衝動が、守を動かした。

「んんっ…ふぅっ、ぁんっんっ、はあぅっ

守は股のぬめりを指に絡めると、そのままアナルに挿入した。
見せ付けるように腰を高く上げ、ヌプヌプと音を立ててゆっくり出し入れする。

「はぁっ…みなせ、お前さ……、こんなの、ぜんぜん嫌がらせになってないって、ん、もう気づけよ。はぁっ、おれはこーいうの、ぁっ、興奮、するだけなんだよっ」

いったん指を引き抜くと、守は開き直ってそう言ってやった。
もう水無瀬にどう思われようが知ったことか。
見られているというだけで最高に興奮するオナニーだし、嫌がらせも兼ねられる。
もしあの大きいものを挿れられたら、なんて想像すると、もう堪らなかった。

グヌッ、ぬっぬっ、ぬちゅっ、ちゅぶっちゅぶっ、ヌプッヌプッヌプッ

抜き差しのスピードを速めると、気持ちよさにじいんと全身が痺れた。
いいところには届きづらくてもどかしかったが、それでも十分すぎる刺激にイッてしまいそうになる。
好みそのままの顔と巨大なペニスをオカズにしてフィニッシュしてやる、とじっと水無瀬を見つめると、何かを耐えるような表情をしていた水無瀬が低く呻き、動いた。

「ふぁあっみな、せ……? っ、アッあああぁッ!!
「あ――っ、く、はぁッ……!」

何が起こったのか、一瞬理解できなかった。
ただ水無瀬が猛獣のように覆いかぶさってきて、気がついたときには、アナルに怒張を挿入されていた。

「ひうっ、いぃっ、やはぁっ、いだっ、アッひぃっ」
「くっ、んだよこれっ、てめえ、少し緩めろっ」
「ヤっ、むりっ、ぬいてぇっ、はぁっはぁぅっ

無理矢理巨大なものをねじ込まれ、守はわけもわからず苦しさに喘ぐ。
経験したことのない圧迫感と刺激に、全ての感覚がそこに集中しているかのようだ。

「今更、抜けるかよ。処女みたいなこと言ってんじゃねえっ」
「あはぁっ、らって、はじめてだからっ、むりぃっはぁ、う……」
「……んだと?」

必死で訴えると、間の抜けたような掠れた声が返ってくる。
話しているうちに少し馴染んできたが、それでもやはり辛い。

「てめえ、嘘言ってんじゃねえぞ。だれが、はじめてだって…?」
「ひっ…ぁっ、オナニーは、ぁっ、してた、けど、はぁっ、ん、ち○ぽなんて、ぁっうぅ、あるわけないっ…」
「なっ……」

瞬間、なかのペニスがドクッと震え、より体積を増した。
苦しさとそれだけではない疼きに、守は更に息を荒げる。

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