誠人、ピザを届ける。 02

あり
着いてしまった。
届け先は小奇麗なマンションの一室で、誠人のアパートとは比べ物にならないほど家賃が張りそうだ。
金に余裕のある人間になけなしの金を奪われていたのかもしれないと思うと、なんとも嫌な気分になる。
しかし、今となってはそんなことを考えても仕方がない。
部屋の前に着いたころには、誠人は額にじっとりと嫌な汗をかいていた。
――大丈夫だ。早く済ませて、早く帰ろう。
誠人は震える指でインターホンを押した。
「はい?」
一言だけでびくりとしてしまうほど、誠人はその声を忘れられていなかった。
「…××ピザです。お届けにあがりました」
いつもと同じようにと意識しても、声を聞いた途端そんなことは頭から飛んでいってしまう。
ガチャリとドアが開いたとき、音が聞こえそうなほど誠人の心臓は激しく鼓動していた。
「おっ、お待たせいたしましたっ」
ばっと頭を下げる。このままの低姿勢で金を受け取って、さっさと帰ってしまおうと。
「……」
「ご注文の品、ミックス4のMサイズ、コーラで……」
俯いて手元の伝票を読んでいたとき、不意に誠人は腕を掴まれた。
「っ!?」
反射的に、誠人は顔を上げてしまった。
「――やっぱりお前か」
鋭い視線を向けてくる加西と目が合った瞬間、身体に電流が走ったかのようにゾクリと震えた。
「久しぶりだなあ。まあ上がれよ」
「ぁっ……」
何も抵抗できないまま玄関に引き入れられ、ドアが閉まる。
「まさかこんな風に会うなんてなあ? つくづく運が悪い奴だな」
声がどこか遠くに聞こえる。
おかしい。おかしい。身体が熱い。
「今日は守ってくれるお友達がいなくて残念だな? 何とか言えよこのホモ野郎」
「……っ」
恐ろしい。不快だ。だけどそれ以上に。
加西の吐息が、低い声が、服の上からでも分かる逞しい身体が。
そのすべてに反応して、下半身に直撃するような甘い痺れが身体を駆け巡る。
「……、お前……」
ふと加西が何か言いよどむ。腕を掴む手に、心なしか力がこめられた。
「お前、変なにおいがするな……」
微かに上ずった声で、間近で睨まれながらそう言われ。
熱い、熱い、熱い――。
誠人は耐え切れなくなったように、加西の唇にむしゃぶりついた。
「!? っ……」
「んっ、ふっぅ、んぅ……

」
ねだるようにはむはむと下唇に吸い付き、唇を開かせようと舌でなぞり、逞しい身体に抱きついて熱い身体を擦り付ける。
頭の片隅で、止めろ、殴られると思っている自分がいる。だがそれを圧倒する強い欲望が、誠人をつき動かしていた。
すると。
「んっ!? ふぁっ、んっんっ、んっぅんっ

」
「はぁっ……んっ、ぢゅうっ」
加西の熱い舌が、性急に口内に侵入してきた。
にゅちゅっ、ちゅうっ、レロレロッ!
上あごの裏の敏感な部分を舐め回されたり、舌をきつく吸われるたび、誠人は快感にビクッビクッと震えた。
完全に目の前の快感に囚われて、必死に舌を絡め、甘噛みする。
すっかり昂ぶった身体をぐりぐりと押し付けると、加西の手が背中と尻にまわり、興奮に腰が蠢いてしまう。
「んっちゅっ……はぁ、ふぅっ……

」
思うさま貪りあったあと、ようやくちゅうっと音をたてながら唇が離れた。
「っ……お前……」
「はぁっ、せん、ぱいっ

あつぃ、んぅっ……

」
息を荒げる加西の微かに驚いたような表情は、誠人が見たことがない種類のものだった。
しかし、そんなことも今はどうでもいい。ただこの昂ぶった身体をどうにかしたかった。
「ふっ、ぅんっ……はぁんっ

」
すっかり勃起した肉棒を、加西の身体に押し付ける。そうすると固く熱いものに擦られて、誠人は眩暈のするような興奮に甘く喘いだ。
「ぁっ……せんぱいのぉっ

」
「!? おいっ……」
舌なめずりしながら、誠人は加西の前に跪いた。
外から見ても分かるほど巨大なものがスウェットの前を押し上げている。きゅんと甘い痺れが身体を駆け巡り、誠人の勃起したものからはドクンと汁が滲み出た。
「んっ、せんぱい……ち○ぽ、おっきぃ……

」
「っ……」
勃起した肉棒に頬擦りすると、熱いそれがビクンッと脈打つ。
これがほしい。
強い衝動に駆られ、誠人は強引にスウェットと下着を引きおろした。
「あぁっ

ん、すごいっ、せんぱいの……

」
加西のそれは赤黒く巨大で、反り返るほど硬く勃起していやらしく光っている。
AV男優顔負けのものに誠人は一層興奮し、躊躇うことなく舌を這わせた。
「っ!? おいっ……、ふっ」
血管が浮き出てビクビクしている裏筋をれろれろと舐める。
亀頭部分を口に含んでちゅうちゅう吸うと、不思議な味の汁が出てきて口の中に広がった。
「ふむぅっ、んんっ、んっ

」
れろっ、じゅるぅっ、じゅぽっじゅぽっ、ぢゅううぅっ!
奥までくわえ込んで、割れ目の部分を舌でれろれろと舐める。硬いものが更に大きくなって苦しいのに、口の中を犯されているような感覚が堪らなく気持ちいい。
誠人は我慢できなくなり、自分の乳首に手をやった。
「ぅんっ!

ふぁんっ

んっ

んぅっ、んんーっ!

」
「はっ……ぁ……」
加西の肉棒を奥までくわえこみ前後しながら、充血した乳首を必死でくりくりといじる。
膝をすり合わせ腰をうごめかせるだけで、自らの肉棒はビクビクしてじゅわりと汁が下着にしみこんだ。
加西がときどき喘ぐのが何故か無性に嬉しい。肉棒に口の中を刺激されるのが気持ちがよくて、脳がとろけてしまいそうだ。
「うっあ、イく、出すぞっ……!」
「ふぁいっ

ん、ぅんっ、んんーーっ!

」
ちゅぶ、ちゅ、ちゅううっ、ビュクッ、ビュクッ、ドピュゥッ!
加西の精液が口内に吐き出されたのと同時に、誠人もまた痙攣しながら下着の中でイった。
少しの間は快感の余韻に浸っていた誠人だったが、射精したことでしだいに頭がクリアになってくる。
(……っ!? おれ、何やって……!?)
店長のときと同じだった。一瞬で理性が消し飛んでしまって、信じられないようなことを……。
まさかよりにもよって加西にこんなことをしてしまうとは。
紅潮していた顔面の血の気がさっと引く。
信じたくはないが、あのフェロモンの効果は切れていなかったのだ。加西にも効いてしまいこんなことになったが、我に返った今逃げなければどんな仕打ちをされるか……。
「……すっ、すみませんっ……お金は、いりませんからっ……ふぁっ!」
慌ててドアを開けようとしたが、動いて布が乳首や陰茎に擦れたことでへたりこんでしまう。
「ぁんっ……

ふっ……」
「――仁藤」
加西が動く気配がする。最悪だ。きっとボコボコに殴られる――そう思ったとき。
「っ!? や、あぁっ……!

」
「んっ……ふ……」
誠人は凄い力で押し倒され、ポロシャツの上から乳首を吸われた。
ちゅぱっちゅぱっ、ちゅぷ、ぢゅぶうううぅっ!!
「あああっ

やらぁっ、せんぱっ、なんでっ、あっ

ひぁんっ

」
「んっ、ちゅうっ……はぁっ、こうしてほしかったんだろう!? いやらしく服の上から勃たせやがって、我慢できなくて自分で触ってただろうが!」
「ちがっ、ああぅっ

んっ、んぁっ

ちくびぃ、らめえっ

」
快感に溺れそうになりながらも、信じがたい気持ちで加西を見る。
ずっと誠人を凝視していたらしいギラギラした加西の目と目が合うと、ずくんっと身体が熱くなってしまう。
「あああっ

なんれっ、せいえき、いっぱいのんらのにぃっあっああんっ


」
「っ、この、淫乱が! 今までもこうやって、男をくわえ込んでたのか?」
「ぁっ

そんな、してなっ、っいあああっ、い、いだいぃっ」
ギチィッと乳首を噛まれ、誠人は痛みとそれだけでない感覚にいやらしく喘ぐ。
「嘘をつくな……俺が確かめてやる」
加西は低くかすれた声でそう言うと、荒々しく誠人の身体をうつぶせにし、スラックスと下着を脱がせてしまった。
ぐっと剥き出しになった尻をつかまれ、誠人は激しい羞恥に身悶える。
「やぁっ、せんぱっ、おしり、見ないれえぇっ

」
「……」
加西は何も言わないが、じっとりとした視線を感じる。
尻の肉をぐいっと左右に割られ、外気に触れたそこが物欲しげにひくひくと収縮した。
(あぁっ、へんだよぅ、尻の穴見られて、ひくひくしてるっ。なんか気持ちいいっ……

)
誠人が無意識に腰を揺らした瞬間。
「ひああああっ!? あぁっ

あんっ

ひぃあっ!

」
ずぼっと太い指が、誠人のひくつく尻穴に突き刺さった。
「っ、エロイ声だしやがって、ケツの穴に突っ込まれるのがそんなにイイのかよ!?」
「あぁっ

やっ、せんぱい、らめぇっ!

」
「駄目じゃねーだろ、ほらっ!」
「あっ、ああああーっ!


」
肉棒側のある一点を突かれると、イったときのような激しい快感が全身を駆け巡り、誠人は激しく腰を振って加西の指を締め付けてしまう。
「あああぁっ

やらっ、おれ、いってぅ

いってぅよおっ

せんぱいっ、あんっ

そこ、ぐりぐりってぇっ!


」
イキっぱなしの壮絶な快感に完全に理性を手放し喘いでいたとき、不意に指がずぽんっと抜かれた。
「うぁんっ……

」
物足りなさに加西の方を見て、誠人はごくりと唾を飲み込んだ。
再びギンギンに勃起した巨大な肉棒が、ひくつく尻穴に押し当てられていたのだ。
「ぁんっ

ふぁ、おち○ぽぉっ

」
「……淫乱。やらしいケツマ○コに、これがほしいのか?」
淫らに喘ぐ誠人に訊く加西の声に、侮蔑の色はない。ただ欲情しきった雄のそれに、誠人は一層興奮を煽られ。
「あぁっ、ほしいよぉっ

せんぱいの……、おっきいチ○ポっ

んっ、おぇのいやらしいケツ、マ○コにぃっ、ずぼずぼってしてっ

あああああんっ!


」
ヌチュッ、ズッ、ズボッ、ヌプププッ!!
加西の肉棒が、卑猥な音をたてながら誠人の尻穴にずっぽりと挿入された。
「くっ、締め付けすぎだ、このっ……!」
「ああああーっ!

ひあっ

あんっ

ああっ

あああんっ

」
ズボッ、ゴリッ、ゴリッ、バチュッ、バチュンッ!
激しく抜き差しされ、穴の中をめちゃくちゃに犯される。
いいところをカリでゴリゴリと擦られる感覚に、誠人は再びイキっぱなしの気の狂うような快感に支配された。
「ひああああっ

ああぁっ

らめえっ

いってぅの

いってぅからぁっ

もっ、ゴリゴリってしちゃやらあああぁっ


」
「うるせえよっ……! いいんだろっ、チ○ポ突っ込まれて、ここを突かれるのがっ」
「ああぁんっ

あんっ

んっ、はふぅっ、いいっ

いいのぉっ

おち○ぽぉっ

もうらめっ

あああっ


」
「っ……」
小さく喘ぐと加西は肉棒を挿れたままで誠人の身体をひっくり返し、抱き起こした。
対面座位の体位になってより一層奥まで挿いる感覚に、誠人は加西の首筋に顔を埋めて喘ぐ。
「ほら、淫乱な顔見せろよ……乳首、舐めてやるから……」
その言葉につられてゆっくりと頭を離すと、壮絶に色っぽい表情で舌なめずりしている加西と目が合い。
「ふぁっ

ああっ……

せんぱい、ちくびぃっ

あああんっ

」
ぢゅうううっとじかに乳首を吸われ、誠人は腰を振りたくった。
一度そうすると止めることができず、肉棒をくわえこんだまま腰を回したり、上下に動いたりして、いいところを存分に刺激する。
「ちゅぅっ……んっ、くそ、この変態がっ! こうやって、配達で男を見つけては、くわえ込んでたんじゃねえだろうなっ」
「あああんっ


」
興奮しきった加西は誠人の腰を大きな手で掴むと、下からがんがん突き上げてくる。
「どうなんだよっ? ハァッ、やらしくあえいで男を誘惑してっ、猿みたいに欲情した男に、何度もここに出されたんだろうがっ!」
「ああああっ!


してなっ、ほんとにぃ、ああんっ

かけられたっだけぇっんっ……おち○ぽッ、ケツマ○コに挿れたのはせんぱいらけなのぉっ

ああっんっ!

」
そう言うと、加西のものが誠人の中でビクンッとより一層大きくなった。
「くっ、出すぞ、お前の中にっ、精液注ぎ込んでやる!」
「ああああんっ

らしてぇっ

せんぱいのせいえき

おれのなかにいっぱい、んっんぁあっ

おぇもっ、おれもいっちゃう

せいえき、れちゃうよおぉっ!


」
「いいぞ、だせよっ! ぁっ、イく、イくっ……!」
ズンズンッ、バチュッ、バチュッ、パンッパンッパンッ!!
「ああああーっ!


れてるぅっ

せいえきがあぁっ止まらないっ

ひぃっ、ああんっ

ああぁっ

やああああっ

もう、突いちゃやらぁっ

おかしくなるぅうううっっ!


」
激しく前立腺を突かれながら中に精液をドピュドピュと出され、誠人は異常に長い射精に狂ったように喘ぎ続けた。
(ああああぁ……すごい……

)
逞しい汗ばんだ身体にぎゅうっと抱きつくと、少し躊躇しながら加西も抱きしめ返してくる。
誠人が正気に戻って死にたい気分に陥るのは、もう少しあとのことである。
end
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