鈍行痴漢電車 02



あり

イく、今度こそ周囲に気づかれてしまう――という瞬間、男の大きな手が美住の口を覆った。息苦しさと強烈な絶頂感で頭が真っ白になり、大きく痙攣する体を男に押さえつけられながら、いつ終わるかもしれないアクメに酔いしれる。

「ん゛ん゛っ……ふぅっ、んっんっ、ん゛〜〜っ……」

ペニスは勃起して痛いほど敏感なままで、案の定絶頂は長く続く。その状態で前立腺を押され続けるのだからたまったものではない。口を覆う男の手に歯や舌が当たったが、男は微動だにしなかった。

「ん゛んんんっ」

甘く苦しい時間がしばらく続いた後、熱く濡れた中からようやく指が抜かれた。それでも前立腺の疼きとアクメの余韻で体は震える。
滲む視界で周囲を見回す。体が触れるほど近くにいるのはスーツ姿のサラリーマンや、いくらかラフな服装をした男だ。微かに誰かのイヤホンから音楽が漏れて聞こえる。全員が大音量で音楽を聞いていればいいのに、そうすれば感じるままアクメ声を出しても大丈夫なのに――。ぼんやりとそんなことを思っていると、指を抜かれひくひく収縮していたところに大きな塊が押し付けられる。

「〜〜っ! ん゛んっ……」
「ハメてほしいんだよね、こんなに……っ、トロトロにして」
「ん、ん゛〜〜っ……」

欲情しきった声で囁かれ、ペニスが股の間に入り込み、素股される。アナルは一瞬のうちにそれをハメて突かれる快感を想像し、狂おしく疼き、熱い肉を蠢かせる。
でも、それだけはダメだ。こんなところで、指より遥かに太くて奥まで届いてしまうほど長い性器をねじ込まれたら。犯されたりしたら、絶対に気づかれてしまう。
いや、気づかれなかったとしてもダメに決まってる。美住は男が好き……なのかもしれない。だからって顔も知らない男に痴漢され、未経験のペニスまで挿入されるなんて。

ぬちゅっ……ぬちゅっ……ぬ゛っ……ぐちゅ……っ

「ん゛……っ、ふっ、うぅ」

何事もなかったかのように学校に行って、友達とくだらない話をして、面白くもない授業を受けて――。そんな日常が待っているはずだった。
駅に着いたら、さっさとスラックスを上げて逃げればいい。トイレで汚れを落とした後通学する生徒に混じれば何の問題もない。
それにしてもいつ駅に着くのだろう。いくつかの駅を飛ばして走る快速電車なのに、やけに流れる景色がゆっくりだ。疑問に思ったとき、スピーカーから聞き覚えのある声が聞こえた。

「お客様にお知らせします。先ほど線路内に異物が確認されたため、点検を行っております。ご迷惑をおかけしますが安全の確認がとれるまでしばらくお待ち下さい」

車内がにわかにざわつく。
「勘弁してくれよ」「異物って置き石とか?」「すぐどけられるだろ」――混雑もあって苛立った気配が充満する。
美住は呆然とした。このまま一生車内に取り残されるような気分になる。それは絶望であり、甘く狂乱的な期待でもあった。

「ひっ……あ、あぁ……」
「――だってさ。俺のこれ、もう我慢できないの分かるよね……?」

昂ぶりきったものが、再びアナルに当たる。同じ男だから分かる。ここまでビキビキに勃起してしまったら、射精しなければ収まりがつかない。車内に閉じ込められていてはトイレかどこかで一人抜くこともできない。
だから仕方ないのかもしれない。穴の中の肉で扱いて、精液を出さなければ――。冷静なようで狂った考えが頭をよぎる。指では届かない奥まで疼き、男に腰を突き出したような姿勢になる。弄られて勃起したままの乳首がドアに擦られ、くぐもった声が出たところで再びアナウンスが流れる。

「繰り返しお知らせします。ただ今――」

ぬ゛っ……ぬ゛ぶっ……ぬ゛ぶぶぶっ……

「〜〜〜っ! お゛っ、お゛ぉっ……ん゛んっ……」

スピーカー越しの車掌の声と乗客のざわめきの中、それでも肉を割る生々しい音が耳の奥に響いた気がした。
限界まで勃起した大人のペニスが、みちみちと侵入していく。柔らかい内壁が硬い塊でなすすべなく蹂躙される。
媚薬を使われたときと変わらない壮絶な快感がそこにあった。

「んん゛っ、お゛っ、ああぁっ……ん゛っ、〜っ」
「はっ……ぁ……」

尻に男の腹がぶつかり、一気に奥までハメられてしまったことを知った。中の肉はそこだけで生きているように自分の意志とは関係なく蠢めいて昂ぶりを締め付ける。快感だけがダイレクトに美住の全身に伝わってくる。

「――動くよ」
「〜〜っ、ん゛っ、おっ、んんっんっぅんっ」

耳を犯すような濡れた声がかかるなり、ずぶずぶと抜き差しが始まる。狭い車内の中、細かい腰の動きで的確に突いてくる。
美住は今度は自分の手を噛んで声を抑え、痛みで快感をやり過ごそうとした。だけどアナルをあまりに大きな塊で抉られ、性感帯を潰されると、血が滲むほどの痛みさえ上書きする快感が押し寄せてくる。
自分がどこにいるのかもわからなくなってくる。

ずぶっ……ぬぶっ、ぬ゛ぶっ……ズンッズンッズンッズンッズンッ

「あ゛っ……お゛っ、んっ、んっんっんッん゛ぅっ」
「絡みついてくる……電車でハメられて感じてるの?」
「ん゛〜〜っ……ふっ、んっふぅっ」

手を噛む力はすぐに抜けてしまい、美住は舌を出して喘いでいた。
驚いたような問いに恥ずかしくてたまらなくなる。痴漢してきた男もまさかここまで感じるとは思っていなかったのだろう。
それはそうだ。どこからどう見ても普通の男子高校生が、指マンでアクメして、巨大なペニスをハメられても痛がる様子もないどころか、中の肉でペニスを絞り腰をビクつかせているのだから。

「ハメられるの初めてじゃないんだ?」
「んっおぅっ……んっん゛……」

トントンと前立腺を叩かれながら訊かれ、必死に首を横に振る。間違いなく初めてだ。なのに勘違いされても仕方ないほどの反応をしている。アナルのきつい締め付けは侵入者を拒んでいるようで、逃がすまいと抱きついているようでもある。ピストンから遠慮がなくなっていく。

ぬ゛ぶっ、ぬぶっぬぶっ、ぐりっぐりっぐりっ……

「やらしいね……男なんてありえないって言いそうな顔なのに、本当はこうされるのが大好きだなんて」
「ちがっ、あ゛っ、おぉっ……ん゛、ん〜〜っ」

否定しようとしたら、思った以上に高いアクメ声が出てしまい、また慌てて口を塞ぐ。

「違わないだろ。突っ込まれるための穴して、最高にエッチだよ」
「〜〜っ、おっ……ふぅうんっ…ん゛っ、んッンッ」

嗜虐心と嘲りと、甘さの混じった声に震えが走る。――女のように扱われている。否応なく支配されている。

びくっびくっびくっ、びくんっびくんっ……

「……お゛っ……んっん゛ッん゛ッう゛うッッ」
「……っ、アクメしてる……? 俺のペニスで中イキしちゃったの? あー、持っていかれそう……っ」
「あぁんっ……ん゛っんっ」

何も考えられない。頭の中がチカチカして、全身に快感が広がって痙攣しっぱなしになる。徐行する電車が揺れているのか、自分が揺れているのかも分からない。
男は言葉で責めながら腰を止めることがない。締め付けのきつい中に時折耐えるような声を出しながら、カリの先で奥まで何度も行き来する。

ぬぶっぬぶっ、ずちゅっずちゅっずちゅっ、ごりっ、ごりゅっ……

「ふううううぅっ……んっはあぁっ…」
「乳首もいじってあげようか」
「ん゛ん゛っ……ぅんっ、ぉうっ、んっ」

言われた瞬間乳首に電流が走ったように痺れて、めちゃくちゃにいじってほしくてたまらなくなる。
声を出したらダメなのに。今乳首まで触られたらもっと激しくアクメしてしまうのに。もう全部どうでもいいからめちゃくちゃに気持ちよくしてほしい。淫らな欲に理性が侵されていく。
男は腰を細かく揺すりながら器用に乳首を摘んだ。

「んふぅっ……! ううっ…ん゛っん゛ぅ、んんっ」
「すごく凝ってる…ドアに擦れて感じちゃったんだね。放っておいてごめんね」
「んっ、んっ、うぁっ」

こす……くに、くにくにくに
ずぶっずぶっずぶっずぶっ、ぬぶっぬっぬぶぶっ

勃起しきった乳首を転がされ、その刺激できつく締まる肉をずぶずぶと抉られた瞬間、頭が真っ白になった。体が大きく跳ね、いけないと思う間もなく、触れられていないペニスから精液が漏れてパンツを汚す。

びくびくびくっ……っびゅっ、びゅる、どくっどくっ……

「ん゛んーーっ……ふっ、んっん゛っ」
「っ、出しちゃったの? 中と乳首でトコロテンしちゃった? すごいな、こんなやらしい体初めてだよ。どんなエッチ大好きな女よりいやらしい」
「ひぅっ……ん゛っ、ふうううぅっ…」

卑猥な言葉で責められ、変態みたいに感じて絶頂が深まる。ペニスはボクサーパンツ越しにドアに擦られながら痛いくらい脈打ち、射精した後も汁が漏れ続けていた。臭いや汚してしまうことが気になっても、一突きされると快感に腰をくねらすことしかできなくなる。
乳首は淫らで巧みな指先に狂喜した。乳首の快感がダイレクトに下半身に繋がってペニスに絡みつき、快感の底が見えない。

「あーやらし…。顔見てしたいな。乳首舐めて、キスしながら中に出したい」
「ん゛っひっ…う゛ぅっ」

とんでもないことを言う。今はかろうじてドアに押し付けて顔を隠しているが、男に体を反転させられたりしたら、多くの乗客にペニスをハメられて感じている顔を見られてしまう。
キスをして、乳首を……舐められたりしたら、どれだけ気持ちいいのだろう。
美住はただの高校生だ。特別秀でたものはない。それでも高校ではそれなりに友達がいて、それなりの立ち位置で平穏に過ごしてきた。
もしバレたら、男に痴漢されて性器の挿入まで許してアクメする変態だと友達にまで知れ渡ってしまったら。自分のほとんど全てが一変してしまうだろう。

びくっびくっびくっ……ぎゅうううっ……
ごりゅっごりゅっごりゅっごりゅっ!

「ん゛ん゛〜〜〜っ……ふっんっんっぅ」
「はっ……ぁ」

絶望的な想像で、また中でイった。今度は射精していない。ペニスが痛いほど張り詰めて辛いのに気持ちいい。窓に押し付けている額に汗が滲んで滑りそうになる。こんな顔を見られたら人生の終わりだ。
ふと、何かが顔をくすぐった気がした。エアコンの風とは違う、生暖かくこそばゆい微かなもの。反射的に首だけ動かしてそちらを見てしまい、後悔した。
隣の男と思い切り目があった。信じられないものを見るような、愕然とした眼差しが突き刺さった。
錯乱しそうになりながらも、犯されるアナルの快感は止められない。

「〜〜〜っ! ん゛っ、ッ」
「…………もしかして、痴漢されてる?」

若い男だった。どうやら音楽を聞いていて、異常に気づいて間もないらしい。イヤホンを外しながら、動揺を押し殺すようにしてそっと囁いてきた。すし詰め状態のせいで、下半身がどうなっているのかまでは見えていないようだ。
だが美住の顔だけでも、えげつないほど淫らな行為が繰り広げられているのはごまかせなかった。
もしも彼が正義感から痴漢を捕まえようとしたら。もしくは、痴漢の挿入に感じているのを合意と受け取り、大声で糾弾されたりしたら。
――それだけはダメだ。

ぬぶっぬぶ……っぐりゅっ……ごりっ、ごりっ……

「――っ、またペニスに吸い付いてきて……見られて感じちゃった?」
「ん゛っ……んっぅ、はあぁっ…」
「……な、何して……」

男はそれでもピストンを止めない。怒張にまとわりつく内壁を擦り上げられ、息も絶え絶えになる。若い男も何が行われているか完全に把握したようで、目を見開きながらも美住を凝視する。そこに驚きや嫌悪とは違う色があるのを見つけて、美住は熱に浮かされながらも動いた。

「ん゛んっ……は、ぅ」
「なっ……」

若い男の方へ手を伸ばし、手探りで「それ」までたどり着く。思ったとおりそこは硬く、熱くなっていて、美住は恍惚とした。
ファスナーを外し、抵抗がないのをいいことに硬いものを扱き始める。

「はぁっ……ん゛っ、ん゛っ」
「な、何を……うぁっ」

黙っていてほしい、と濡れた目で訴える。伝わったのかは分からないが、指や手のひらを使って懸命に扱くと、若い男は段々と息を荒げ、目元を赤くし、欲情した顔になっていく。
声をあげさせないためには巻き込んで、共犯にしてしまえばいい。相当リスキーな作戦は成功したようだった。美住にはもう論理的に考える頭はなく、どんどん硬く反り返っていくペニスを夢中で弄る。

「はぁっ、はぁっ……いつもこういうことしてるの」
「ん゛んっ……ふぅっ、おっ、んっ」
「この……っ、変態」
「お゛ぉっ……! んおっ、ん゛っん゛ッ」

ぐにっ……ぐにっ、ぐりっ、ぐりゅっ

若い男は欲情と苛立ちが混ざったような声で言うと、空いている片方の乳首を思い切り潰してきた。痴漢の男ほどの繊細さはなく、形が変わるほど無茶苦茶にこね回され、根本から摘んでぎゅうぎゅう絞られる。
(はあぁっ、乳首、両方違う男に弄られてる……っ。そんな強くされたら、乳首肥大しちゃう。女の子より大きくなって、誰にも見せられない性器になっちゃうっ……。あーヤバい、乳首くりくりされるとお尻ま〇こがち〇ぽ離せなくなって、またイくっ、イってる、ああああぁ……)

「んっぁ……っ、俺のペニスだけじゃ足りないの? 淫乱」
「ん゛ん〜っ……ふっぅう、ん゛っんっ」
「何が違うんだよ、自分から他の男の勃起ペニス抜き始めて、中の動きで興奮してるの全部伝わってきてるよ? ほらっ……」
「ん゛っ、ンッ、んおぉっ、〜〜〜ッ」

ずぶっずぬ゛っ、ぬぶっぬぶっ、ごりゅっごりゅっごりゅっごりゅっ
くに、くりっくり、くりくりくりくりくりくりっ

中の昂ぶり方や声音から男が興奮しているのも伝わってきて、自分がアクメしまくっているのもバレバレなのだと改めて知る。
派手には動けない中でもピストンはどんどん激しくなり、全部は抜かず前立腺のあたりから最奥を何度も張り出したカリが往復する。
気持ちよくて気持ちよくて、ペニスに支配されて、大声でいいと叫びたくなるのをギリギリのところで我慢している状態だった。若い男の視線が突き刺さる。これもイかせなければいけないのだと思い、不器用に扱くのを続ける。
そのとき、電車がスピードを上げて走り始めた。アナウンスがまた流れているが半分も聞き取れない。きっともうすぐ駅に着いて、淫らな時間が終わりを迎えるのだろう。安堵より落胆を強く覚えた。

「はぁっ……あーきついっ……、そろそろイくよ、中に出してもいい?」
「〜〜っ! ん゛んっ……ふっ、ん゛っ」
「外にかけたら汚しちゃうから……っいいよね」

耳を食むようにして訊かれる。外出しされたら制服が汚れてバレてしまう。美住は声を押し殺しながら必死に頷いた。その様子は中出しをねだっているようにしか見えず、ハメられたペニスも握っているペニスもどくりと脈打つ。
電車が橋にさしかかったと同時に、ピストンが叩きつけるような激しい動きになる。乳首を転がされながら一番敏感な性感帯を押し潰され続け、終わりの見えない絶頂感がどんどん強くなる。
若い男も我慢しきれないとばかりに、美住の手に自分の手を重ね、イくために激しく扱く。イキっぱなしの蕩けた顔を視姦されながら。男にオカズにされているという信じられない事態に興奮し、下半身がガクガクと揺れる。

「んっ……はぁっ出るっ……本当に中出ししていいんだね」
「ん゛んっ……ふっおっ…うぅんっ」
「ほしいのかっ……この淫乱。出すよ、種付けするから奥で受け止めて。あぁっ出る……っ!」
「ん゛〜〜〜っ」
(ああぁんっ、中に出されちゃう、電車でアクメしちゃうお尻ま〇こに、大人ち〇ぽで種付けされちゃう……っ、あー気持ちいの止まんない、ち〇ぽすごすぎるっ、奥、入っちゃいけないとこまでガンガン届いて、いってる、ち〇ぽでイくの、アクメ止まんないっ、ああぁあんっ…)

ぬ゛ぶっぬ゛ぶっ、ぐりゅぐりゅぐりゅぐりゅっ!
びゅるっ……どびゅっ、ドビュッドビュッ……ビューーーーーーッ……

締め付ける肉を抉るように突かれ、ガツガツと怒張を扱き上げ――やがて一番奥に、熱い液体が注がれた。

「うぁっ……んっイく……っ、はあぁ……っ」
「んっ……ん゛っ、おっ、ッ、……っ」

少し遅れて、若い男も美住の痴態を目に焼き付けながら、美住の手を使ったオナニーでドクドクと大量に射精し、タオルに受け止めた。
まだ脈打っているペニスが中を叩いて刺激し続ける。美住は電車の中で中出しされてしまった事実に愕然としながら、興奮と快感で震えが止まらなかった。
たっぷり奥に精液を塗り込んだ後、ぬぷりと音を立ててペニスが抜かれた。時を同じくして電車がホームに差し掛かり、美住ははっとしてスラックスを上げる。

「間もなく〇〇駅、○○駅。線路内異物の点検のため電車が遅延しております。お急ぎのところご迷惑をおかけして申し訳ありません……」

美住が立っている方のドアが開く。急ぎの客たちが苛立って体を押される。その流れのままに電車を降りると、美住はぐしゃぐしゃになっている顔を隠し、ふらつく足を奮い立たせて人混みに紛れた。

「またしようね」

老若男女の声、電車が走る音、発車ベルとアナウンス。喧騒が不協和音を奏でる中、掠れた囁きが耳にこびりついていた。

end


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