エースとコーチ 03


あり

とにかくこれで禊は済んだ。どう考えも平手打ち一発と比べて割に合っていないが水に流すしかない。
そう思えたのは一瞬であった。

「前から思ってたんですけど。――コーチのお尻見るとイライラするんですよね」
「な、なんだと……」
「今でも鍛えてるアピールか知らないけど、いつもぴったりしたユニフォーム着て……」
「そんなつもりはない! い、今でも鍛えてるのは事実だが」

大きめで張りがある尻は、トレーニングの名残だ。野球選手らしいと褒められると誇らしかった。同級生や上司にからかうように叩かれたり揉まれても悪い気はしなかった。自分からアピールしたことはない。

「ふーん。ガチガチの尻なら、ちょっと触られたって何ともないですよね」
「何……?」

柳内の長い指が、突如美南の尻を鷲掴みにした。



「あっぅぐっ……やめろおっ、んあっ」
「ほーら、中に指入っちゃいそうですよ? 柔らかいから、奥に、こうやって……っ」
「ひぅっ、おっ、んっ、ん゛っ」

ぐり、ぐりぐりぐりっ……ずっ、ずぬっ、ずんっ……

柳内は片手で尻の間を開き、ユニフォームパンツの上からアナルに指を食い込ませた。尻を揉まれるとぞくぞくし、布越しに穴に触れられた瞬間には腰が抜けるようになり、美南は気づけば四つん這いでされるがままになっていた。

「あぁあっ…そこ、やめろっ、あっあぁ…」
「はは、っやっぱり、……ちょっと柔らかいじゃん。見かけ倒しですね」

何がやっぱりなのか。美南は柔らかい尻をしているつもりなどない。筋肉はしっかりついている。その上に多少脂肪が乗っていたとして、そこらの一般人とは違う。馬鹿にされる謂れはないはずだった。

「はぁっ、はぁっ…だめだ、指、食い込ませるな……っ、んっふぅっ…」
「ほらほら、ちゃんとお尻締めないと入っちゃうよ? ここに、俺の指が……」

ぐりっ、ぐりゅっ……ぐりぐりぐり……っ

何が楽しいのか、柳井は尻の谷間の奥に固執し指を食い込ませる。いくらガチガチの尻をしていたとしても、そんな力で押し込まれたら防ぎようがない。
ユニフォームがなかったらとっくに、恥ずべき部分に指を入れられてしまっていただろう。

「あぁっ……やめ、許してくれ、そこ、おっ」
「……今、指吸われた気がするんだけど、気のせいかな」
「違う違う! ……ううぅ…」
「そう? こうやってユニフォームぴったり押し付けると、もうま○こ透けて見えそう……意外と可愛い色してるんじゃない?」
「……っ、……ぁ」
「あーもう脱がせていいですよね。いいよね、エロ尻見てほしいんだろ」
「〜〜〜〜……っ」

乱暴な口調で投げられた辱めは美南の許容範囲を大きく超えていた。指で突かれた場所よりもっと奥に、知らない感触が走る。
柳井は少しばかり息を荒げ、パンツを引きずり下ろした。尻の出っ張りには多少つっかえた程度で、屈辱を一秒たりとも遅らせてはくれなかった。

「ひっ、み、見るな……、」
「……やっぱり。ひくひくしてる。興奮したんですか? 教え子にお尻の穴突かれて、直接ハメてほしくなった?」
「ハメる……!? まさか、やめてくれっ」
「違った? じゃあコーチはいつもこうやって、ユニフォームの下で、ま○こくぱくぱさせてんの? 俺たちに怒鳴ってる間も、体にベタベタ触ってフォーム指導してる間も」

柳井の声は美南を責めているようでおかしな高揚を纏っていた。
否定しなければ。そして、収縮するアナルを止めなければ。しかし柳井の手が、尻の間を開いてときどき撫でてくるせいで……、力を入れても、余計に痙攣してしまう。

「ん、ふーっ……見るな、……ふー、ふーっ……」
「このド変態。ハメてやるよ、してほしいんだろ、ほらっ」

ぬ゛っ……ずぶ、ずんっ、ずりゅりゅっ……!

「あああああっ…! ひっ、ッ、〜〜ッ」
「ビッチの割に狭いな、」
「ひぐっ…おっあっあ、あっ」

狭くて当然だ。正真正銘初体験なのだから。こんな暴挙が許されていいはずがない。今こそ柳内を殴ってでも止めるべきだ。

「中、ぐねぐねして指に絡みついてきてますよ。気持ちいい?」
「あっあ゛ぇっ…あひっ、んっああぁっ」

ずぶっ……ぬ゛ぷっぬ゛ぷっ、ぐりっぐりっ……

美南は自身の反応を完全に持て余していた。これまで座薬くらいしか入れたことのない場所に指を挿入され、ずりずりと出し入れされて、粘膜を擦られ、初めての性感に悶える。
二本まとめた指先が腹の内側を擦ると、獣のような声が出て、尻が揺れた。

「あっあっおぅっ…そこ、だめ、ぇっあへっ、あー……」

柳井を殴るどころか上半身には全く力が入らず、崩れた腕の上に頭を乗せ、尻だけを高く突き上げる体勢になってしまう。
まるで悦んでいるかのように。

「ここ? ここ、前立腺かな。弄るとすごい声出ちゃうんですね」
「あぇっ…、あっあ゛っぅ、あんっあんっあんっ」
「コーチは雌だから、前立腺じゃなくて雌スイッチって呼びましょうか。っていうかここだけじゃなくて、もっと奥まで開発してやるから……はー、もういいですよね、ち○ぽすげーイライラするし」
「……っ!? そん、なっ…あっ…あ゛っ…」

ゴリっ……ゴリ、ごりゅっ、ごりゅっ……

固く熱い塊が尻たぶに押し付けられる。それがどういう形をしてどういう大きさであるのか、美南はすでに口の中で嫌というほど知っている。
一度大量に精液を出しても、性欲は有り余っているようだった。それほど固く、重い存在感が尻の肉を押しつぶし形を変えてくる。

「ああぁっ……ち○ぽ、だめ、それだけは、……あっあぁ、はああっ…」

ただ指を突っ込んだだけで終わるわけはないと、うっすら勘付いていた。――アナルセックスの想像に恐怖し、ずっと粘膜の奥が疼いていた。
しかし実際に入るわけがない。大きく開ける構造をしている口と違って、アナルは狭く窄まっているのだから。

ひくひくひくっ、くぱ、くぱっ、くぱっ……

「ゆ、許してっ、彼女と別れさせたのは、間違っていた……。つい、面白くなくて、俺は……嫉妬していたんだ」
「……」

美南は尻を突き上げたみっともない体勢のまま、男としての矜持をかなぐり捨てた。
柳井の彼女は、美人だった。そして柳井より美南のほうに年齢が近い大人の女であった。

『こんなこと言いたくないですが、柳内は選手として大事な時期なんです。練習があると分かっていてデートに誘うのは分別が足りないのでは。それに彼はまだ高校生で、あなたは大人でしょう。下手をしたら……』

練習試合の応援に来ていた美しい彼女に、美南は苦言を呈した。彼女は面倒そうに爪をいじったりして、右から左に聞き流しているように見えた。あれで別れるとは思わなかったが、結果そうなってしまった。
野球部のエース兼4番として活躍し、部員からは多少の妬みとそれ以上の羨望を向けられ、校内では人気者で、そして美人な彼女がいる。
恵まれた環境を当然と思っているからハングリーさに欠けているのだ。もっと厳しく鍛えていい選手に育ってほしい、という気持ちが第一だったのは間違いない。
しかし、同時に認めたくない負の感情が渦巻いていた。コーチとしては隠し通したかったし、そうしなければいけなかった。

「……ふーん、そんなに嫉妬してたんだ……」
「ああ……だから、……もう、」

柳井が小さく呟いた。身も心も惨めな姿を晒した美南に怒りを鎮めてくれるだろうと思った刹那、熱い棒がアナルに押し込まれた。

ずぶっ……ぬ゛ぶっ、ぬ゛っ、ずぬぬっ……!

「あ゛あああああッ…! ひっ、いっ、んっぅおっ…」
「はー……すげ、きつい……」
「あああぁーーー……あッ、ぐ、ッ」

実際に中はきつかった。しかし躊躇いなく中を犯すという意思が込められた腰の力と肉棒の固さは、内部のきつさを凌駕した。
強引に肉が拓かれ、ずぶずぶと押し込まれていく。

「ほら、ハメられた……、やっぱりま○こじゃん。よく今まで偉そうなコーチ面できましたね……っ、あぁ、すげ、纏わりついてくる……っ」
「んあああっ…! あぇっ、あんッ……あっああッ…」

ずぶっ……ぬ゛ぷっ、ずりゅっ……ぬ゛ぶっ……

柳井は掠れた声で美南を辱めながら、無慈悲に腰を遣う。勃起したペニスを扱くための動きに美南の肉体への優しさなど感じられない。
問題は最低の扱いを受けても、痛みより快感が勝っていることであった。


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