憑かれた男 2 03


あり


隙間なくびっちりペニスを咥え込んだきつい中を、古川は張り出したカリで強引に押し開いていく。

「あ゛ひぃっおれっあ゛ッぅ、挿れてくれるだけで、よかったからぁッあ゛っあんっあぁあッ」
「何それ? 挿れるだけ終わりになると思った?」

ズブッズブッズブッズブッ! ぐぽっぐぽっぐぽっぐぽっ、ぢゅぽっぢゅぽっ

古川らしからぬ、嘲るような物言いだった。

「あ゛ひっあッあんっあんっあああ〜ッ」

「はぁっ…挿れられたら、こうやってめちゃくちゃに突かれるに決まってる。そんなことも分からないなんて、本当に慣れてるの?」
「ああぁんっ! お゛っあ゛っ、アッあッあッあぁあッ」

古川が、確実に性感帯を押しつぶすように腰を打ち付けてくる。耳元で囁かれると彼の息も上がっていることに気づく。

「不動、本当はこれが初めてなんじゃないか…? 君が淫乱になったなんてどうしても思えない」
「アァッうぁっイッ…あッあッあんっ」
「答えて、不動」

ズブッズブッズブッズブッ、ぬぶっぬぶっぬぶっぬぶっ、ぐりゅっぐりゅっぐりゅっぐりゅっぐりゅっ!

古川は腰を回し、執拗に前立腺をカリの出っ張った部分で擦り上げてくる。
強すぎる快感に腰が絶えず痙攣し続け、頭がおかしくなりそうだ。

「あ゛はぁっ初めてじゃないっ…、俺っ電車で、男の人とハメハメしちゃったっ…あ゛ッアンッあッあッあああッ!」
「痴漢されたの?」
「自分からッ、あッ、おち○ぽ挿れてほしくてっ…あッお゛ぉっ、あああぁ〜っ!」

ズパンッズパンッズパンッ! ヌブッヌブッヌブッ、ごりゅっごりゅっごりゅっ!

叩きつけるみたいに、痛いほど乱暴に勃起を抜き差しされる。古川は苛立っているようだった。

「俺にしたみたいに、電車の中で男を誘惑したの……?」
「ひああぁっごめんなさっ…あ゛ッうぁっあッひっあああッ」
「こんな体じゃ電車の中で声抑えるなんてできないよね。みんなに聞かれて、見られた?」
「あ゛ッああぁっ…」

あれはサトシがやったことだが、そうは言っても誰もサトシの存在なんて知らないし信じない。
湊が電車の中で男を淫らに誘い、セックスし、あられもなく喘ぎまくって、それを多くの男に見られた。
それを古川に責められ、どうしようもなく恥ずかしく絶望的な気持ちになる。

「ひッ…おれだって、したくなかった…っ、あぁッ、ひっあんな、あああぁッ…」

思い出すと辛くて、なのにゾクゾクして、自分を犯す古川のペニスを余計締め付けてしまう。何だか泣けてきた。

「、何、泣いてるの? 君のことが分からないよ」

ズブッぐぽっぐぽっぐぽっぐぽっ

「俺を誘ってきたときは完全に別人みたいになってしまったと思ったけど、そうやって泣いて恥ずかしがってると、昔の不動に酷いことをしてるみたいで……」
「ふるかわくっ…アッあッあッひっあぁんっ」

古川は戸惑ったようなことを言いながらも抜き差しは止めず、熱は高まり続ける。

ずぶっずぶっヌブッヌブッヌブッ、ぐりっぐりっぐりっぐりっ

「……事情は全然分からないけど、知らない男を誘惑なんてもう止めればいい」
「アァッあっんんっ、い゛っあッあッあんっ」

ずぷっずぷっぐぽっぐぽっパンッパンッパンッパンッ

内壁がペニスでゴリゴリ擦られ、強烈な快感がずっと続いている。

「ひぁあっ、もうっしないっ、あ゛ひっ、おれ、もうあんなこと、しないからぁっ、アッアンアンアンアンアンッ!」
「俺とはしちゃったね」
「あ゛アッごめん、なさっ…はっあうっ、ほかのっ人とはしないっ、ひッああァーっ!」
「そう……」

古川は湊の顔をじっと見て、頬を撫でたかと思うと、ピストンをいっそう激しくした。

「あっ!あっ!あんっ! やっひぁあっもっとゆっくりっ、あひっあひぃっ」
「はぁっ…激しいの嫌っ? こんなに締め付けてるのに」

ぢゅぽっぢゅぽっぢゅぽっぢゅぽっぐぽっぐぽっ!パンパンパンパンパンパンッ!

「あひっああぁッだってすぐイっちゃっ…あぅっあんあんあんあんっ!」
「いいよ、イって…イくところ見せて、ほらっ」
「あぁああんっ! イくっイッちゃ…あっあッああァーっ!」

ぬぶっぬぶっぬぶっぬぶっ! ごりゅっごりゅっごりゅっ!
びゅっびゅるっびゅるるるっ

性感帯を暴力的に抉られ、湊は全身を痙攣させながら射精した。
快感が強すぎて息をするのもままならない。

「っ締まる…本当にお尻だけでイっちゃったんだ。信じられない」
「あ゛ひっ、動かないでっ、…お゛っアッあああッ!」

古川は少し早口で言うと、イったばかりでペニスを食いちぎりそうなほどひくつく中を激しく犯す。

ぐぽっぐぽっズンッズンッズンッズンッズンッ! ぐりっぐりっぐりっぐりっ

「はぁっ、俺もイくよ。……中に出してほしいんだよね?」
「アアッあッんんっ、中はっ、だめっあッふぁあっあッあぁんっ」

中出しされるところを想像すると、どうしようもなく体がゾクゾクして恐ろしくなる。
そんな湊に、古川は熱く濡れた声で囁いてくる。

「どうして中出しが嫌なの? 俺の精子がほしいって言ってたのに」
「あ゛あぁっ、だって、はぁっ中出し、なんか怖いっ…あッあッあぁんっ」
「怖くないよ、気持ちいいから…」

パンパンパンパンパンパンッ! ずぼっずぼっぬぼっぬぼっぐりっぐりゅっぐりゅっぐりゅっ!

「お゛ぁあっあんっあんっアンッ! ひぁあっこわいっ、おかしくなっちゃっ…あッあぁっふるかわっやっ…あッあッあッい゛あぁッ」
「はぁっ…いいよ、もう出すね」
「ヤッあッぁあッあんあんあんあんあんッ!」

ぢゅぽっぢゅぽっズブッズブッズブッズブッ、パンッパンッパンッパンッ!

ギリギリまで抜いては奥までズッポリハメるピストンが、高速で何度も内壁を擦り上げる。古川のペニスもより大きくなって脈打っているのが伝わってきて、射精の近さに湊は身を震わせながら感じまくった。
あくまでサトシを成仏させるためのセックスだったのに、目的を達成して湊の身一つになったにも関わらず、なしくずしに挿入され正体をなくすほどの快感に溺れていることが怖くてたまらない。

「はぁっ、イくっ…! 中に…」
「ひっアッあ゛ッあぁああ〜っ!」

ズボッズボッヌブッヌブッヌブッ! パチュッパチュッパチュッ!
ビュルッ、ドビュッ、ビューーーーー…ッ

「あああぁっ…い゛っ…あッ、なかに…っ、アッあッはぁあっ…」
「はぁっ、はぁっ……」

巨大で硬い亀頭が膨れ上がり、前立腺を圧迫しながら中に大量の精液を注ぎ込む。
その感覚に湊の頭も真っ白になり、射精を伴わない絶頂感に襲われる。アナルが生き物のように蠢いて、古川の怒張から残らず精液を搾り取る。

「あああぁっ…ひぁ、もっ、やぁ…あッ、はぁっううっん…」
「ん……」

息苦しさに喘いでいると、唇で唇を塞がれてしまった。
古川の舌はとても熱くて、性的で、ねっとりと口内を舐めてくる。苦しいのに舌を絡められるとゾクゾク感じて、全身が甘く痺れる。

ちゅ、ちゅく、れろ、れろ、ちゅっちゅく……

まるで恋人同士がするみたいな濃厚なキスに、湊は戸惑った。

「んんっ…はぁっ、はぁっ、あっ…」
「……泣いてる。中出し本当に怖かったんだ。中に出されたのは初めて?」
「それは……」

唐突に訊かれ言葉に詰まる。初めてではないどころかつい今朝見知らぬサラリーマンに電車内で中出しされたばかりだ。だがそれを口に出すのははばかられる。
すると古川の眉間に皺が寄り、事後は優しげだった手つきが急に乱暴になり腰を掴まれる。

「いっ……ひあっ、あっ」
「――もっと中で出してあげるね」
「待って、もう…あッああぁっ!」

ズブッ、ズヌッ、ズブゥッ…!

古川は再びペニスの抜き差しを開始した。中出しされすっかり性器になったアナルは、突かれるたびに絶頂みたいに感じて、腰がびくびく跳ねる。

「あ゛あぁっもっらめぇっしんじゃうっ、ひあッあんっあああ〜っ!」

ズブッズブッズブッズブッ、ぬぶっぬぶっぬぶっぬぶっ

二度目でもペニスの硬さとピストンの力強さは全く失われていない。本当におかしくなってしまう。

「あぁあんっ、やっ、おれ、もう一度で満足したからぁっ…もういいから…っあッあッあんあんあんあんッ!」
「自分から誘ったのにそれは勝手だよ、俺は満足してない」
「あぁんっそこっ…あッあ゛ッい゛いっ…あッあんっ」

ぐぽっぐぽっぐりっぐりっぐりっぐりっ

腰を挿入したままぐりぐり回され、一番感じるところを好き勝手に押し潰される。

「ひあぁあっ…満足って、いつっ…あッあんっ」
「いつ……? 分からないな。俺をこんな気にさせたのは君なんだから、責任はとってほしいな」
「ひっ…あッあッあぁんッあああ〜ッ!」

熱の篭った目で見つめられながら熱い肉棒を抜き差しされ、ゾクゾクする。知らぬ間に、古川の中にある押してはいけないスイッチを押してしまったらしい。
淫らな行為は続き、その間熱は冷めていくどころか上がっていくばかりだった。

「アァアッまたっイくっ出ちゃうっ…あッあッあんあんあんッ!」
「ん、俺も……一緒にイこうか」

ズンッズンッズンッズンッズンッ! ぐりっぐりっぐりっぐりっごりゅっごりゅっ
パンパンパンパンパンパンッ!

古川は反射的に逃げようとする湊の腰を大きな手で押さえつけ、叩きつけるように激しく奥まで抜き差しする。
ずっとイったみたいに感じて、でもその先にある本当の絶頂に追い詰められて、湊は泣きながら喘ぎまくった。

「あ゛ああぁっ! イくっあッお゛あっあッひああぁーっ!」
「はぁっ出すよ、また中にっ…」

ズブッズブッヌブヌブヌブッぐりゅっぐりゅっぐりゅっ、パンッパンッパンッパンッ!
びくっびくっびくんっびくんっ
ビュッ、ドビュッ、ビュルッビュルルルルッ!

「あ゛あァーっ…あッい゛っ…ああぁッんっふあっ、あ、」
「はぁっ……くっ…」

熱い精液が、再び奥へと叩きつけられた。感じすぎてもう、何がなんだか分からない。

『あああ羨ましい……。あんたの人生この先薔薇色ね。あああ妬ましい……』

どこかからそんな声が聞こえた気がした。
そして明くる日の朝。


『あ゛ーいい男とヤりたい』
「…………」

頭の中で声が響いた。まさかサトシが戻ってきてしまったのかと思いきや、サトシとは明らかに別の気配だった。
そう、サトシは確実に昨日成仏したのだ。ならこれは一体誰なのだろう。

「……つまりこれは夢だ、悪夢だ、起きないと……」
『なーに一人でブツブツ言ってんの、ブキミよ』
「覚めろ、覚めろ……」
『アンタ、浮遊霊2丁目界隈ではちょっとした評判になってるのよ。アンタにとり憑けばいい男とセックスできるって。ってわけでイッパツよろしく!』

湊の受難はまだまだ続く。

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