夜行バス
あり
夜行バスに乗るのは、その日が初めてのことだった。
「あれ、トモだけ後ろか。換わろうか?」
「いや、通路側より窓側がいいし」
「あっそう、俺もそう思ったんだけどなー」
智洋は一番後ろの窓際の席に、その一つ前に二人の友人、直人と聡が腰を下ろした。
三人は高校時代からの友人で、同じ大学に通っている。クールで皮肉屋なところがある直人とノリが良く騒々しい聡、マイペースな智洋と、性格はバラバラだが、不思議と馬が合いよくつるんでいる。
冬休みになって、関西の大学に進学した友人のところへ遊びに行こうと盛り上がり、新幹線や飛行機よりも安く済む夜行バスで大阪まで向かうことになったのだ。
少しして、智洋の隣の乗客もやってきた。
できれば無人のほうが気楽でいいと思っていたのだが、仕方がない。
ちらりと横目で見ると、スーツを着たサラリーマン風の男だった。
遊びならともかく、仕事をしてバスで寝てまた仕事、なんてスケジュールなら大変だろうな、とぼんやり思う。
「トモ、飴いる?」
「ああうん、グリーンアップルある?」
「ねえよ。レモンな。俺が好きじゃないから」
「えー、じゃあオレンジ」
「レモンな」
前の席から聡に話しかけられ、隣のサラリーマンのことはあっさりと意識の外に出た。
ちょうどその時、出発を告げるアナウンスが流れた。
夜行バスでは、当然ながら乗客の大半が眠りに就く。
普段は騒がしい聡もさすがにその辺りはわきまえていて、出発してからは静かなものだ。
智洋も、寝られるうちにさっさと寝る、つもりだった。
「……?」
ふと太ももの外側に違和感を覚え、うつらうつらしていた意識が引き戻される。
見ると、サラリーマンの手の甲があたっていた。完全にこちらのシートに侵入して来ていたので少し不快に思ったが、注意するほどでもないかと少し身体をずらす。
が、目を閉じて間もなく、今度は明らかに意思を持ってさすられる感覚に、ぞわぞわと身体が反応した。
「っ……」
智洋は驚愕に目を見開いた。
男の手が、太ももを撫で回していたのだ。
「な、やめっ…んっ」
小声で抗議するも全く怯んだ様子はなく、際どい場所までいやらしい手つきで撫でてくる。
痴漢――と認識して、智洋は呆然とした。
普段は自転車移動が多く、触った触られたはもちろん、それらしきものを見たこともなかった。
まさか男の自分がこんなところでターゲットにされるなんて、理解の範疇を超えている。
だが痴漢は智洋の困惑などおかまいなしに、手つきを大胆にしていく。
「やめてくださ、……っ」
何とか抵抗して手を払いのけようとするも、力は痴漢の方が勝っていた。
それに、何だかいつもより力が入らない。
野郎の脚なんて触って何が楽しいんだと言ってやりたいのに、ねっとりと太ももを揉まれたり、膝をくすぐるように撫でられると、ぞくぞくとした感覚が這い上がってくるのだ。
頬を染めて震える智洋の姿に興奮したのか、痴漢の動きは更にエスカレートし、ついに股間に触れてきた。
「ヤッ! ぁっん……」
思いの外大きな声が出てしまって、慌てて口を塞ぐ。
しかし、前の席には聞こえてしまったらしい。
直人が前の座席から話しかけてきた。
「トモ、どうかしたのか?」
「っ、なんでも、ない」
「そう? ならいいけど」
勘が良く聡い直人に気づかれてはいないだろうかと、心臓がバクバク音をたてている。
男に痴漢された、なんて言えるはずがない。
情けなさ過ぎるし、狂言だと否定されたら二重に恥をかいてしまうことになる。
この男の方とて目撃されたら終わりなのだから、このままやめてくれればいいのに。
しかしそんな智洋の願いはあっさりと打ち砕かれた。
前から寝息が聞こえてくると同時に、再び痴漢が脚を撫で始めたのだ。
内腿の隙間に手を突っ込んでさすられ、びくっと腰が震える。
(なんで、こんな、身体が、変だっ……)
自分が信じられない。
嫌でたまらないはずなのに、智洋のペニスは反応し、ジーンズを押し上げていた。
痴漢に気づかれたくなくてとっさに隠そうとするも、あっさり封じ込められる。
きつくジーンズに密着していたそこを撫でられると、おかしなほど感じてしまい、智洋は脚をぎゅっとすり合わせた。
「――勃ってるね…」
「っ、ふぅっ、んっ」
吐息とともに耳元で囁かれ、ゾクゾクする。
痴漢のくせに妙に優しくじれったい手つきで勃起したものを揉まれ、もっと激しくしてほしいという欲求が湧き上がってくる。
(っ、おれ、なにを……)
頭の中が淫らな色に染まっていく気がした。
現実から逃避するようにぎゅっと目をつぶっていると、不意に何かが振動する音が聞こえてきた。
「んっ!? やっ、ふぁっ」
耳をそれで撫でられ、突然の刺激に智洋は唇を噛む。
首筋を伝ってゆっくりと下に降りてくると、それがピンクローターであることが分かった。
痴漢はいやらしく笑いながら、コードの部分を掴んで肌の上を跳ねさせる。
くすぐったくて、もどかしい。
それが乳輪に触れたとき、わけのわからない甘い期待に焦がされ、智洋は痴漢の顔を見上げた。
痴漢は息を乱すとローターを握り、服の下から主張していた乳首に押し付けた。
「ぁんっ…! ぁっ、んっんっ、はぁん…」
ヴーーーー…
小刻みな振動と痴漢の手による撫で回すような動きに、声を抑えるのもままならない。
乳首への強すぎる刺激が全身に快感となって広がっていく。
勃起したペニスからじゅわりと汁が漏れ、下着にしみこんだ。
「乳首いいのか? 勃起してるね。ローターでおっぱい感じちゃう?」
「ヤッ、ぁん…やだ、あぁぁ…」
上ずった声で卑猥な言葉を囁かれ、身体がひくつく。
乳首が気持ちいい。こんな、近くに大勢人がいる場所で、ローターで感じてしまっている。
幸い周囲の人間は皆寝ているようで、多少の物音では起きないのかもしれない。
でも、これ以上やられたらきっと大きな声が出てしまう。
そうしたら……。
最悪な想像のはずなのに、智洋の身体はいっそう淫らに熱を増した。
「はぁ…エロい子だな…」
「んっ…」
乳首からローターが離されると、智洋は無意識のうちに追いすがるように胸を突き出していた。
痴漢は荒い息を吐くと、智洋のベルトを外し、手際よくジーンズの前をくつろげ膝のあたりまで下ろしてしまった。
こんな姿を他の人に、友人に見られたら、もう言い逃れできない。
そう分かっていても、ペニスは萎えることはなく、乳首もビンビンに勃っているせいで服に擦れるたび疼いた。
「びしょびしょだな…女だってそうそうこんなに濡らさないよ」
「ン……ぁう、は…」
痴漢の言うとおり智洋のボクサーパンツは汁で濡れ、卑猥なシミが広がっていた。
ペニスはぐしょぐしょになってパンツにはりつき、裏筋やカリのかたちと色まで透けさせている。
痴漢はしばしそこを視姦すると、ローターを押し当てた。
「んんッ! ふぁあっ、やらぁっ…、ぁっんんんっ」
想像以上に強い刺激に、裏返った大きな声が出てしまった。
これじゃ誰かが起きてしまうかもしれない。そう頭ではわかっているのに、声を出さないでいることも、痴漢を思い切り振り払うこともできない。
気持ちが良くてたまらないのだ。
痴漢は敏感な鈴口のあたりを重点的に責めてくる。
腰がびくびく震えて、座席まで音をたてて揺れた。
「んっんぅっんっ……はぁんっ、あふぅっ…ひ、いぃっ」
気づかれてしまう。もう誰かに気づかれているかもしれない。
この狭いバスの中にいるたくさんの男達のうち、誰かに。
前からはいまだ寝息が聞こえてくることに、智洋は安堵する。
口を手で塞いだまま、ふと通路を挟んだ隣の座席を窺って――衝撃が全身を突き抜けた。
「……っ!」
見られていた。若い男が身を乗り出し、こちらをじっと見ている。
ぞくぞくぞくっと、どうしようもなく甘く淫らな感覚に襲われ、智洋は息を乱した。
男は何も言わない。動く気配もない。どうやら止める気も通報なりをする気もないらしい。
ただ驚愕と侮蔑と、興奮が入り混じったような眼差しが、まるでねっとりと愛撫しているかのように智洋の肉体を苛む。
「やぁあっ……みられっ、見られてぅっ、もっ、ひぃっ、アンッ!」
「ん? 見られるのが気持ちいいのか、いやらしいな。ほらっ」
「ヤッやぁああっ!」
痴漢は汗ばんだ手で強引に智洋の腕を引っ張ると、快感に震えて力の入らない身体を自分の膝の上に乗せた。
そのまま向きを変え、あろうことか隣の席の男に向けて脚を開かせた。
「……っ!」
「はぁあああんっ…みないでっ、ヤッぁんっあうぅっ…」
羞恥と興奮に涙が溢れ、視界が霞む。
男はごくりと唾を飲んだ。
智洋の下着は驚くほど汁に濡れ色が濃く変わり、その下のペニスがローターに感じてドクドクいっているのがよく分かる。
その気のない男でも興奮してしまうほど卑猥な光景だった。
重点的に尿道口のあたりを責められると、生理的な衝動が押し寄せてきて智洋は悶えた。
「あぁっアッもっ、そこ、ヤらぁっ、お、しっこ、でちゃうっ…」
「はぁっ……なんだって? 聞こえないな」
聞こえているはずなのに、痴漢は手を止めてはくれない。
衝動はどんどん切羽詰っていって、息が苦しいほど荒くなる。
「んっはぁっ…おっ、おしっこぉっ、おしっこれちゃうからぁっアァッ、さきっぽ、ぐりぐりしないでっ」
「っ、おもらしするのか? いい歳して、こんな大勢がいる場所で? 困ったな、このバスはトイレがついていないから、おまるでもあればいいんだがな」
痴漢は酷く楽しげに、羞恥を煽ることを言う。
言われたとたん、通路でおまるに向かって思い切りおしっこする自分が思い浮かんでしまって、かああっと頬が火照った。
そんな様子を、隣の男は一時も目を話さず、股間を押さえながら凝視している。
と、痴漢がパンツを掴み、ずりっと横に引っ張った。
ぐっしょりと濡れた玉や裏筋、そしてアナルまでが丸見えになってしまう。
「っ!? やっ、はぅっ」
「エロ……。なあ、先っぽ責められるのがいやなら、ここに挿れてって言ってみてよ。そうしたらお漏らしせずに済むよ。なあ言えよ、お尻マ○コにローターちょうだいって」
「んんっ…ヤらぁっ…、はぁっ、はふぅっ」
ヌチュ…ぬる、ぬる、ぬぷ、ぬぷっ…
痴漢の指が、濡れそぼったアナルに触れてきた。
そこは乳首やペニスの快感に震えるたびにいちいちヒクヒクと収縮して、中にまでいやらしい汁が入りこんでいた。
性器みたいになってしまったそこを痴漢と若い男に視姦され、興奮が煽られる。
――ここにローターが挿ったらどうなってしまうのだろう。
その想像はそのまま甘い疼きとなって、ひくついたアナルが痴漢の指に吸い付いた。
尿意の方ももう限界にきていて、智洋はいやらしい衝動に焦がれて言葉を紡いだ。
「いっ、挿れてっ……んっ、おしり、ま○こにっ、ローターちょうだいぃ……あっはあぁんんっ」
ぬちゃ、ヌッ、ぬっ、ぬぷうううっ
ローターは卑猥な音をたてながら、意外なほどすんなりとアナルに挿入された。
「んんんぅっ、いぃっひいっァッふぅっらめっ…ぁっんんんっ」
今まで感じたことのない種類の強烈な気持ちよさに、頭の中が真っ白になった。
いく、いくと思ったその瞬間、痴漢にペニスの根元を思い切り握られた。
「いっ……! やっ、いだいっ」
「お漏らしやだって言ってたのに、白いのはお漏らしする気だったのか? いけない子だな。それにもうすぐ……」
痴漢の言葉の途中で、間もなく休憩のためのパーキングに着くとアナウンスが入った。
人が起き、うごめく気配を感じる。
「……!」
呆然とする智洋を後目に、痴漢は手際よく服を着せていき、元の席に座らせた。
「……んー、トモ、おはよ。やっと○×パーキングかあ」
「……っ、あ、ああ」
聡が寝ぼけ眼を擦りながら話しかけてくるが、智洋はそれどころではなかった。
いくら何事もなかったかのように服を着ても、身体のほうはそうはいかない。
ローターの刺激に性感は高まる一方なのに加え、何も知らない友人達の前で下半身が酷く淫らなことになっているという状況に、智洋はしらず興奮していた。
パーキングに着いても、治まるどころか今にも達してしまいそうな状態に変わりはなかった。
「トモ、なんか顔赤くね? フラフラしてるし」
「熱でもあるんじゃないのか?」
「いや、ちょっと、バスが暑かっただけ…」
どう見ても大丈夫ではなさそうな様子に、友人達は困惑の表情を浮かべる。
股間はバッグでなんとか隠せていたが、歩くたび中のローターが動いて内壁を刺激するため、足元がおぼつかない。
バスを降りるさい、ローターが異常に感じる場所をごりっと擦って、智洋は上ずった声を出してよろめいてしまった。
「はぁうッ…」
「お、おい、マジ大丈夫かよ?」
聡に支えられ、どうにか転ばずには済んだ。
喘ぎ声を必死で抑えて、智洋は涙目で見上げながら礼を言った。
「はぁっ…ご、ごめん、ホント、大丈夫だから……ありがと」
「……っ、いや、いいけど……」
聡の頬が赤くなったのに気づく余裕は、智洋にはなかった。
「ぁ、ホント言うとちょっと、腹がいたくて……、ん、だから、先に行って飲み物買っておいてくんね…?」
「あ、ああ……」
「わかった」
純粋に心配してくれていることに多少罪悪感を覚えたが、今はそれ以上に切羽詰った衝動が智洋を支配していた。
ふらつきながらも何とかトイレに辿り着き、直人達と別れて個室の方へ向かう。
人が少ないことに安堵して、空いた個室に飛び込もうとした瞬間、智洋は強かに背中を押された。
「なっ…ぁっ…!」
一瞬の出来事だった。
狭い個室の中、あの痴漢がドアを背にして智洋を見下ろし、獲物を目前にした獣のようにいやらしく笑った。
「ヤ、なんでっ…ぁうっ」
絶望感と相反する甘い疼きに、智洋は涙目になって身を捩る。
逃げようにも身体がこんな状態では痴漢に敵うはずもなく、たやすく拘束されてしまう。
「抵抗するなよ。ケツま○こにローター咥えこんでびしょびしょにしてる姿、見られたい?」
「……っ、ヤだっ、んんっ……」
昂ぶった下半身を撫でられ、膝から崩れそうになるのを痴漢に支えられる。
「おしっこしたいんだろ? して見せてよ……」
「はぁっ、はぁっ…いや、うぁっ、んっ」
「なら着たまま漏らす? お漏らしでびしょびしょになった服のままバスに乗ったら、お友達や他の客はどう思うだろうな」
「……っ」
悪魔のような囁きに、智洋は唇を噛んだ。
屈辱と羞恥と興奮が混ざったぐちゃぐちゃな気分で、ゆっくりとジーンズの前をくつろげる。
すると痴漢が乱暴にそれを引き摺り下ろし、ペニスだけを出すはずが尻を晒す格好になってしまった。
「いやらしいケツしてるな……ぶち込みたくて仕方ないよ」
「やぁっ、アッ、ふっ…」
やわらかな臀部を揉みしだかれ、尿意が更に高まる。
もう限界だった。
とにかく何も考えず、まずは尿を出してしまいたい。
そう思って勃起したペニスを掴んだとき、痴漢がローターのコントローラーを掴み、一気に出力を最大にした。
「いやあああ゛っ!!? あひいぃっ、アァッ、らめっ、らめぇっ! で、ちゃうっ!」
「いいよ……おしっこ漏らしちゃうって言いながら、出してみろっ」
細かく強い振動に中のいいところをけたたましく叩かれ、智洋は腰を突き上げながら泣き喚いた。
痴漢もいつしかギンギンに勃起したペニスを取り出し、智洋の尻に押し付けるようにしながら扱いている。
「あああッ、おしっこ、おしっこ出る…はぁっ、あんっ、おしっこ、お漏らししちゃうっ…ああぁー…」
「っ、すごいな……潮噴きみたいじゃないか…」
「はぁあ……見るなぁ、はぁんっ、あんっ、おもらし、とまらない…っ」
我慢に我慢を重ねたせいで尿は中々止まらず、その間中まるで射精しているかのような快感が智洋を襲った。
ちょろちょろと出続けていたものがやっと止まっても、アナルの中のローターは智洋を苛み続けるのだからたまらない。
「もうっ、やらぁ…はぁっ、抜いてぇ、もう、おかしくなるっ…、あぁっ…」
息も絶え絶えに懇願する姿はしかし、痴漢の欲情を煽るだけだった。
尻に擦り付けられていた剛直が、より硬さを増す。
その圧倒的な質量に、今更ながら恐怖と、わけのわからない興奮が智洋の身を焦がす。
「…チ○ポが気になる? エッチだな…。ほら、触って…」
「っ、ふぁっ、ぁ、んっ…」
無理矢理握らされると、それは熱くて硬くて、種付けの準備は万端とばかりにドクドクと脈打っていた。
本来あるべき嫌悪感は殆どなく、無意識に少し手を動かして擦ってしまうと、痴漢が気持ちよさそうな息を吐く。
「時間があまりないな…。脚をしっかり閉じて。――そう、いい子だ」
もう抗う力は残っておらず、智洋はのろのろと痴漢の言うとおりにする。
閉じた脚の狭間に、硬く弾力のある亀頭が押し付けられた。
そのままねじ込まれたとき初めて、これが素股という行為であると気づいた。
「あっ、あッ…、あんっ、ふぁっ、こすれて、るっ…」
「ああ…君の太もも、気持ちいいよ…」
時間がないことを考えてか、痴漢は初めから激しくピストンしてきた。
股の間から赤黒い先端が見え隠れして、その卑猥な光景にじいんと脳が痺れる。
玉や裏筋を擦られるのがもどかしい快感となり、アナルのローターが前立腺をぐりぐり抉って狂おしい快感を生む。
更に後ろから服の中に手を突っ込まれ、両方の乳首をくりっと刺激された。
「アアァッ! あんっ、らめぇっ、ちくび、んっふぅっ」
「乳首もいいんだ…こんなにビンビンにさせて」
「はぁんっ…いぃっ、ハァッ、あぁっ…あんっ」
きゅ、きゅ、と揉まれるたびにびくっと下半身が震え、痴漢の怒張をより締め付ける。
痴漢は興奮したように唸ると、乳首をめちゃくちゃに擦りあげながら、更にピストンを速めた。
経験したことなどない四点責めよる快感に、脳はとっくに容量オーバーを起こしていた。
「あんッ! あっ、あんっ、あッ、やぁっ、らめっ、いっちゃうっ、はぁあっ」
「ん…いいよ、一緒にいこうか…っ」
「ああーっ! ああッ、ふぁっ、いくっ、はぁっ、いくいくっ、もう、ああぁんっ!」
「くっ…出るっ」
ほぼ同時に、二人は白濁を吐き出した。
生々しく痺れるような快感に、痴漢の精液を搾り取るように脚が痙攣してしまう。
痴漢は荒い息を吐きながら痛いほど智洋を抱きしめ、最後の一滴まで吐き出した。
力が抜けて崩れそうになる身体を、痴漢の腕が支える。
「はぁ……よかったよ。――そろそろバスが出る時間だな」
言われ、ようやく解放されるのかと安堵の息を吐く。
しかしその次の言葉に、智洋は絶望を感じた。
「大阪まではまだまだ長い……楽しみだ」
「ぁ…あ……」
その間に一体自分はどうなってしまうのだろう。
考えるだけで身体が震え――酷く疼いた。
end
text