露出癖
あり
滝野優希には決して人に言えない性癖がある。
今日も秘密の欲求を満たすため、彼は夜の公園に佇んでいた。
(はあ……ドキドキしてきた……)
時刻は21時を回ったところ。しんとしていて優希以外に人影はない。
優希は胸を高鳴らせながらトレンチコートのボタンを外していく。
その下には、薄いシャツ一枚と短いスカートしか穿いていないという異様な姿をしていた。
「はぁっ……」
変態的な格好を外で晒し、スリルを味わうことに興奮を覚える――そういうやっかいな性癖が優希にはあるのだ。
(あー、外でこんな変態な格好しちゃってる…っこんなの人に見られたら、見られたら…っ)
体が熱くなって堪らなくなる。少しスカートの裾を持ち上げると、女物の透け下着に包まれた下半身が露になってぞくぞくする。
女装癖とは少し違う。スカートはめくるだけで簡単に露出できるし、より変態的な下着を身に着けることで強い倒錯感を得られるのだ。
「はぁっ、はぁっ……」
片手でスカートの裾を持ち上げ、片手でシャツをめくって胸を露出しながら公園内をゆっくり歩く。
異常な行為だ。本当に興奮する。
「……っ」
そのとき、人の足音が聞こえた。優希は焦って服を直し、コートの前を合わせる。
こんな性癖だが通報されて犯罪者になってしまうのは非常に困るのだ。
歩いてきたのはスーツを着たサラリーマン風の男だった。会社帰りに、近道のため公園を突っ切ってきたと言うところだろう。
更に心臓が激しく鼓動する。相手は一人、恐そうな人間ではない――。
優希は衝動的に、コートの前を開いて女装姿を晒した。
男がいよいよこちらへ近づいてきて――目が合った。
「……っ」
ぞくぞくぞくっ
驚いた顔で見られた瞬間、強い快感が背筋を駆け上がった。
本来ならここで逃げるのが正解だった。女装だけならまだ単なる趣味だと言い訳がきく。
だけど男が気持ち悪がって立ち去ったり、捕まえたりしようとせず、まだこっちを見ているから――。
「はぁっ、あぁ……」
優希は欲望に負けスカートをめくった。薄くて小さいパンツの中でペニスはギンギンに勃起して、卑猥極まりないことになっている。
それを今見られている――と思うと、もう足ががくがくしてしまうほど感じて、変態らしく息がどんどん上がっていく。
(ああっ…すごい見てくれてる…っ、男なのにスカート履いてやらしい下着押し上げてる変態ち○ぽ、スーツのサラリーマンが見てくれてるっ…)
びくっびくっドクッドクンッ
ぬめった汁が溢れて下着を濡らしていく。薄い生地だからすぐびしょびしょになって、もうピンクの亀頭が透けてしまっているだろう。
(あぁんっ……すごいっ、まだ、見てる……)
興奮しきりながらも、男がまったく動かないことにどこかで疑問を抱く。
それも束の間、男が動いた。優希の方へと。
「っ…!? はぁっ、ぁ、っう」
凝視したまま近づいてくる男に驚いて後ずさると、つまずいて後ろにあったベンチに座るような体勢になってしまった。
そうして視線が下がったことで気づく。男のスラックスの前が、巨大なものに押し上げられテントを張っていることに。
「……っ、あぁ、ん、…」
ぞくり、とした。自分が気持ちよくなるための変態行為で、興奮する人がいるだなんて想像したことも無かった。
無意識に唾を飲み込む。
(ど、どうしよう、逃げなきゃ……っ、ああ、でも、俺を見て、あんな、大きいのが、ギンギンにっ…)
恐ろしいのに、初めて感じる興奮で眩暈がしてくる。
最後に勝ったのはやはり欲望だった。
「あっ…もっと見てっ…はぁんっ…」
ベンチに両足を乗せて、腰を突き出して陰部が丸見えになる恥ずかしい格好をする。
自分でも見てみると下着はお尻のほうまで濡れて肌に張り付き、ペニスの先端はもちろん茎の形まではっきり透けて浮き出していた。
どうしうようもなく最低で変態的で卑猥な姿だ。それを見てくれてる人がいるなんて。
「あぁん……っすごいっ…もっと、見て、はぁあ…」
下着をぐいっと横にずらす。びしょびしょのペニスが飛び出してきて、更に腰を浮かすと体の奥の奥――アナルまで丸見えにしてしまった。
「あぁっすごい、興奮するっ…ちくびも見て、コンプレックスのピンク乳首も見てっ…」
シャツをめくり上げると露になった乳首はビンビンに勃起していた。外気に触れただけでじんじん疼いて、堪らない気分になる。
男は優希の顔から下半身まで舐めるように凝視したまま、ベルトを外したかと思うと勃起した怒張を取り出して扱き始めた。
(……っ、おれを見て、でかち○ぽビキビキにして、オナニーしてるっ……)
ぞくぞくぞくっ
男のペニスは想像以上に大きかった。赤黒くて、亀頭が大きく張り出していて、血管がビキビキしていて――興奮していると一目で分かる。
それが男の逞しい手で上下にシコシコと扱かれている。優希のことをオカズにして。
「はぁあっ…ぁっ、ひぁっ」
ペニスからまた汁がにじみ出て、何故かアナルまでひくひく痙攣する。とうとう我慢ができなくなって優希も自身のペニスに触れた。
「あぁんッ! あ゛っひっ、すごいっ、あんッああッ」
先っぽに少し触っただけでイったかと錯覚するような快感が突き抜けて、腰が揺れてベンチがガタガタ音を立てる。すさまじい興奮が全身を支配していた。
「あッあひっ、ちくびもっきもちいっ…ぁんっあんあんッ」
男がしているように激しく扱いたらすぐイってしまうので、先端をゆるゆる擦りながら勃起乳首を弄る。
くちゅ、くちゅ…ぬちゅ、ぬちゅ、ちゅくっちゅくっ
シュッシュッ、シコシコシコシコッ!
「あんっすごいっ…大きい勃起ち○ぽすごいっ…もっと見てぇっ…気持ちよくなってっ…。はぁっ、ぁっ」
乳首を摘んでくりくりひねるとどんどんいやらしい汁が溢れてきて手が濡れる。ちらりと男の顔を見ると興奮しきった目と目が合い、甘美な絶頂感が襲い掛かってくる。
「ぁあん、…も、いきそう、ちくびと亀頭くちゅくちゅしてる、変態なとこ見られて、いっちゃ、…はあぁんっ」
快感が強すぎて我慢できなかった。変態的ないやらしい姿を見せながら、凶器のような怒張が激しく扱かれているさまを見ながら、優希は最高の絶頂に達した。
「あっぁッ、やんっ、いっちゃうっ、いくとこ見てっ、変態ち○ぽから、せいしでるとこ…、全部っ…! はぁんっ、見てっ…! あぁっ、いくっ、いくっ!」
「……っ!」
びゅっ、びゅるっ、びゅるるるっ!
激しく痙攣している優希に男の手の動きが一層激しくなり――白くて濃い液体が勢いよく飛び出す瞬間を、ものすごいアクメを感じながら優希は見た。
「あぁあっ…すごいっ、ぁひっ、あーっ…はぁっ……」
男のザーメンは優希の体にぶっかけられた。ドロドロの最低な姿になった優希を、男はまだ見ている。
(夢みたいに気持ちよかった……)
男が更に近づいてくる――。
「――ね」
「――だよ」
不意に遠くから声と足音が聞こえてきた。男性と女性――恐らくカップルか何かだろう。
一気に頭が冷え、優希は慌ててコートの前を合わせると男に向かって
「あのっ、見てくれてありがとうございました!」
と深く頭を下げ、ふらつく足を叱咤して逃げ出した。
(はぁ……危なかった……またしたい……)
夜空を見上げ、かつてない満足感にうっとりしながら優希は思った。
end
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