魔王の婚活 02


あり

手洗いに入り、飲み物で濡れた上着を脱いでシャツを拭く。
こんなところ来なければよかった。俺に精をくれる女は一体どこにいるのだろう。ここが魔界であれば、あんな天使や一色など問題にならないくらい女が寄ってくるものを……。

「あーいたまお君。いきなりいなくならないでよ」
「なっ……お前か」

一色が手洗いに入ってきた。顔も見たくないと思った矢先にだ。人間なら少しは空気を読むということができないのだろうか。

「俺さ、普段は婚活パーティーなんて来ないんだけど。まだ結婚する気なんて全然ないし、正直普通にモテて女に困ったことないし」

いきなり自慢話か。何のつもりだ。

「でも今日は、魔王が来るって噂になっててさ、名前魔王で職業魔王なんてまお君以外にいないじゃん? あのぼっちだったまお君が婚活なんてどういうことだよって思って」
「……そうか」

やはりこいつは性格が悪い。俺を面白がるためにわざわざこんなイベントに参加したとは。真面目に相手を探して婚活してる人達に失礼だと思わないのか。

「で、まお君はなんでこんなのに参加したの? 付き合いとか?」
「失敬な。俺はくだらない遊びはしない。正式な配偶者を探している」

きっぱりと宣言すると、へらへらしていた一色がすっと真顔になる。

「でもさあまお君、彼女どころか友達もいなかったのに、女の子とのやり方、知ってるの?」

俺は言葉に詰まった。今までは必要としていなかったから、こいつより知識がないのは確実だ。だがそれを認めるのは悔しい。

「やっぱり童貞なんだ。魔王が童貞ってくそ笑える。……俺が教えてやるよ」
「な、何をする」

一色が突然俺の腕を引っ張って、個室に押し込め自分も入ってきた。そして俺のベルトに手をかけたかと思うと、鮮やかな手つきでズボンを脱がせてしまった。パンツもすぐにずり下げられ、俺のペニスが晒されてしまう。

「……うわ、何でこんな……魔王のチ○ポって、グロいものじゃないの?」

一色が真顔で聞いてくる。そんなことを言われても他の者と比べたことがないしこれが俺のペニスだ。

「期待に添えなかったらしいが……もう外に出たいのだが」
「まお君さあ、オナニーとかしないの?」
「オナニー……自慰のことか。人間と一緒にするな。魔王はそんなことをする必要がない」

一色が目を瞠った。そんなことよりここから出たいのだが……と思っていると、いきなりペニスに触られた。

「っ、ぁっ、なにっ…」
「ホントしたことがないってことは、勃起したことも射精したこともないんだ……?」
「やめっ…ぁあっ、んっ、はぁっ……」

しゅっ、しゅっ、ぐり、ぐり、しゅっ、しゅっ……

時折親指で亀頭のところをぐりぐりしながら、一色がペニスを扱く。おかしな感覚に体が熱くなって、弄られているところがジンジンする。
抵抗できなかった。成人したにも関わらず長いこと精を得ておらず、俺の肉体は俺が思っている以上に弱っていたらしい。そこへ思わぬ快感を与えられ、体が蕩けていく。

「ははっ、勃起してきたじゃん。ピンクのカリ出てきた。気持ちいいんだ」
「あっ、あっ、んっんっ…あぁっ」

一色は嘲笑しているようで、どこか嗜虐的で異様な空気を纏っている。

「ね、気持ちいいんだろ?」

執拗に亀頭を指でぐりぐりしながら囁いてくる。気持ちいい――これが気持ちいいという感覚なのか。知識があったが実際体験してみると、想像より遥かに――。

「んっ……いい、はぁっきもちいいっ…」
「……っ」

一色は息を吐くと、大きく硬くなって上を向く俺のペニスから手を離した。

「ビンビンに勃起したね。勃起しても可愛くて笑えるけど。これを女の子のおま○こに挿れるんだよ。できんの?」
「お、ま○こ……?」
「っ、そう、ホントに何も知らないんだな。おま○こっていうのは女の子のこの辺にあんの」

一色が、俺のペニスの奥に腕を伸ばして、穴に触れてきた。

「何をする……っんっ」
「何って、教えてやるんだよ。どれだけ勃起しててハメたくて仕方なくてもいきなりチ○ポ突っ込んだりしたら駄目だよ。こうやって指で」
「ひっ……あぁあっ」
「たくさん弄ってズボズボ突きまくって、慣らしてやるからなっ……」

ずっ、ずぶ、ぬぷぷぷっ……

一色の指が、俺の穴の中にねじ込まれてしまった。

「やっあっ……ンッあッあぁっ」
「っ熱くて、絡み付いてくる……何これ、まだ狭すぎてチ○ポは挿れられないけど、完全におま○こじゃん」
「あッやめっ…はぁっんっんっあんっ」

ずっ、ずぶ、ぬぶ、ぬぶ、ずぶ、ずぶ、ずぶ、ぐりぐりっ

微かに息を荒げながら、一色が指を出し入れする。内壁を突かれると強烈な快感が走りぬけ、自分のものとは思えない声がひっきりなしに出てくる。

「あっあっ…あッひあっんっあぁっ」
「はは、すげー声……まお君、こんな淫乱な体で女と結婚する気だったんだ」
「やめろっ…ンッ…ああッ」
「でももう駄目だね。だってまお君のここ、完全におま○こになっちゃったんだし。魔王の上にここがおま○こみたいなまお君なんて、結婚してくれる女どこにもいないよ」

ずっずぶっ、ずぶっ、ずぶっ、ぬぶっぬぶっ、ぐりっぐりっぐりっ

締め付ける中をお構いなしに抜き差しし、俺の耳をいやらしく舐めながら、一色は残酷に囁く。

「やっあぁッ……おま○こじゃないっ…ンッふぁっあっ」
「ん……? 指マンされて、こんなやらしい声で喘いでるくせに? ビンビンのチ○ポからエロ汁いっぱい出てるし」

ずぶっずぶっずちゅっずちゅっずちゅっ、ズブンッズブンッ

「あぁんっ…やっ指マン、…んっあッあッ」

足ががくがくして、快感が強すぎて怖くなってくる。何かが出てしまいそうな感じがする。

「はぁっ指マン好き? イきそう? おま○こだけで雌イキしそうなんだ?」
「はぁっ分からなっ…いっあっああッあんっ」
「出そうなんだろ。そういうときはイくって言わなきゃ駄目なんだよ。おま○こでイっちゃうって、ほら、ほらっ」

ズブッズブッズブッズブッズブッぐりぐりぐりぐりっ

興奮してるみたいに荒い息を吐きながら激しく抜き差しされ、中を何度も擦られ、目の前で光が弾けた。

「ああッいくっ…おま○こでイっちゃうっ…あんっアッあっああんっ…!」
「はぁっ…いいよ、雌イキ見せて、…っ」

ズッズッずぶっずぶっ、ぬぶっ、ぬぶっぬぶっぬぶっぐりっぐりぃっ
びくっびくんっびゅっ、びゅくっ、びゅーーっ……

「はぁああっ…あぁっ…ん、はぁ、はぁ…」

意識が飛んでしまいそうな快感と共に、ペニスから白濁の液体が勢いよく出てきた。穴をしつこくぐりぐりしながら、一色がその様子を据わった目で凝視する。

「はぁ……まお君、エロすぎ……」

快感の余韻でびくびくしている体に一色が密着してくる。やけに熱くて硬いものが、むき出しの腹に当たるのを感じた。

一色がその硬いものを取り出したのを見て俺は瞠目した。同じペニスであるはずなのに俺のものよりずっと色が濃くてカリの部分が張り出していて、グロテスクにすら見える。ビキビキと反り返っているのは何故なのだろう。
凶器をこちらに向けたまま、一色は俺の足を広げてにじり寄ってくる。

「な、何をするつもりだ」
「何って、セックスに決まってるだろ」
「セッ……」

少し息を荒げながらギラギラした目で見つめてくる一色は、冗談を言っているようには見えない。セックスは男女がするものなのに、おかしくなってしまったのだろうか。体が先ほどからじんじんしてたまらない。

「これをお前のおま○こに挿れて突きまくるんだよ。指なんかよりずっと太いので、さっき雌イキしたところゴリゴリ擦ってやるから」
「……っ、駄目、」

アナルがひっきりなしにひくひくと疼く。そこへ勃起ペニスが押し付けられようとするのを、俺は何とか避けた。

「駄目だ、こういうことは伴侶としかしてはいけないのだ。それに魔王と交わった者は史上の快楽に魅了されて、他者とは二度とできなくなるという。お前は女とできなくなるのは困るだろう!」

史上の快感で魅了して夢中にさせる、というのは先代魔王の話で自分がどうなのかは謎だが、一色のような男が俺以外とできなくなるかもしれないなんてリスクは犯すはずがない。やめさせる完璧な脅しだ、と思っていたのに。

「だから離れろ、っひぁっ」
「まお君誘ってんの? このおま○こに挿れたら気持ち良すぎて虜になっちゃうって、すごい自信だね。はぁっ…」

ぬちゅっ……ちゅく、ぬる、ぬる、

今度は有無を言わせず怒張をアナルに食い込ませながら、一色は熱に浮かされたように囁く。

「あぁっ……っ、正気に戻れ、俺としかセックスできなくなるんだぞ…っ、ン、はぁっ…」
「じゃあ、まお君も俺以外とセックスできない体にしてあげるよ…っ」
「ひっあ゛あ゛ッ…!」

ヌブ、ズッ、ヌブッヌブッ、ズブウッ…

制止に耳を貸さず一色は硬いペニスをねじ込んできた。
息が止まりそうなくらいの圧迫感と違和感、それから中を強かに擦られる未知の感覚が大波のように襲ってくる。

「あひっあ゛ッ…あ゛ぁッ」
「はぁっ、入ったよ。すげーきつい…これでまお君のおま○こは完全に俺専用になっちゃったね…っ」
「ああッ! やめっあッあっあんッ」

ぬぶっ…ずぶっずぷっずぷっパンッパンッ

挿れられただけでおかしくなりそうだというのに、一色は腰を動かして勃起ペニスを出し入れし始める。
だから専用になるのは俺じゃなくてお前だ、なんて訂正する余裕はなかった。勝手に締め付けるおま○この中をゴリゴリ犯されて信じられないくらいの快感を叩き込まれる。

「あんッあッあッあんっあんっ」
「あーすごい…熱くてなかぐねぐね動いてるよ。確かにこんな淫乱おま○こに挿れたら大抵の奴は夢中になっちゃうだろうねっ」
「あッやっンッあッあひッ」

ずぷっずぷっぬぶっぬぶっぬぶっぬぶっぐりぐりぐりっ

いやらしい音をたてながらペニスが出し入れされる。反り返っているからかペニス側の感じる場所にカリが何度も強く押し付けられて、感じまくってしまう。

「はぁっ締め付けすぎだって…まお君気持ちいい? おま○こ感じる?」
「あ゛うっあっあッだめっ…おま○こ、感じすぎておかしくなる…ッあひっあッあああんッ!」
「っホントエロすぎ…よく今まで魔族の取り巻きとかに突っ込まれずにいられたね、魔王のくせにこんないやらしい体してっ」

ヌブッヌブッヌブッぐりゅっぐりゅっぐりゅっぐりゅっぐりゅっぐりゅうっ

一色の腰の動きがどんどん速くなる。もう何を言われてるのかも分からない。おま○この中ごりごりされる感覚がすべてになる。

「あひっあッいくッまたいっちゃうっアッああんッ」
「いいよ、俺のチ○ポで雌イキして? 激しくしてやるから…っ」
「あ゛あぁッあッあんあんあんあんッ!」

さっきまでも十分激しかったのに、一色は俺の腰を掴んで叩き付けるように高速ピストンしてきた。 おま○こは未だにぎゅうぎゅう締め付けて動きづらいはずなのにそんな風にされて、中が暴力的に擦られまくる。

「あ゛あ゛ッイクッあひっあ゛ああッ!」

びくっびくっびゅくっびゅくっびゅっ、びくんっびくんっ

ペニスから白濁が飛び出す。圧倒的な快感で全身が痙攣する。おま○こは搾り取るみたいに一色のペニスをぎゅううっと締め付け続けていた。

「ッ俺もイくよ、俺専用おま○こに種付けしてあげるから」
「ひああッあ゛ッ動くなっあッあんッアァッアンッアンッアンッ!」
ヌブッヌブッヌブッズバンズバンズバンズバンズバンッ!

駄目だ、イってるのにおま○こゴリゴリされて、もうずっとイってる、狂ってしまう。

「はぁっイくっ、――ッ!」
「あ゛あッ…あんっあッうああっ」

パンパンパンパンパンパンッ! ビュッビュルッビュルッビュルルルルッ!

奥まで叩き付けたのと同時に、中に熱い液体が注がれた。蕩けるような官能と共に魔力が満たされていくのが分かる。

「あぁんッ…はぁっはぁっ、一色のせーえき、すごい…っ」
「まお君、もしかして中出しされて喜んでるの…?」
「んっ、中出しせーえきおいしい…ぁうっ」

挿入されたままのペニスが中でビクビク脈打つ。

「まお君は悪い子だね、いいよ、もっとたくさん中出ししてあげる」

イったというのに欲情を漲らせた顔で一色が言い放った。
一色なんて嫌いで、こんなこと屈辱なはずなのに、俺の体は更なる快感への期待にゾクゾクと疼くのだった。


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