墜ちる騎士1話 03


あり

「んむっ……ふぅっ、んっ、ん゛っ
「駄目ですよ、そんなに強く噛んだら唇が切れてしまう。ああ、口の中もこんなに熱くして、滴るほど唾液を溢れさせて。乳首で感じている証拠だ」
「んふぅっ……んっふ、〜っ

くりっ、くりっくりっ……ぎゅぅっ、ぎゅうっ、ぎゅうっ

(駄目、駄目だ、乳首と下半身が繋がって……っきゅんきゅん疼いてしまう……っ。クリ○リス、なんかじゃないのに。今、乳首の先端をいじってるみたいに濡れた鈴口を弄られたら、すぐ射精できる……駄目だ、こんな卑劣な男の前で射精など……)

「先端の穴がひくついて汁が止まりませんね。そろそろ限界でしょう」
「ぅんっ……ふぁ、やっ……俺のは、く、クリ○リスなどではないっ…んっはぁっ…
「――そうですか。まあメスならここに触れずとも何度でも達することができる。メスイキしかしたくないというならこれから教え込んで差し上げます」

後ろから軽々と脚を持ち上げられる。濡れた男根はおろか、精液が溜まって張り詰めた陰嚢、更にその奥まで鏡に映された。
アレクシスは小瓶から何かぬめった液体を取り出し指先にまとわせる。ほんの一瞬、その手で反り返った男根に触れられることを無意識に想像した。だがアレクシスの命令に逆らったそこが触れられることはなく、禁断の場所に魔の手が伸びる。

「ひぃっ……んっ、な、何をっ……ぅんっ」
「ここがあなたをメスにする穴ですよ。ここに男の昂ぶりを受け止め、メスになるのです」
「そんなことができるわけないだろう、頭がおかしいのか。ふっぅっ、ヘドが出る……っ」

濡れた手で皺を揉みほぐすように撫でられ、悪寒が背筋を走る。
そこは排泄のための不浄の穴だ。何かを挿入するなどありえない。大体きつく閉ざされていては入るわけがない。

「ふっ、本当に何も知らないのですね。士官学校時代などに、仲間から誘われたことくらいあるのではないですか」
「……こんな常軌を逸した行為をしたがる者が我が国にいるはずがない」
「あなたが気づいていないだけだ。ここも、拡げればちゃんと入るのですよ。太いものでもね」
「ひっ……ぅ、くっ……!」

ぬぢゅ……、ぐり……っ、ぐりゅっ、ぐちゅっ……
ぬ゛っ……ぬ゛ぶ、ぬ゛ぶぶっ……

どうして弄られている穴はひくひくと小さく開閉し、もどかしいような感覚を生み出す。そして開いた瞬間、中に指がねじ込まれた。
狭くみっちりと閉じた肉を拓き、強引に奥へ潜り込んでくる。

「ふぅっ……んっやめろ、嫌だ、そんなところっ……」
「ほら入った……。まだガチガチかと思ったら、中は慮外に柔らかい。たっぷり濡らしたから痛くはないでしょう」
「き、気持ちが悪い、くっ、んんっ…

初めての、考えたこともなかったような行為に、強い異物感を覚える。躰の中から侵略される不安感と屈辱。
それに、具体的にどこがどうとは言えないが、中に爆弾を抱えているような不穏な感覚がする。まだ小さな火種だが、そこを掘り起こされたら何かが爆発してしまうような疼き。けっしてこれ以上触れられるのを許してはいけない。そんな気がする。

「気持ちが悪いですか。それはいけない。すぐに気持ちよくしてあげなくては」
「やめろ、抜けっ……ん゛っ、うっ」

必死の訴えも虚しく、アレクシスは指を抜き差しし始めた。みっちり咥えこんでいた指が抜かれ、またぬぶっと突き入れられる。その光景から目が離せない。粘膜を異物が行き来するたびに不穏な感覚は大きくなる。

「どうです、高潔な騎士でありながら中に侵入を許した感想は」
「ゆ、許さないっ……ん゛っ、んっ

ぬ゛ぢゅっ……ぬ゛っ、ぐちゅ……ぬぷっ、ぬぷっ……

指はただ闇雲に突くだけでなく、徐々に穴をほぐし拡げていく。中が、拒みたいのにどんどん柔らかく蕩けていくのが目に見えて分かる。異物感がなくなっていく。なくならないでほしかった。それが感じてはいけない淫らな性感に変わるくらいなら……。

「ああ、小さな穴がもう蕩けてきた。さすが若くしてご高名な騎士殿、こちらの覚えも優秀だ。これならすぐ性器に……嫌でもおま〇こになってしまうでしょうね」
「……っ、おま〇こ……?」
「それも知らないのですか。ああ、馬鹿にしてはいませんよ。俗語ですから高潔な騎士には本来似つかわしくない言葉だ」
「……」
「ただし、これからはおま〇こと呼ぶにふさわしい性器になる。ずっぽりと奥まで雄を受け入れるメス穴にね」
「〜〜っ……ンッ……くぅっ、んんっ……」

ぬ゛ぶっ……ぬぶっぬぶっ……ずぷんっ、ずちゅぅっ……

(なんだこの感覚は……。おかしい、尻の穴をえぐられて、いたぶられているだけだというのに……っ、何故こんな、中が疼いて、熱くて苦しい……。俺の躰は一体どうしてしまったんだ)

「ひっ……うぅ、んっ、くぅ……っもう……、やめろ、辱めならもう十分に与えただろう……っ」
「まさか。まだ穴をほぐしていただけです。ああ、もうもどかしくて我慢できなくなったのですね。ではこれからあなたの」
「〜〜っ!?ぅあっ、んっ、ん゛っ
「メスになる場所を探し当てましょう」

ぬ゛っ……ずりゅっ……ぬ゛ぶっ、ぐりっ、ぐりぐりっ……

ほぐすために動いていた指が、何かを探すように、挿入したまま多方向を擦り上げる。
駄目だ駄目だ。見つかっていはいけない。そこを、狂おしく疼いているそこを探り当てられたら、絶対にいけない――。

ぐりっぐりっ……ぐりゅぅっ……!

「ん゛ッぉおおっ!ぉおっあ゛っあああっ

恐れていた事態が起きた。男根の付け根の裏側辺りにある一点を押し潰された瞬間、リヒトの頭は真っ白になり、今まで散々我慢していた声が勝手に上がっていた。それも、とびきりみっともなく、自分でも聞いたことがないほどの酷い声が。
我に返ってなかったことにしようとしてももう遅かった。ある場所――アレクシスいわくメスになってしまう場所が、重点的にごりごりと擦られる。

「ん゛〜〜っ……おぉっだめっ、やめろっ、あっあ゛っしょこぉっ
「ああ、なんて声だ。ここがメスになる性感帯なんですね。擦るたびに指を食いしめてくる」
「ちがぅ、メスなんてっ…あぁっお゛っんっん゛おぉっ
「嘘を吐かないで。頑なに声を我慢していたのにこれほどよがってしまうなんて、我慢できないほど気持ちいいのでしょう」

言い当てられて、屈辱と快感でぎゅうぎゅうと中が蠢く。絶対に女のような喘ぎ声など上げないと決めていた。なのに指で敏感な粘膜を押されると、打てば響く鐘のように否応なく淫らに喘いでしまう。
男根で自慰をしたことは何度もある。本来正しくない行いだと聖書には書かれているが、溜め込みすぎては体に悪く、騎士としての任務に支障をきたしかねない――と自分に言い訳をして。声を殺し、隠れて昂ぶった男根を扱く。それは後ろめたく気持ちいい行為だった。
だけど今の快感は、そのときとは全くの別物だった。自分が自分になってしまう不安に見舞われリヒトは慄きながら追い詰められていく。

「ん゛んっ……ふぅっ、んっん゛っ、やめっ、んっくぅっ
「おや、またそのように我慢して。顔が真っ赤だ、欲望のままによがり声を上げなくては苦しいでしょうに」
「そんなことっ……ん゛っ、おれは、お前の思い通りになどっ、ん゛ふっ、んうっ」
「強情だな。ではこちらも一緒に気持ちよくなりましょうか」

強制的に感じさせられながらも、何とか自分を奮い立たせるリヒトに、アレクシスは非情な追い打ちをかけた。
指で中を犯しながら、片手で乳首を擦ったのだ。

「んおぉおっ……!ああぁっやっ、おっんあぁっ
「ああ、まだ張り詰めている。敏感にしたまま放っておいて悪かったですね」
「やめっ、一緒、いっしょにしたらっ……だめぇっ、ああっあ゛っひっおおぉんっ

クリっ……くりっ、くりっ、かりかりかりかり
ずぶっ、ずぶっ……ぬぶっぬぶっ、ぐりゅっぐりゅっぐりゅっ

乳首を掠り、揉みながら、濡れた穴の中を音を立てて擦られる。乳首への刺激を受けるとの粘膜が露骨にびくびく収縮し、指の形にぴったりとハマる。上と下とで忙しなく鋭い快感が行き来する。
「ん゛ぁっあ゛っひっああっやめろっ、もうっあっくうっ…」
「痙攣が止まりませんね。達したいのでしょう……?」

イきたい、射精したい。男根には触れられていないのに射精したいだなんておかしい。どこもかしこも限界まで張り詰めていて、なのに最後の直接的な刺激がないせいで快感が体の中でくすぶり続けている。際限なく膨れ上がってリヒトを狂わす。

(いけない、これでは頭がおかしくなってしまう。正気を保てなくなる……。乳首摘まれながら尻の中をずぼずぼされて……っ、あああぁっ…頭がぼうっとする。こんなことが続いたら俺は……)

「ああぁっ…もう、……くっ、んっふああっ
「もう、何ですか?」
「くっ……出したい……っでなければ変になる…っふぅっん゛っおぉっ
「ならば教えたとおりにねだってください」

アレクシスは憎らしいほど冷静に命じた。ねだる――そんなことは断じてしたくない。だがこれ以上責められ、射精できないまま許容し難い刺激を与えられては、気が触れてしまいそうだ。
どんなに鉄壁の意志を持った騎士でも、気が触れたらまるで別人になる。それは国を、第二王子を裏切ることだ。
熱に浮かされ、まるで言い訳のような考えが巡る。イきたい、射精したくてたまらない。

リヒトはついに淫らな誘惑に負けた。

「〜〜っ、くり、クリ○リス、扱いてくれ……っはぁっあ゛っもうっだめだ、おれはっ……はぁあ
「……やっと言えましたね。でも、言葉遣いがいただけないな。女はそんな物言いはしませんよ」
「ふ、ふざけるなっ……言ったのに、んっ、あ゛〜〜っ……
「それに乳首とおま〇こだけでこんなに痙攣して……今にもメスイキしそうではないですか。時間をかけて開発するつもりでしたが、これならクリ○リスを弄る必要もないかもしれません」
「あ゛ぁっ……そこっ、ひっかくなっ…あっあ゛ぅんんっ……

ぬぶっぐちゅっぐちゅっ……ぐりっ、ぐりぐりぐりっ……

乳首を揉まれ、穴の中の敏感な凝りを執拗に擦られる。快感がどんどん高められていく。ただ頂上は未だに見えない。不覚にも恐ろしくてたまらなくあんる。
舌を出し、酩酊したように目をとろんとさせ、上気した顔を恥ずかしくは思っても、引き締める余裕すら最早ない。淫らな顔を晒したまま、リヒトは息も絶え絶えにねだった。

「あああぁっ……もうらめぇっ…クリ○リス、弄って、イかせてぇっ…変になっちゃうっ、乳首と尻でっ…んぁっ、変になっちゃうからっ、イきたいっイかせてっ…!
「尻ではなくおま〇こでしょう?」
「やああっ…くぅっぐっ、ん゛っそこだめえっ…あっアッはああぁっ
「――――まあいいでしょう。初日にしては上出来だ。今日はクリ○リスとおま〇こでイかせてあげます」
「ひっ、アッ〜〜っ

ぬちゅっ……ぐちゅ、ぐちゅっぐちゅっ……ぬぶっぬ゛るっぬ゛ぷぅっ……

アレクシスの指が、男根の先端に触れた。汁を垂らす割れ目の部分をぐりぐりと擦られ、突き抜けるような刺激が全身に走る。
あっという間だった。強烈な感覚に腰が痙攣し、ひくつく中の凝りを指の腹で押された瞬間、張り詰めていたものが一気に爆発した。

「あ゛ああっいくっいぐっぅん゛っあっおっああああ〜っ

きゅううぅっ……びくっびくっびくんっびくんっ……!
びゅくっ、びゅるっ、びゅるっ、びゅるるるるっ……

大きく前後に揺れる下半身から、溜まりに溜まった白濁が勢いよく出てくる。
射精は途方もなく長かった。戦いの最中や捕虜になってからは当然自慰などする暇もなかったから……ということを差し引いても尋常ではない。イっている最中にも粘膜を押し潰され、パクパクと開閉して精液を吐き出す穴を弄られ、もう自分がどんな声を出しているのかも分からなくなる。拷問のような快感に支配されていた。

「お゛おぉっ……ん゛あっうっ、ん゛っ、ひぃっ
「鏡に白濁がかかってしまいましたね。ほら、あなたの躰にかけられたように見える。後で掃除させなければ」
「うあああっ……や、あっんぅ…っ
「ちゃんと見てください……。仇敵に乳首とおま〇ことクリ○リスを弄られ、女のようにイってしまった騎士の顔を。ああ、そのように舌を出して、随分メスらしくなった」
「ばかな、メスなんかじゃっ……あぅ、ん゛っ……

(こ、これが俺なのか……? なんてだらしのない顔をしている。舌を引っ込めて、口を閉じなければ……。だが息が苦しくて、勝手におかしな声がっ……。ああ、乳首が腫れて、まだ中に指を挿入されて、やめろ、これ以上は、イッて敏感になっている躰をこれ以上触られたら……っ)

「あなたがねだるからクリ○リスを触ってあげましたが……本当はメスイキしたのではないですか? クリ○リスに触れたときではなく、中の凝りを潰した瞬間に達したようですが」
「ち、違うっ! そんなところで射精できるわけがないっ……はぁっ、はぁっ……」
「ではどこでイったんです? 答えなさい」
「ん゛ぉっ……あっンッ

ぬ゛ぶっ……ぐりゅっ……ぐりゅっ……ぬ゛っ、ぬ゛ぷっ……

イったことで何故か敏感さが増し、痙攣し続ける中をまた指が這いずり回る。リヒトは快感に悶絶した。されたらいけないという予感はあったが想像以上だった。

「やめっ……おっ変になるっ……ンっああっクリ○リスっ……クリ○リスでイきましたっあ゛ぅっひっあ゛あああっ

泣きたい気分で淫語を叫ぶと、ようやく指が引き抜かれた。それでも中で意志を持った何かが暴れているような余韻は長くリヒトを苛み、喘ぎ混じりの荒い息は中々おさまってくれない。

「はぁっ……はぁっ、んぅっ……くっ……」
「随分お疲れのようだ。今日はこれくらいにしておいてあげましょう」
「んッ……あ、う……」
「おや、物足りないですか」

鏡の中で目が合い、アレクシスが薄く笑う。リヒトは確かに、これからもっと壮絶なことをされると思い込んでいた。もう手を引くとは思わなかった。だけど物足りないなんて馬鹿にしている。慌てて眉を吊り上げ否定する。

「まさか……っ。こ、こんなことを続けられるくらいなら、死んだほうがましだっ」
「そうですか。だが死のうなんて考えは早く捨てることだ。あなたに忠実な部下のためにもね」
「くっ……無体はしていないんだろうな」
「帝国軍人はあなたの国が喧伝するほど野蛮ではない。逆らわなければ悪いようにはしませんよ。中には血気盛んな連中もいますがね」

リヒトから逆らう気を奪う絶妙な言い回しだった。アレクシスの声は憎らしいほど冷静だった。躰を辱められているとき、少し熱っぽい吐息を感じたのは気のせいだろう。もしくは自分の熱が熱を上げるあまり勘違いしたのかもしれない。恥ずべきことだ。
アレクシスはほとんど着衣の乱れもないまま、涼しい顔をして部屋を出て行った。リヒトはその背中を睨みつけながら、思い通りにはならないと決意を新たにする。
それでも好きにされた躰が猛烈に疼くのは止められない。これまでとはあまりにも激変してしまった環境に耐えきれるのだろうか。気分は鉛のように重苦しかった。





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