加西先輩の初夢 02 03


あり


※キャラ崩壊気味注意


加西浩明にとって仁藤誠人という一つ下の後輩は気に入らない存在であった。
いつからかはもう覚えていないが、視界の隅にあのへらへらした顔が入るだけで目障りで仕方がない。だからカモにしてやるのだ。加西の気分を害しているのだからそれくらい当然というものだ。
殴ったり足蹴にするとすぐよろめいて、痛みを堪えながら怯えたような目でこちらを見てくる。そうするといくらか溜飲が下がる。最も誠人は貧弱なので本気で殴ったり蹴ったりはしないが。本気の喧嘩ばりに殴ったりしたらかなりの怪我をさせるだろうし今以上に加西に怯えて、学校に来なくなるかもしれない。断じて優しさなどではなく、カモが加西から逃げるなどあってはならないことなのだ。

その日も加西は誠人を呼び出して金を出させ、びくびくした態度が気に食わなかったので蹴りあげてやった。少し強くしすぎたか、誠人は痛そうに蹲って涙目で見上げてくる。ゾクリとした。熱を持ってまとわりつくようなその感覚を振り払いたくて再び誠人を蹴ろうとしたが、思いがけず誠人が立ち上がって自分から間合いを詰めてきたのでタイミングを逃した。

「先輩、俺……」

誠人が頬を赤くして、目を潤めながら加西をまっすぐ見る。めちゃくちゃに殴ってやりたいような、少し違うような衝動に胸がざわつく。

「俺、先輩のことが好きです…」
「な――何のつもりだ」

青天の霹靂だった。恥ずかしそうに振り絞って出されて言葉に感じたのは嫌悪感ではなく、加西は不覚にも動揺してしまった。だが当然、その言葉を真に受けるほど馬鹿ではない。誠人の胸ぐらを掴み上げて恫喝するように睨む。

「ふざけてんのかてめえ」
「ふざけてない…っ、先輩に酷いことされて嫌だったのに、いつの間にか殴られたら痛いのに体が熱くなって…気が付くと先輩のこと考えてて」
「……、お前、マゾかよ気持ち悪ぃ」

立場は逆だが誠人の言っていることは加西にも思い当たるところがあって、しかしそれを認めることはできず誠人を罵倒する。

「やっぱり気持ち悪いですよね、すいません……」

誠人は辛さを堪えるみたいに俯いた。またおかしな衝動が強くなる。いつものように殴ってしまえばいい。そうすればきっとこの不愉快な胸のざわつきも収まるはずで――。

「っ? せん…ふっんんっ…!」

加西は誠人の顎を掴んで強引に上を向かせると、噛みつくようにキスをした。

「んんっ…、ん、ふ、ぅん…」

薄く開いていた口の中に舌をねじ込む。熱く濡れた舌同士が触れるとゾクリとした感覚が走り、誠人の体が震えて鼻にかかったような声を出す。
それに煽られたように加西は口内で舌を暴れさせた。誠人は敏感らしく上顎や歯列の粘膜を舐めるたびに甘い吐息が漏れる。水音を立てる熱い口内から全身に熱が広がるようだ。

ちゅ、くちゅ、くちゅ、れろ、れろっ、れろっ、ちゅぅ…

「んっ、ふぅ、ん、んっ…んっんっ」
「ん、……っ」

誠人はどうしたらいいのか分からないのか、ただされるがままになっていた。それが気に食わず無理やり舌を引っ張りだしてねっとり絡ませ合うとびくりと震えた後、おずおずと自分から舌を舐めてきた。 その拙い動きに下半身が重くなる。

「んっ……はぁっ、ン、んんぅ…」

誠人の足は快感でガクガクになってしまって、加西にもたれてきた。加西の体に硬くなった局部が当たる。慌てて離れようとした誠人の腰を加西は強く掴むと、ディープキスしたまま勃起したモノ同士を擦り合わせた。

「んん〜っ…、んっ、ふっん、ンンッ」

掴んだ手から、誠人が感じて腰をびくびく震わせているのが伝わってくる。興奮で目の前が赤くなり、加西の怒張も脈打って張りつめた。
一刻も早く目の前の男をめちゃくちゃにして、全てを征服してしまいたい。凶暴な衝動が体を熱くさせ、加西は誠人のスラックスを脱がせると、勃起して濡れたペニスを掴んだ。

「ん〜っ…! んっ、はぁっ、あぁん」

突然の強い刺激に誠人の体が跳ねる。無性にどんな顔をしているのか見たくなってようやく唇を離すと、誠人は頬を染め目を潤ませ、快感に蕩けた顔でいやらしく喘いだ。

「ひあぁっ…あんッ、あん、いい、せんぱいっ…っん」

過去、誠人と野崎悠の仲の良さに「気持ち悪いホモが」と罵ったことはあったが、痴態を目の当たりにすると全く別の言葉が口をついて出てきそうで、加西は苛立ったように再び激しいキスをする。そして先走りの汁で濡れた指を後ろに回してアナルに触れた。

「んっ…ふっん、ん…」

そこは秘めやかに閉じられていたが、指先を食い込ませてぐりぐりしているとひくついて指を吸ってくる。まるで挿入を誘っているようで、加西は強引に指をねじ込んだ。

ぐりっ、ぬぶ、ずぶ、ずぶっ…ずぶぶぶぶっ…

「んんーっ…! んっふぁっ、んっんんっ」

逃げようとする誠人の腰を片手でがっちり拘束し、奥まで指をハメる。中は意外と柔らかいがとにかく狭くてぎゅうぎゅう締め付けてくる。
もしこの中にガチガチになっているペニスを挿入したら――という想像が勝手に頭の中を支配する。加西は一刻も早く慣らすために性急なピストンを始めた。



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