エースとコーチ 02
あり
彼女がいないなら自分で抜けばいいではないか、みんなそうしているだろう。というありきたりな助言は真っ先に却下された。
オナニーができないというからにはペニスに何らかの問題があるのか、例えばインポだとか、真性包茎だとか――という想像は全くの見当違いだった。
柳内がペニスを取り出す様子を、美南は目の前で見せつけられた。若いくせに色が濃く、少し扱くとすぐに出っ張ったカリが主張して、皮が剥けていると分かる。
「俺のち〇ぽ、どうですか?」
「どうって……、」
「目逸らさないで、ちゃんと見てください」
怖気づいたとは思われたくなかった。しかし柳内のペニスは、彼が何度か手で前後に擦っただけで重たそうな幹を天井に向けて持ち上げ、間近で見るにはあまりにグロテスクな存在と化していた。
「こ、こんなこと、やはり一人ですればいいじゃないか」
「冷たいな。コーチのせいで彼女と別れたってホントに分かってる? 一人じゃ上手く勃たなくなっちゃったし」
それを言われると反論しがたくなる。話している間にも、顔の間近でペニスが扱かれ、今やほとんど完全に勃起して、カリの傘の境目までくっきりと見える。
若く暴力的なまでの性欲が、大人の大きさと形で目の前にある。頭がくらくらとした。
「……今、どんな感じ?」
「……ちゃんとその……勃ってる。大丈夫だ」
「そうじゃないでしょ。コーチならどこがどうなってるか、よく見て言ってください」
「くっ……勃起して……反り返ってる。太い幹に血管がビキッ、ビキッって動いていて、今も……何の問題もない生殖器だ……」
「……はは、ホントに実況してる」
恥ずかしい部分を晒しているのは柳内だというのに、美南は自分が辱められているような気分になる。
「もういいだろう……」
「ここから中々イけないんですよ。コーチ、ちょっと舌出してみて?」
「何故俺がそんなことを」
「いいから、ほら早く」
柳内は少し焦れた声で急かす。熱を感じるほど近くで怒張したペニスを扱かれ、頭がおかしくなっていたのかもしれない。別に舌を出すくらい痛くも痒くもない……。
柳内は口を開き、舌を下唇に乗せるようにして控えめに出した。じっとりと濡れた視線を感じる。
「……上手くできましたね。ちょっと……舌で触っていい?」
「へっ……らめ、ぇっ」
「ちょっとだけだから。っあー……」
ぬるりと、固く張ったペニスの先端が舌を突いてきた。酷い不意打ちだった。
ぬ゛っ……ぬ゛ぷ、ぬ゛るっ、ぬ゛る……っ
「んっ……やぇ、んっんは、はぇ、っ…」
「あーぬるぬるして、気持ちいい」
柳内はずりずりと舌にペニスを擦りつける。そうしながら扱く手が速くなり、舌と口内の境目に先端が当たる。
想像すらしたことのない屈辱だった。いくつも年下の教え子の性器を、一番触れられたくない場所で扱かれ、オナニーに使われている……。
ずりっ……
ずりっ、ずりゅっ、ずりゅっ……
「んっお…っ……
ぅっ…、らめ、ん、ぉへっ
……」
「舌っ足らずで何言ってるか分からないですよ。しょうがないか、今は俺がコーチの舌使わせてもらってるんだし……っ、ね、もっと舌出して、口開けて?」
「ん゛むっ、はっ…ぅ、んッ……〜〜っ」
(だめ、駄目だ、中に、勃起ち〇ぽが入ってしまう、口の中に、こんな大人顔負けのグロいち〇ぽ、……っ)
柳内は怖いもの知らずなのか、歯に当たる勢いでガンガンと腰を押し付け、固い肉棒をねじ込もうとしてくる。
間違って噛んでしまったら、という半端な優しさからか、口腔内を犯そうとする欲望に抗えなかったからか。
歯を隠すように唇を「お」の字に開けた結果、滑った口内への侵入を許してしまった。
「ふー……っ、フェラ上手にできるじゃないですか。ぬるぬるで気持ちいー……」
「ん゛っ……ん、むっ、んふぅ…」
柳内は上擦った声で言い、文字通り上から美南の頭を撫でた。熱い粘膜の中を雄で満たし、完全に上下関係を完成させた気でいる。
実際そのとおりだ。拒むなら断固として口を閉ざせばよかったのだ。
粘膜の中に迎えて入れてしまったからには終わりだ。教え子のペニスを噛んで怪我をさせたコーチなんてことになったら、野球界はおろか社会からも抹消されてしまう。
(もう俺はち〇ぽをしゃぶるしかない……、自分から歯が当たらないように唇大きく開いて、ち〇ぽでずりずりされて口をオナホにされなきゃいけない……
)
喉奥が塞がれる苦しさで頭がぼうっとし、正常な思考がどんどんと遠くなる。
柳内は両手で髪を撫でたかと思うと押さえつけて腰を打ち付け始めた。
「ん゛んんっ…
んぶっ、んっおぉっ…
」
「ぁあ、いい、コーチの口の中熱くて気持ちいい
」
「んっんっんっーーッ
」
ずりっずりゅっずりゅっ…、ぬぽっぬぽっぬぽっぬぽっ…
頭を固定され、好き勝手に口の中の粘膜を固い棒で突かれる。
柳内は美南のざらざらの舌を、血管が浮き立つ裏筋で執拗に擦りつける。痛くないのはたっぷり唾液が纏わりついて滑りがよくなっているからだ。
先端の穴から漏れる先走りの汁も混ざっている。不味いとかいうより、むせ返るような雄臭さにクラクラする。
「んっ
んっ
おっ…んぐ、っ
」
「ふー、ふー……っ
コーチの口、オナホみたいに使ってる……、興奮してヤバい」
柳内は何かただならぬものをぶつけるように容赦なく腰を打ち付けてきた。それほど鬱憤が溜まっていたのか、彼女と別れた恨みなのか。
頭を固定し腰をガツガツと打ち付けるさまは、フェラチオというより本物のオナホ扱いと呼ぶのが相応しい。
「ん゛んんんっ……
おっ
ぅう、ぐっ…
」
「何……? っ、そんな目で見ないでくださいよ。エロ……鼻の下伸ばして、口の端から涎垂らして……、こんな無様な顔を他の部員が見たらどう思うかなあ」
「〜〜〜〜ッ…
」
絶対にあってはならない話だ。もし今、部長の立田や、サードの田畑が、忘れ物を取りにでも来てドアを開けたら……。
人生が終わる上に、ち〇ぽを頬張っている無様な顔を見られてしまう。
ぞくぞくと背筋が軋むような悪寒が走り、腰まで震えた。
美南は媚びるように舌を前後に動かし、固くごつごつとした先端を吸った。
早く射精させなければ。それで、彼女と別れさせたことも、殴ってしまったことも――今ペニスをしゃぶって舐めて口の中をいっぱいにされている醜態も、全てチャラにできる。
「ん゛っんむっむぐっ……
おっ
んっふっ
」
ずりっずりゅっずりゅ……ぐぽっぐぽっ、ぢゅぼっぢゅぼっぢゅぼっぢゅぼっ
「〜〜……、このっ」
「……!? っ、んっん゛〜〜!
」
ドクッと肉棒が舌の上で脈打つのを感じた。柳内は喉を鳴らし、怒ったように強靭に腰を動かした。
これまでは多少なりとも手加減があったらしいと知る。今やカリが喉奥にまで到達し、口の中の粘膜全体を擦り上げながら激しいピストンをされる。
「口オナホのくせに……、ち〇ぽ好きになっちゃった? 俺のち〇ぽ好き? っあーもう出そう、出していいよね?」
「ん゛ぉっ
んっ
んぐっ
んッ
ん゛ぅっンッ
」
まくし立てられても返事のしようがない。人として大事な言葉という武器を、いきり立ったペニスで口を犯されることで、完全に封じられている。
柳内はお構いなしにペニスで口内を扱いた。
オナホにされている。ペニスが脈打ち、いつ射精してもおかしくないほど張り詰めていると口内で感じても、どうすることもできない。
何度も何度も擦られた頬の内側や舌の粘膜は敏感になり、ペニスが通るたびにおかしな感覚を湧き立たせ、脳までおかしくする。
(あああぁ……苦しい、オナホにされてしまう……
どうやっても止められない。柳内のち〇ぽで、おかしくなっちゃう……
早くイって、終わらせなきゃ、でも口の中……、あー
すごい、大きい……
)
「はぁ……ん、出すよ、コーチの口の中にっ……
今までの分いっぱい出すからな、吸って……?
っああっ」
「ん゛っんっんぅ、ん゛
ぢゅぶっ……
おっ…
」
ぐぽっぐぽっぐぽっぐぽっ、ぢゅぶぢゅぶ、パンパンパンパンパンパンッ!
ビュブッ、ドビュッドビュッ…
ビューーーーーーーーッ……
「んぉっ…
おっ
ぅんっん゛っん〜〜〜〜っ
」
「はぁっはぁっ……出てる……っ、すげ、あ゛ーー……
」
びくびくと、射精のためにペニスが大きく動いた。先端から熱い液体が叩きつけられる。
溜まっていたというのは嘘ではなかったらしい。当然口の中で射精されたことなどないが、勢いと量が尋常でないことくらい感じ取れる。
「ん゛っ…
んっんっ
ぉ……っ
」
「はー……コーチ、こっち向いて……? っあーすごい顔、」
「んぅうう……っ……はあぁっ…ふー……
ふー……
」
「大丈夫、ちゃんと上手にオナホできてましたよ……、その、唇で俺のち〇ぽ包み込んでる顔、練習中もずーっと忘れませんから」
柳内は射精していくらか余裕ができたのか敬語に戻ったものの、内容は酷く美南を貶める。
「っ……あぐっ、はぁっはぁっ、はあぁっ……
」
卑猥な音を立て、舌を擦り上げながらようやくペニスが抜かれた。美南は震えながらティッシュを取り、精液を吐き出した。
「飲めないの? オナホのくせに……でも、あーあ、舌に俺のザーメン乗っけて、……その顔もいいですね」
「……うぇ、っ…」
纏わりつく視線を受け、美南は慌てて精液を拭き取る。拭いても拭いてももう染み込んで取れない気がした。
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