チャラ男くんとお友達 サンプル 2


「どう? もう感じる?」
「そんなわけっ……っ、キモいだけだって」
「そう言ってられるのも今のうちだけだよ。段々と強く振動しながら深いところまで尻穴を犯されて、最後には前立腺と一番奥を同時に抉られて、どんなヤリチンだって鳴いてメスイキするド変態になっちゃうんだ」
「ふっ、ふざけ……うぁっ、んッ……」
「うわ、もう感じてるの? まだ入り口にちょっと挿れただけだよ。本番どころかまだ何も始まってないんだからね。素質あるんじゃない」
「いや、マジで無理、っ」
 反論する前におかしな声が出てしまいそうで、彰吾は汗を滲ませながら唇を噛む。
 実際バイブは挿入された、というよりまだ先端が食い込んでいるだけと表現したほうが正しく、全長からすると九割は外に出たままだ。
 なのに、奥にある触れられてもいない部分が――じんじんと激しく疼いてただならぬ感覚をもたらしていた。媚薬が効いてきてしまったのか。
「――じゃ、僕は出てくから、楽しんでね」
「なっ……、冗談だろ、マジで洒落にならねえって、つーかこんなことしてただで済むと思ってんのか。俺がその気になればお前なんか……」
「怖いなあ。確かに君怖い友達もいるしねえ」
 そうだ、こ拘束されてなければこんな奴、すぐ一捻りにできるのに。
「――でもさあ、君がバイブ突っ込まれてアヘってる姿を見ても、君の友達は今までどおりでいてくれるかなあ?」
「なっ……」
「これでずーっと撮影してるから。君がメス堕ちする姿を一瞬も逃さずにね」
 下田がデジカメを机の上に置いた。レンズはまっすぐに彰吾へと向けられ、撮影中であることを示す赤いランプが点いている。
 ――撮られている。こんな恥ずかしすぎる姿を。
 顔面から血の気が引き、それとは逆にアナルの奥がずくりと熱を増した。
「や、やめろよ、優等生なんだろ、なあ、キレたからってこんなことして、バレたらお前だって……、ぁっ、う」
「別に優等生ってほど成績よくないし。君も馬鹿にしてたんだろ、見るからに陰キャのくせに大して自分たちと偏差値も変わらなくて、何の取り柄もなくて何が楽しくて生きてるんだろうなってさ。ま、ヘラヘラ見下してられるのも今日で終わりだけど」
「べ、別にそんなこと……」
 思ってなかった、とは言えない。下田個人に対してというわけではなく、ダサい格好して教室の隅で俯いているカースト下位に甘んじてる連中に対して、そんなんで何が楽しいんだろうと疑問を抱いてはいた。
 でもだからっていじめたり面と向かって馬鹿にしたわけじゃない。わざわざマウントを取るまでもなく自分が上だという自覚があったし、陰湿なことは嫌いなほうだ。こんなことをされる謂れはない。
「じゃあね。僕はしばらく席を外すよ」
「嘘だろおいっ……なあ、悪かったから、マジでやめてくれよ」
「今更謝ったって遅いんだよ。少しずつ犯されてメス落ちするのを楽しめよ」
 最後にはプライドを放り投げて懇願したというのに、下田は反吐が出るような言葉を残して教室を出ていってしまった。
「くそっ……死ねよあいつ」
 彰吾は小声で毒づいた。だがそれは虚勢でしかなく、状況は非常に切迫していた。
 空き教室の時計は壊れているのか電池切れなのか、ぴくりとも動かず時間は分からない。ただ閉められたカーテンの隙間から夕日の明るさが垣間見えることから、まだ日は落ちていいようだ。
 大声を出して誰かを呼べれば、きっとこの状況から脱することはできる。だが誰であれ、こんな最高にみっともない姿を見られるなんて彰吾に耐えられるはずがなかった。
 縄による拘束は本当に強固で、開かれた脚を閉じようとしても痛みが走るだけだ。
「……はぁ……こんなの……」
 バイブはまだ浅く食い込んでいるだけ。ちょっとした動きで抜けそうに見えるのに、少しも動けなくてはどうにもならずもどかしい。
 それでも何とかして抜けないかともがいていると、何か今までと違う音が聞こえてきた。
 器具が、バイブを押し込むように動き始めたのだ。
「〜〜ッ、うあっ……くそっ……ッ」
 ヴィィィ……
 入ってしまう。とっさに侵入を拒むために下腹部に力を入れた。
 カリの部分は大きくエラを張っている。こんなものが入るわけない。そう思っていたのに、バイブを押し込む力は想像以上に強かった。
「マジで無理、ひっ、やめろって……んっ…あ゛ぁッ……」
 ぬ゛っ……ずぶっ……ぬ゛ぶぶッ……
 感情を持たない器具は極めて非情に、未通だったアナルへとバイブの切っ先をねじ込ませた。
 切れてしまうのではないか、激痛に襲われるのではないかという恐れは杞憂だった。
 アナルの中にローションを注がれたというのは本当だったらしい。濡れた粘膜は引っかかることなくみっちりとバイブを受け入れようとしていた。かすかに濡れた音が響く。
 必死に力を入れていた分、暴力的な質量と中を擦られる感覚をいっそう強く思い知らされることになった。
「んッ……、なかっ、入って…くっ…ん゛ッ」
 ゆっくりと時間をかけ、カリの部分が濡れた窄まりの中へ押し込まれた。これ以上ないほど拡げられている。きつくて苦しくて、それだけではない強烈な未知の感覚に腰がびくつく。
「こんなのっ……うぁ、ぐ……っはっ、はぁっ……」
(あー……入っちゃってる、嘘だろ、なんで、なんで俺、ち〇ぽの形したバイブなんかを……っ)
 おかしいおかしいおかしい。アナルに突っ込まれるなんて気持ち悪いだけのはずなのに、どうして中の粘膜がびくびくして、上ずった声が出そうになってしまうのか。
 こめかみを汗が伝う。無理やりに内壁を圧迫されている。何も意識しなければ口をだらしなく開きっぱなしにして、自分でも聞いたことのない声が断続的に出てしまいそうだった。
 だけど全てを撮影しているデジカメの存在を思い出して、彰吾は強く唇を噛んだ。
 バイブをハメられて声を上げる姿を晒すなんてありえない。絶対に下田の思い通りになんてなってやるものか。
 ぬ゛ぷ……ヴーーーーーー……
「ん゛っ……! ふっ、ん゛ッん……ッ」
 決意を新たにした矢先、バイブが小さく振動を始めた。
「んっ、あ゛あっ
 唇が勝手に開き、呻くような声が漏れた。
 慌てて閉じようとしたのにままならない。いきり立ったペニスそのものの形をしたバイブが、本物ではありえないような細かい震えで、無数に粘膜を叩き続ける。
 何故か甘く痺れるような感覚が湧き上がってくる。バイブに擦られている部分と、それからまだ何にも触れられていないもう少し奥の部分までもだ。
「はあぁっ……ん゛ッ、あ゛ッんっ、ッ」
(マジで無理、なんでこんな、ケツの穴に突っ込まれて、じんじんする……っ、これ以上奥はヤバい、中濡れてて熱いし、なんかヤバいっ……)
 彰吾はなすすべなくアナルを犯すバイブの餌食となっていた。とにかくこれ以上侵入させたらいけないと直感しているのに、アナルはまるで奥に誘うようにひくついてバイブの亀頭を咥えこんでいる。
「んっ、ンッ、ふぁぅんっ」
 熱い。熱くてたまらない。アナルの奥にもう一つ心臓ができてしまったみたいに、未知の場所がびくびくと脈打っている。その部分を逞しいバイブで抉られることを想像したら、勝手に媚びたような嬌声が漏れてしまった。
「あぁっ……
 一瞬、ほんの一瞬だけ、熱で脳が蕩けてしまったみたいに、そうされたいとどこかで思ってしまった。そんなのは絶対に駄目なのに。
 そんなとき。
「――衣田?」
「…………っ!」
「……、こんなところにいるはずないか」
 ドクドクと激しい鼓動が耳の奥で響く。自分の名前を呼ぶ聞き覚えのある声。この声は、遊佐だ。
 確か放課後に課題を貸せと頼んでいた。だから律儀に探してくれていたのか。
 数秒の間に、出来のよろしくない頭を必死に回転させた。もちろんこんな姿を見られたくない。いつも冷静で掴みどころのない遊佐の反応を想像するだけで死にたいような気分になる。
 でも遊佐なら、仲間内で一番まともで穏やかな彼であれば、きっと頼めば黙っていてくれる。面白がって言いふらしたりはしない。
 ここでためらってチャンスを逃せばそのうち下田が戻ってくるか、知らない誰かに見られてしまう可能性が高い。どちらのほうがましかなんて考えるまでもない。
 何よりもう――じくじくと疼くアナルがもう限界だった。
「っ、遊佐、」
「衣田? ここにいたのか。何してるの?」
「いいからっ……、開けて、さっさと入ってきて……はぁっはーっ……」
「よく分からないけど、ちょっと待ってて」
 こんなときだというのにプライドが邪魔をして助けてとは言えなかった。それでも遊佐は文句を言うでもなく、ドアが開かないと知るやガチャガチャと鍵穴を弄り始めた。
 その間は針のむしろのような気分だった。どうしてこんな思いをしなければいけないのか。数時間前に戻れたなら、ふざけたことができないよう下田を徹底的に叩きのめしてやるのに。
 絶対に叶うことはない妄想で現実から逃避していると、ドアが開いた。
 屈辱を味わいながら深く安堵するという、経験したことのない感情が湧き上がってくる。
「やっと開いた。もう下校時刻――」
 少し前まで一緒にいた見慣れた顔なのに、やけに久しぶりに感じた。平静を装おうと努めたのに目が合った瞬間羞恥で全身が熱くなり、自由の効かない体が震えた。
 驚愕で絶句されるのは想定内のことだ。目をそらしながら彰吾は精一杯虚勢を張った。
「わ、笑えよ。せっかく体張って……ん…っ、ネタ提供してんのに」
「……」
「……とりあえずなんとかしてくんない?」
 冗談でごまかせないかと思ったけど、さすがにそうはいかないみたいだった。羞恥とアナルの奥の疼く感覚を必死に押し殺して言ったのに遊佐は何も言わないままだ。
 焦りで汗が滲んでくる。
「遊佐っ……なあ、マジで解いて」
「――何、してるの?」
「何って、いいから早くっ……んっ、んっ……」
 そこで遊佐がようやく動き、ドアの鍵をかけると、置いてあったモップをつっかえさせて外から開かないようにした。
 念入りなことだ。これで下田も入ってこられない。それはいいが、それより一刻も早く拘束を解いてほしい。目を見ることはできず、近づいてくる上履きを眺める。
「誰にこんなことされたの?」
「いや、だからネタでっ……自分でやったんだよ。でもやりすぎて外れなくなっちゃって、はぁっ……」
「自分で? 本当に?」
「んっ……いや、本当はちょっと、逆恨みされて……早く」
 見下していた相手にいいようにやられたと言いたくなくて嘘を吐いてみたものの、ただのネタでごまかせるはずもない。バツが悪い。
「分かった、やってみるよ」
「んっ、ンッ……早くっ、急いで……」
「結構複雑な造りだから、何か工具がないと。ここは……空き教室だから何もなさそうだし」
「じゃあっ、さっさと取ってきてっ……んっ」
「でも……俺が探しに行ってる間に誰かが来るかも」
「……っ!」
 もし誰かにこの姿を見られたら。ぞくぞくして鳥肌が立ち、ぶわっと汗が吹き出す。
「や、やだ、行くなっ、遊佐、このまま何とかしてぇっ…はっはあっ…」
「……うん」
 遊佐は短く答えると、屈み込んでガチャガチャと器具を弄り始めた。バイブを突っ込まれた下半身と遊佐の頭が至近距離にあるのが恥ずかしくてたまらない。
    そこがどうなっているのか、自分ではよく見えない。だけどきっとアナルの皺は完全に伸び切るくらい大きく口を開いてみっちりとバイブを咥え込み、動きが分かるくらいびくびくと収縮してしまっているに違いない。熱い息が漏れてしまう。
「はぁっ、はぁっ、はっ……その、変な器具以外は見んなよ、あと顔も見ないで……っんっ」
「……分かってるから、少し静かにしてて」
 珍しく少し苛立ったみたいな硬い声を出されて焦る。遊佐に見捨てられたら終わりだ。でも……早く外してもらわなければどっちにしろ終わってしまう。
「マジで、早く外さないとヤバいから、はぁあっ…
「どうして?」
「〜〜っ……は、外さないとっ……バイブが、時限式で、もっと奥まで入っちゃう、からぁっ……
「……奥に入ったら駄目なんだ?」
「ん゛ッ……知らねーよ、早くっ、早く……っはーっ……」
 いちいち訊かないでほしい。遊佐はハサミや針金のようなものを使って外そうとしているようだが、進捗は不明だ。
 その間にも不穏な疼きはどんどん強くなる。おかしな声を出してはいけない、アナルで感じてはいけない、というプレッシャーが、余計に感覚を鋭敏にしているようだった。
「もう少し我慢できる? かなり手強そうだ」
「そんなっ、むり、無理……っ、だって、奥じんじんしてるっ……奥にハメられて、カリの先でそこ押されたらっ、絶対ヤバい、ヤバいんだってっ……ぅあはあぁ…っ
「…………」
 いよいよ切羽詰まって本音を口に出してしまった。口に出すことで、体は自然と淫らな感覚を想像してしまい、奥が蠢いてたまらなくなる。
 だというのに遊佐は何も言ってくれない。恨めしい気持ちで、三年目にしては随分綺麗なネクタイの辺りを睨む。顔はどうしても見られないし見られたくなかった。
「なあ、頼むから早く…、っ!? ひぃっ…
 その瞬間、機械が今までとは違うきしむような音を立てた。バイブがまた少し中で動き、言葉にならない悲鳴が出る。
 まずい、絶対にまずい。彰吾はとうとうプライドをかなぐり捨て、哀れっぽく懇願した。
「ひっ、お願い、抜いてっ、抜いてぇ、遊佐、助けてっ……ダメ、挿入っちゃう、ヤバイところごりごりされちゃうっ…はぁああっ
「――衣田」
「っ、早くっ、早くっ……」
 遊佐あんら何とかしてくれると信じたかった。だけど無情にもそれは起こった。
 ヴィィィィ……ぐりゅっ……ぬ゛っぶ……
「っっ……!うあっ、ん゛ぅッ……っ
 細かく振動したままのバイブが、器具によって強かに押し込まれた。きつく締め付けながらも濡れた内壁は拒みきれず、卑猥な音を立てながらペニスの形を飲み込んでいく。
 そして、硬く弾力のある先端が、腹の裏側のある一点に到達した瞬間。
「〜〜〜ッ!? ああんッッん゛ああああっ
 ぬ゛りゅっごりっ、ごりゅっ……!
 全身がびくんびくんと大きく痙攣して、意識が飛びそうになった。
「あ゛ッひっおおっあ゛ッだめっ当たって、だめなとこ、押されてっ……ああああっ
 触られててはいけないところ――下田が言っていた前立腺にまで侵入を許してしまったのだ。バイブは細かく計算されているみたいに前立腺を押しつぶすポイントで止まり、けたたましく振動して無慈悲に刺激してくる。
 最悪の話、バイブで感じてしまっても何とか笑い話にできないかと思っていたが、甘い考えだった。そういう次元の話ではない。振動しながら前立腺を擦られると、脳みそまで性感帯になってしまったみたいにわけがわからなくなる。このまま溺れるように身を任せてしまいたくなるほどに。
「あああッぅんっんっンッ…ぬいてぇ、ゆさっあ゛っぅあっ
 それでも彰吾は、濁流のような快感の波になんとか抗おうとしていた。
 だが、器具を外そうと努めてくれていたはずの遊佐は、器具ではなく彰吾を見ていた。そのとき初めて目が合った遊佐の顔は、いつものような穏やかさはなく、かと言って嫌悪を明らかにしているわけでもなく、ただ目だけは強く彰吾を捉えていた。
 ――見られていたのだ。M字開脚の姿勢で拘束され、バイブをギチギチに咥え込み、汚い喘ぎ声でめちゃくちゃによがっている姿を。
 アナルがぎゅっとバイブを締め付けた。
「ああああっ……あ゛ひっもっらめ、なんとかして、バイブとって、ゆさぁ」
「…………ごめん、間に合わなくて」
「いいからっ……あ゛ッんっ、〜〜っ頼むからぁっ…」
「やっぱり工具がないと難しいな」
「っあああぁんっ…
 遊佐が太ももに装着された器具を、強めにガチャガチャと弄る。彰吾の体まで揺すられ、中のバイブの角度が少し変わって上の方を強く擦られ、甘えたような声が出てしまった。
「あんっあぁんっ……い゛ッ…もう、なんでもいいから、はやくっ、はやく抜かないと、イきそっイっちゃうおっおああっ
「――イきそうなの?」
 遊佐に驚かれてかっと顔が真っ赤になる。分かってる、バイブだけで、アナルの中を犯されてイくなんて異常なことだと分かってる。でも迫り上がってくる強烈な快感はどうにもならない。
 ヴヴヴヴヴッ……ぐりっ……ぐりっ……ぐりゅっ……
「あ゛あああっ……やだ、あっあんっむりっ、バイブでなんてっ…、いきたくないからっ、とって、ぬいてぇ、あっあひっぉおんっ…
「……何とかするから、我慢してて」
「ああああっ……
 遊佐は今までより強引に、器具を外そうとしてくれているようだ。言われるまでもなく、彰吾は必死に我慢しようとしていた。だけど下腹部に力を入れるとアナルもぎゅっとして、余計に敏感な粘膜でバイブを締め付けてしまい、唇を噛んで痛みでごまかそうとしても快感のほうが遥かに強く、よがり声が口を開かせてしまう。
 その間も無機質なバイブは中を擦りながら振動を続ける。
 遊佐は、自分は一切悪くないくせに、申し訳なさそうな、切なくなるような声を出した。
「ごめんね、辛い想いさせて。絶対外すから」
「ぅんっ……わかって、アッあ゛あっい゛ッ
「衣田に、バイブで女の子イキなんてさせないから」
「〜あああぁっ……
 思いがけずいやらしいことを言われ、体がびくんびくんと震える。
 女の子のようにイってしまう。あまりにも恐ろしく、甘美な誘惑だった。


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