好きです! 02


あり

「青木君、好きです!」
「ねーよ」

汚物を見るような目で言われた。
俺、本宮渚は今青木君に恋をしている。
青木君はマジでイケメン。ちょっと悪っぽいって言うかぶっちゃけ不良なんだけど、そこがまたいい。金髪にピアスがばっちり似合ってるし、細身に見えて筋肉質っていうのがたまらない。

「お前、フラれたのにまだ青木が好きなの? 無理だから諦めろよ」
「高望みしすぎなんだよ」

友達は口々にそう言う。俺の好みは周知の事実になってて、最初は引かれたけどだんだん免疫が出来たのか、今ではそういうもんかって感じでからかわれたりする。応援はあんまりしてくれない。

「諦められない! だって青木君の全てが好きなんだ!」
「お、おう」
「ま、骨は拾ってやるよ」

何と言われようと関係ない。俺は愛する青木君に熱い視線を送り続けた。



「――おい、あいつがすげえ見てるぞ。あいつマジで青木のこと好きなの? 笑える」
「知らねえよ」
「はぁ……」

不良仲間と話していた青木君が俺のほうを見て目が合った。嬉しい。

「じろじろ見てんじゃねえよ。きめえ」
「ああっ!」

青木君が話しかけてくれた。嬉しい。

「俺の後ろに立つんじゃねえ!」
「はあああっ!」

青木君がゴルゴのようなセリフと共に俺を足蹴にしてくれた。気持ちいい。
青木君はゴルゴ以上の殺し屋だ。そう、俺のハートのど真ん中を青木君が射抜いたのだ。


「ちょっと何言ってるか分からないけど、いい加減次の相手探したら?」
「何を言ってるんだ! 最近は青木君と接する機会も増えてきた。この前なんて俺のこと、さ、触って……」
「上履きの裏でな」

友達は俺のことを気遣ってくれるが、残念ながら俺の心は青木君のものなんだ。君達に惚れることはないぞ。
と言ったら「同情して損した」とどつかれた。


そもそも青木君のことを好きになったのは、俺が他校の不良に絡まれていたところを助けてくれたときのことだ。一人で数人の不良を撃退していく姿は本当に格好よかった。
そして何度も頭を下げる俺に放った一言。

「お前のためにやったわけじゃねえよ」

「はああああ! 抱いて!」
「おい、また渚の発作が始まったぞ」
「ほっとけよ。気にしたら負けだ」

――とにかく、俺は青木君が好きでたまらない。たとえ片思いでも……。


そんなある日のこと。
いつものように下校する青木君のあとをつけていた俺は、見た。
校門に立っていた他校の女子が青木君に話しかけ、何事か話したあと並んで歩き出したのを。
だ、誰だあの女は!? 俺は当然のように尾行をしようとしたが、いきなり背後から肩を掴まれた。

「おっと。青木は今日はデートなんだよ。邪魔すんなよ」

青木君の不良仲間その1とその2が笑いながら立っていた。
デートだと!? まさか、3度の飯より喧嘩が好き……というイメージを俺が抱いている青木君が、まさかそんな。

「あの子見ただろ? 読モとかやっててめちゃくちゃ可愛いの。お前じゃ勝ち目ねえんだよ。ちょっとこっち来い」

可愛い? 青木君と並んだらへのへのもへじにしか見えなかったぞ。
でも、デート……。俺が何度も神社に参拝して神頼みしたような夢を、あの女子と……。
衝撃を受けている間に、俺はその1とその2に引っ張られてどこぞの空き教室へ連れられていた。

「お前さ、男が好きなんだろ? どう頑張っても青木には相手にされないんだから、俺らがちょっと遊んでやるよ」
「そうそう、感謝しろよ」
「は……?」

何を言ってるんだ。俺は遊びたいなんて一言もいってない。大体こいつらのことは前から気に入らないと思っていたんだ。いつも無条件で青木君の傍にいるなんてけしからん。ずるい。
俺が嫉妬の炎に焦がれていると、その1がいきなり俺のシャツのボタンを外し始めた。

「な、何するんだ! 男を脱がせるなんて、まさか変態か!?」
「お前が言うな」
「はいはい抵抗すんなよ」

その2が俺の腕を後ろ手に拘束し、身動きがとれなくなってしまう。その間にシャツのボタンが全て外された。

「……こいつ乳首ピンクだぜ。さすがホモ、女みたいな乳首しやがって」
「自分で開発とかしてんじゃね? 青木にヤられる妄想とかしてさ」
「ヤ、ヤヤヤられるなんて……っ確かに俺はどちらかというと受身であるのは否めないけど、その辺は青木君の意見を尊重するというか、抱いてと言われたら抱くのもやぶさかではなく…」
「そこまで聞いてねーよ」
「ちょっと黙ってろ」
「んーっ」

その2の手に口を塞がれてしまった。そしてその1が、俺の乳首に触れてぐりってしてきた。

「んっ…ふ、んんっ……」

「うわ、感じてるよこいつ」

乳首が切ないような変な感じに、びくんって体が震えた。その1は俺の反応に一瞬動きを止めたが、指で乳首を掴んでこね始める。

しゅ、しゅっ、こすっ、こすっ、くにっ、くにっ、くにっくりっくりっ

「んんっ、ふっ、ぁ、んっ、あんっ」

触られるとじんじんして、変な声が抑えられない。ちんちんまで疼いて熱くなって、自分が感じちゃってるんだって分かる。

「すげえよがってるじゃん、マジで女みてえ」
「硬くなってコリコリしてきた……なあ、気持ちいいの? 渚ちゃん」
「やっ……あっやっ、はぁんっ」

口を塞いでたその2の手が離れて、2人に両方の乳首を弄られる。
一回ぐりってされただけで感じちゃうのに、同時にこね回されたりぎゅうぎゅう絞られたり小刻みに擦られたりして、意味わかんないくらい感じちゃう。

ぐにっぐにっぐにぐにっ、ぐりゅっぐりゅっ、ぐりっぐりっぐりんぐりんっ

「あひっんっ…やっ、らめぇっ、んっぁんっはぁあっ」
「やっべ…女どころじゃねえじゃん。乳首でこんな声出すなんて……」
「ド淫乱だな、弄られてビンビンに勃起させて」

からかうように言う2人のトーンも最初より上ずってる気がするのは気のせいだろうか。
こんなの駄目なのに、初めての感覚に力が抜けちゃって抵抗できない。

「チンコも勃ってんじゃん。きつそうだから脱がせてやるよ」
「つーかチンコの先のとこ濡れてね? どんだけ漏らしてんだよ。これじゃケツのほうまでぬるぬるだろうな」

はあはあ言いながらその1が俺のベルトに手をかける。下を見て俺は衝撃を受けた。
俺のちんちんがホントに乳首だけで勃起しちゃってる。それは何となくわかってたけど、問題は2人も勃起してテントを張ってるじゃないか。しかも俺のより大きい。
なんてことだ。この2人がゲイだったなんて。
ただの不良仲間のふりをして、青木君の貞操を虎視眈々と狙っていたなんて……!

「……そんなこと、させない……!」
「……なんかお前今、キモいこと考えてなかったか」
「いいから早く脱がせろよ」

ギラギラした目で俺を睨みながら、その1がついにベルトを外してしまった。
まずい、青木君の貞操もさることながら、今は何故か俺の貞操のほうがピンチだ。何故だ。
ちんちんが露出されてしまう寸前、突如教室のドアが開いた。
まさか、青木君があのときのように劇的に俺を救ってくれるなんて……!

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